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風の行方とハードボイルドワンダーランド

再雇用の機会を捨て自由な時と空間を・・・ 人は何のために生まれてきたのだろうか? これから本当の旅がはじまる・・・

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ウイキペディアの執筆に参入

昨日、大崎善生氏に触れたが今日「大崎善生」を検索すると「藤井聡太王位、がん告白の作家・大崎善生さんから「生きる喜び与えられた」と感謝…王位就位式 」なる記事が現れた。11月7日に第64期王位就位式が都内で行われ、「大崎善生さん(65)から花束が贈呈された。大崎さんは昨年、ステージ4の咽頭がんのため声帯を摘出し、6か月間入院していたと妻の高橋和女流三段(47)が代読した祝辞で公表した」そうだ。これは知らなかったのでびっくり。
大崎善生氏(左) 20231129大崎善生

検索したのは「大崎善生」のウイキペディアを開くため。
20231129大崎善生Wiki1


この「来歴・人物」の記述に?という記事があった。気になったのが赤字部分。大崎善生がノルウェーに青野照市九段を伴って来たのは1998年。
毎日将棋を指しに来る大崎を見ていた将棋道場の席主の紹介により、卒業後の1982年、日本将棋連盟に就職し、道場の手合い係を経て、雑誌編集部に移り、『将棋年鑑』『将棋マガジン』『将棋世界』を手がける。1991年に『将棋世界』編集長となり、真部一男「将棋論考」、河口俊彦「新・対局日誌」などを企画する。1996年、高橋和二段を連れてヨーロッパ4カ国の将棋ファンを指導するという企画を立てた。

というわけで以下を追記。
1998年4月、青野照市九段と共にスウェーデンとノルウェーの二か国を現地の将棋ファンとの交流と指導対局ために訪れた[18,19]。1997年春に加藤完司というオスロの駐在員からのファックス、そしてほぼ同時期にスウェーデンからのメールが届き、これを契機に両者との交信が続いていた。1998年の正月に青野九段からプライベートの旅行の行程の途中に北欧を組み入れ指導対局ができないだろうかの申し入れを受けた。これらの偶然が重なり実現したものである。1999年には中座真四段(当時)と共にノルウェーを再訪した。

どうやっていいのか全く分からないだけに、おっかなびっくり、作業は簡単であるが何かと時間がかかった。またページ最後の「典拠管理」が実は単純に記せば良いものではなく、結局最後までできなかった。しかたなく、物理的に書くことができる方法で出典である「将棋世界」1998年7月号と8月号の名を無理やり載せた段階でギブアップ。名前を載せるかどうか迷ったが、出典の記事に何回か明記されているので掲載、疲れた。
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書くということ

ブログを書く際に開くポータルのページには「ランキング」のボタンがあって、ページを開くと必ずランキングを覗く。今朝開くとこんな感じ、「日記」部門で123位、サブジャンルの「ゆとり世代」で13位だった。それぞれの部門で30万人、7000人がアップしているから数字の上では人気ブログということになる。
20231128ランキングa

この下に具体的にブログ名が順位に従って並ぶ。歌のベストテンランキングのような感じ。
20231128ゆとり世代ベスト15a

2年前の7月にもランキングに関する記事を書いている。今も感想は同じなのでその記事のコピペ。

右も左もわからず書き始めたブログであったが、ある時、ブログの閲覧者の数の多寡により、登録したジャンルにおいてのランキングが毎日更新されていることに気がついた。登録したジャンルは「日記」でサブジャンルは「ゆとり世代」。「日記」の元には48万5千人の人がブログを書いていて901位、サブジャンルには1万2千人で65位でしたというのが今日の結果。だからどうしたということは何もなく、ただ日々この数字が変わるだけだが、人間とは不思議なもので順位が上がると嬉しいし、下がると悲しい、と言うほどでもないが毎日覗いている。

それゆえ順位が高いと参考までに意味なく手帳にメモしているが、興味深いのがブログ投稿者の数。手許にある一番古いメモは2014年8月のもので、総数は64万人だった。その日のランキングは7371位。たぶん嬉しかったからメモしたのだろう。この頃はまだFBもツイッターもインスタグラムも存在しなかったのかもしくは主流ではなかったので、ブログの人気が燃え残っていたようだ。

その後50万台、40万台と参加者は毎年減ってゆき、2020年初めには30万人台すれすれまでに減少した。そしてコロナ発生、2020年末には50万人台へ回復していた。いかに皆さん、暇を持て余していたかがよくわかる。書いてみるとわかるが、内容によるとはいえ、資料を整えまとまった文章を書くというのは想像以上に時間がかかる作業なのである。


