風の行方とハードボイルドワンダーランド

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マイナス金利と黒田総裁の誤解?

マイナス金利に対する世の中の理解や消化もだいぶ進んだようだ。一週間程前に「株式市場や為替市場にとっては、悪いことは起きないので歓迎だが、麻薬みたいなもので時間がくればヤクが切れる。」と書いたが、思ったよりもずっと早くヤク切れ状態。あーあ。

そのブログの主旨は、「日本では少子高齢化が進み、生活レベルもほぼ飽和状態なので大きな需要は期待できない。企業としても供給力を増しても需要が見込まれなければ投資しない。だからいくら金利を下げても経済成長には結びつかない。」。

今回の日銀の決定に関し、日銀のHPに総裁記者会見の要旨が掲載されている(→総裁記者会見要旨)。日銀は情報公開の優等生で情報の透明性においては過剰なほどの情報を公開している。今回は17ページにわたる質疑応答の議事録、日銀番の記者は本物の専門家集団らしく、質問は一般的に知的レベルが高く辛辣でかつネチネチと同様の質問が繰り返される。これに対して、総裁は(他の委員も)同じような回答を見かけ上丁寧かつ真摯に返す。一生に一度ぐらい、日銀総裁の記者会見の模様を覗いて見るのも悪くないと思うので是非どうぞ。

面白かったのが6ページのこれ(当然いつも読んでいるわけではなく、「債券市場の片隅から」というブログがネタ元)。

(問) マイナス金利が実体経済にどういう効果があるのか伺います。これは、企業の賃上げや投資の増加、金融機関の貸し出し増など、具体的にどういう形でつながるのでしょうか。今回、反対意見の中でも、石田委員は、これ以上の国債のイールドカーブの低下が実体経済に効果をもたらすとは判断されない、とおっしゃっていますが、なぜこのマイナス金利が効果があるといえるのでしょうか。

言葉遣いは丁寧だが、イラッと来そうな内容。いつもこんな調子なので黒田総裁も慣れたもの。

(答) (前略)今回の「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」というのは、先程申し上げたように、イールドカーブの起点をさらに引き下げて、当然、短期金利は相当下がるわけですが、一方で長期国債の大量の買入れは続けるので、全体的にイールドカーブがさらに下がっていくということです。そうした中で、実質金利が全般にわたって下がり、消費や投資にプラスに効きます。もう 1 つ、2013 年 4 月の「量的・質的金融緩和」の導入時にも申し上げていましたが、いわゆるポートフォリオ・リバランスも生じ、それがまた経済にプラスに効きます。これは、今回の措置でも同じでして、イールドカーブの起点を引き下げることと、長期国債の大量買入れを続けることによって、イールドカーブ全体が下がってくるので、当然、資産のポートフォリオ・リバランスが起こり、それがまた経済の拡大にプラスに影響するということです。従いまして、金融緩和の効果というものは、十分期待できると考えています。

2年半以上にわたりイールドカーブ全体が下がり、多分ポートフォリオ・リバランスも生じているのに、実際には金利がボロボロに下がっているにもかかわらず消費も投資も大きく伸びず経済は拡大していないし物価も上がっていない。要するに、現実と説明が乖離しているので答になっていない。

経済の拡大には需要が必要で、日本経済の病根は需要不足にあるのだから金融政策は無効であることを証明したのがこの2年半。このままでは出口戦略のひずみが溜まるだけ。もちろんケインズ政策が無効なのも日本の財政赤字が証明している。

黒田総裁は相当明晰かつ肝の据わった方とお見受けする。多分以上のことは百も承知。黒田総裁の本心は、諸外国の日本に対する財政ファイナンス疑惑を醸成し、円の暴落と輸入インフレをもって日本の膨大な財政赤字を実質的に返済可能なレベルまで引き下げることにある、とずっと見ているのだがどうだろう。
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