ブログを書き始めたのが会社を辞めた2013年7月だったので、思えば11年目に入っている。長い間続いている要因の一つはデータをまとめ、そこから真実を発見するのが好きなこと。生まれついての性分でもあるが、会社でプロジェクト評価作業に永い間携わってきた習慣もあるだろう。会社では暇な時間も多いので、粗末なものだが学術論文もいくつか書いた。ふつう誰もそんな面倒なことはしないので、世の中で真実を知っているのは一人だけゆえに世の中に無視されているという状況は愉しい。

もう一つが書くことが好きなこと。学生時代、一歳年長の村上龍が「限りなく透明に近いブルー」で芥川賞を取った時、「先を越されてしまったからもう作家にはならない」という冗談を言っていたがどこでもウケなかった。もちろん自分の才能を知っているので小説など書く気なく、間欠的に日記を書いては止めを繰り返していた。

雑文を書くのは趣味なので気楽だが、小説家として小説を書くのはごく一部の作家以外にとっては身を削る思いの苦痛なのではないかと思う。小説家の大崎善生氏、元は「将棋世界」の編集長でノルウェー時代時代に知り合った。この話は2019年に「大崎善生とオスロの思い出」というタイトル書いたのでご覧のほど→こちら

だから小説家となられて発表した小説は全て読んできた。氏は村上春樹が好きなのでその影響が大きい作品群だった。しかしそれも2010年に発行された「存在というダンス」まで、読むに堪えなかったから。何か精神を病んで書けなくなって無理やり文字を綴ったような印象だった。10年ほど前、氏に電話する機会がありその時、今精神的に体調が悪いようなことを言っていた。書けなくなったストレスで病んだのか、病んで書けなくなったのか分からないが、小説家、言葉が溢れている時はいいが、言葉の枯渇を自覚した瞬間、絶望を感じるのではないか、小説家ではないからわからないけれど。

1000億円てどのくらい?

先日在職中に1000憶円を不幸にして損失する事態に陥った話を書いたが、1000憶円という規模に対して1000万円の1万倍ぐらいという中学生レベルの認識しかなかった。ついては社会人としてもう少しまともな認識を持つべく、日本の会社における営業利益という物差しで見てみることにした。具体的には東証プライム、一昔前の東証一部上場企業の2023年3月期の決算に関し東証が公表している資料を基に実態を調べた。

東証の資料は業種別に、売上高、営業利益、経常利益の3件についてまとめた一ページの表である。1ページにまとめている点において知性が感じられ、日本経済のスナップショットが一望できるという点でも完璧な資料である。参考までに本物はこんなPDF資料、一部を拡大したのでどのようなものかわかるだろう。
20231126データ元

表データなのでこれだけでは役に立たないので図で表した。まず全体像、東証プライム3月決算の1118社全体と、さらに製造業と非製造業の二つに分けての全体像である。総額を企業数で割れば東証プライム上場会社、日本の一流企業と言い換えてもいいかもしれない、の平均の営業利益がでる。利益率は業種によって大きく異なるので売上高に意味がなく、また経常利益は本業以外の特殊な要素が入ってくるため、すなわち本業での儲けが直接現れる営業利益で見ることにした。

昨年度の決算なので今年より少なくはあるが、東証プライム上場企業1118社の単純平均は374憶円であった。すなわち、平均すれば日本の一流企業は年間働いて374憶円の利益を生み出していたというのが実態。製造業は平均より高く非製造業は平均より低いが大差はない。イメージより多いのか少ないのか人によって異なるだろうが、チコちゃんは知っているのだろう。

いずれにしろ1000憶円という規模は、平均すれば一社当たり日本の一流企業の従業員全員が二年間働いて得た儲け以上の金額であった。へー。
20231126G全企業

せっかくデータがあるので、業種別に見てみる。金融業界と保険業界は営業利益欄に記載がなかったので省いている。業種の右側の数字はその業種に分類される会社数。予想されたことではあるが、業種による差が著しい。電気・ガス業とゴム製品の2業種は100憶円未満である一方、輸送用機器、すなわち大手自動車会社を含む業界や、油価高騰の恩恵を受けた石油・石油製品業界、海運業では1000憶円を超えていた。

もっとも同じ業種に属していても、1位の輸送用機器業界48社のうち1000憶円を超えるのは10社もないだろうし、逆に業界平均として低位であっても1000憶円を超える会社もあるはず。データがないので検証できないが、営業利益別に並べれば対数正規分布になると思われ、全体の5%前後、数十社は1000憶円を超える営業利益を上げていると思われる。その多くは数千人以上の従業員を抱えているだろう。言い換えれば日本には無数の非上場会社があるので、1000憶円という金額はほぼすべての会社の年間営業利益を上回る規模であることがわかる。
20231126Gプライム企業

1000憶円の損失というのは、日本においてはごく一部の会社以外には耐えられない金額、それを即金で支払い、かつ損害を与えた原因である当事者に一言の叱責もなく通常通りに業務を遂行させる会社もすごい。いい会社だったのかな。

十一月寒波の結果

天気予報では昨夜から降雪の予報、山荘での作業計画を中止しただけに実際の雪はどうだったのかは気になるところである。さっそくライブカメラの映像をチェック。水上高原ホテルの画像。雪で真っ白は当然だが、思っていたより降雪量は少ないようだ。
みなかみ高原H20231125

この雪をもたらした上空の寒気と地上天気図。23日朝の想定と大きな違いは見られない。立派な冬型の天気図と寒気の南下。上空約5000メートルのマイナス36度の等温線が青森県程度で止まると、本州中部の山間部は大雪にはならないという実態(の一例)であった。なんとなくは気が付いていたが、この度、きちんと確認、認識。
20231125十一月寒波 20231125十一月寒波天気図

アメダスの観測データでは藤原の積雪深はゼロ。新潟の津南の25センチの積雪が最高で、以下長野から福島の山間部に掛けて20センチ未満の雪が降ったが、群馬県側には本格的な雪雲が流れ込まなかったようだ。水上高原ホテルで雪が積もって、藤原のアメダスがゼロなのは観測設備が須田貝ダム近くの谷底にあるためでホテルに較べかなり標高が低い。
20231125十一月寒波積雪深

山荘の実態に近い大芦と藤原トンネルのライブカメラの画像。いずれも積雪は見られない。結果として出かけても問題はなかったことになるが、それは結果論。宇宙の成り立ちや遠い銀河のことまでわかっているのに、明日の天気の正確な予想ができないのは気象現象には膨大な不確実性が含まれるから。わずかな状況の違いで津南の積雪は30センチになるし藤原も20センチを超える雪になっていた可能性はあった。自然と「戦う」のは愚者のすること、自然に対しては畏れを抱いて謙虚に向き合わねばならないというのが長年の経験の教えるところである
20231125大芦 20231125藤原

私の履歴書(12):アメリカ編1000億円の損失(完成版)

アメリカでの大規模なシェールガスプロジェクト、マーセラス事業の権益取得手続きを完了、正式に同プロジェクトのパートナーとなったのが2010年3月。当時はアメリカでのもう一つの大規模プロジェクトである「BPとの共同探鉱事業」として、メキシコ湾沖合80 km、水深1,522 mのMacondo(マッコンドー)プロスペクトでの試掘井掘削作業が進行中であった。メキシコ湾では最も生産性の良いことで知られている中新世の砂岩を目的層とし、後述するがBPとの長期アライアンス関係を構築後のいくつかの失敗の後にBPが与えてくれた極めて有望な試掘井であった。成功すればマッコンドー油田として、マーセラスに次ぐ当社にとって優良な資産となる。掘削には半潜水式リグ、「ディープウォーター・ホライズン」が使われた。

試掘作業に入ってからは私の職掌からはなれ、掘削作業の専門家が日々の作業報告をモニターしていたので詳細は知らないが、同年4月20日、試掘井掘削作業中に、大規模な爆発火災事故が発生した。すでに原油を発見、生産性も極めて良好な故に本井を生産井として後日活用するため仮廃坑作業中に石油が暴墳したもの。リグは沈没、海底近くで破損した坑井からの原油の流出を止める術はなく、生産性が良いゆえに大量の原油が流出した。これが「メキシコ湾原油流出事故」である。
Maccondo1.jpg 

Maccondo2.jpg

ウィキペディアには「BPによると7月16日までの原油流出量は約78万キロリットル(490万バレル)」とある。490万バレルという量は大型タンカー(VLCC)2隻分に相当するから、過去のどんなタンカーからの原油流出事故よりも被害が大きいのは明らか、人類史上最悪の原油流出事故といっていいだろう。
20231121VLCC.png

試掘井マッコンドーの権益保有者は3社、うち一社がわが社、このプロジェクトを推進、実現させたのが私であった。これら3社は権益保有者としてほぼすべての事故の損害賠償を負担せねばならない。
20231121権益比率

当社がマッコンドーの試掘に参画した経緯を記しておく。2000年代半ば、当社はアメリカにおいてすでに小規模なプロジェクトに参加していたが語るべきものはない。転機は2007年3月に、BPからメキシコ湾浅海部における大深度の探鉱プロジェクトへの参画機会であった。探鉱密度の高いアメリカでも未知の、すなわち過去に試掘されたことのない目的層準であった。言い換えればあまりに深く誰も掘削を試見ることのなかった未知の探鉱プレイであった。試掘井はWill Kという名で、目標深度は27,000ft(約9,000メートル)、ほぼ1年をかけて掘削する予定であった。

未知の層準の超大深度の試掘井となれば、通常の探鉱リスクに加えて、ガス層の性状や掘削技術上の困難などの不確実性は極めて高い。よって、通常の試掘井10本ぐらい(よく覚えていないが)と極めて巨大なリスクマネーの投資が必要となる。見送りにするのは容易であったが、BPとはノルウェー時代から共同事業を進めていたことから、同社のスタディに対する奥深さを実感しており、また地球上に残された数少ない巨大フィールドの探鉱に参画できる稀有な機会であるとして、本件への参画を決めた。

この時、社内の承認を得るにあたり、BPとの探鉱案件は1坑だけの成果に関わらず(失敗し金を捨てる結果になることが多い)BPの技術を生かすためには複数の探鉱案件に続けて参画せねばならない、という方針を確立した。これがマッコンドーという超優良な試掘事業に参画できた背景である。

Will Kは様々なトラブルに見舞われ、作業期間は計画を大幅に超過した462日、掘削深度は28,400、メキシコ湾歴代2位の大深度掘削深度を記録した。ガス層を発見することはできたが商業性を確保するまでには至らなかった。

また2007年には次のBPの共同事業としてメキシコ湾の有望鉱区群に共同入札するも、対象鉱区の一部だけの落札に終わった。BPの当社担当の責任者とは気も合い懇意にしていたこと、Will K試掘の巨額の失敗にも拘わらず文句も言わず共同事業を継続していたこともあって、2009年半ばに、落札鉱区の当社権益分のスワップとしてマッコンドーへの参画機会を得ることとなった。

さて史上最大の原油流出事故となったマッコンドーのその後について。巨大タンカー2隻分の原油が流出したとなればその損害は計り知れない。数多くの悲惨な画像も多数アップされていたがちょっと自虐趣味と誤解されるので画像はパス。

賠償金が莫大な額に上るのは明らかだったが、今後多数の損害賠償の請求と訴訟が予想され、どの程度で収まるのかはその目途は不明だった。当社の権益比率は10%、それに応じてBPからは小刻みに請求書が届いたが、支払いを停止し、2011年からBPとの和解交渉を始めた。同年中にBPとの和解交渉が成立、BPが当社の権益分のすべての費用を負担するとともに、当社が一時金として約10憶ドル、1000憶円相当を支払うという内容である。一言で言えばBPに対し約10000億円の手切れ金を払って事故からのかかわりを回避したということになる。

この件については英語版のWikipediaに「In May 2011, MOEX Offshore, which owned a 10% stake in the well through a subsidiary and which in turn itself was majority-owned by Mitsui & Co., agreed to pay US$1.08 billion to settle BP claims against it over the accident.」なる記述があるので、守秘義務違反ではないので念のため。

また、BPとの和解契約では対象外になったアメリカ連邦政府との和解交渉においても1億ドル(約100億円相当)近い支払いを要求された。

BPとのアメリカでのいくつかの探鉱投資事業、必要な会社の経営上の手続きは全てきちんと踏んで進めているものの、プロジェクトの詳細を詰め評価をして推進実行してきたのは私。会社は「そのおかげで」1000憶円を超える損失を被ったに等しいが、会社からもはまるで何もなかったように、懲戒どころか一言の叱責も後ろ指もなく(鈍くて気付かなかっただけ?)、一方当然ながら「ご迷惑をおかけしました」等の言葉を発することもしなかった、というか考えもしなかった。当然と言えば当然で、事故がなければ日本でも稀有なメキシコ湾での大油田発見であり、事故は私の責任ではなかったから。

今年の春にBloombergニュースでこんな記事が流れたので記事にした。その時の書き出し「他人ごとではあるのだが、傍から見れば会社の大損失の責任者と見做されそうな事故を在職中に経験したので目に留まった。忘れそうなので書き留めておく」。
20220312数千万ドル

記事は数千万ドルの損失を出したモルガン・スタンレー)のトレーダーが退社を余儀なくされたというもの。数千万ドルというのは10憶ドルの20分の一に過ぎない。

思えば、自分が主導してきたプロジェクトで1000憶円の損を出した会社員というのは日本経済史上最大かもしれない。そして何事もなかったように再雇用に一年間だけ応じて辞めるまで、アメリカやカナダに新規プロジェクトの機会を求めて飛び回った。


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