風の行方とハードボイルドワンダーランド

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重力波、観測と理論

重力波初観測でテレビも新聞もお祭り騒ぎ。多分陽子崩壊と同じぐらい困難な(?)重力波を観測できたのだから祝福ムードは当然の反応でそれに水を差すものではない。ノーベル賞というのもおかしくない。

ただ、テレビ新聞の報道を見ていてどこかはしゃぎ過ぎの感がするので、感想を記しておく。

まず重力波初観測が絶賛されると確かなポイントは重力波を検出したというその観測技術。今回の観測はブラックホールの合体に起因する重力波と言うから、波と言っても音や地震波のような空気や地殻の振動ではなく、ソリトンのような単一波だと思われる。それをLIGOが観測したのだが、何を実際に観測したかと言うと2点間の距離のかすかな揺れ。m単位で考えると有効数字が(多分)10の21乗ぐらいないとこれだけきちんと断言できない。これは凄いことでその点で、日経新聞は「離れ業」ときちんと触れていた( 村山斉・東京大カブリ数物連携宇宙研究機構長は「鏡が陽子の大きさ千分の1ぐらい動くという、小さなさざ波をとらえた。技術的にとんでもない離れ業だ」と驚きを隠さなかった。)。ここまでは異議がない。
20160212重力波

問題はここから先。科学には観測と理論の両輪がある。観測によって理論が生まれることもあるし、理論による予測を観測によって確認することによって理論の正しさが証明されることもある。一般相対性理論は、1919年に日食時の重力レンズ効果が観測されて以来、幾多の観測によって正しさが証明されている。今回の重力波はその予測のひとつで、予測が確かめられたに過ぎない。その意味で観測された事実の価値は大きくないように思える。超一流の科学者が絶賛しているのは確かだが、発言の一部が引用されているに過ぎない気がする。上記記事から(宇宙誕生時の理論研究で知られる佐藤勝彦・自然科学研究機構長は「疑いようのない美しいデータで驚いた」と感動した様子。「一般相対性理論はアインシュタインがほとんど独力で、理論を突き詰めて導き出した。証拠がこんなに見事に見つかるのは、理論物理学の勝利と感じる」と声を弾ませた。)。

次がその価値。1964年のペンジアスとウィルソンによる宇宙マイクロ波背景放射の観測と違って、よくわからないので断言しないが、重力波の測定で得られる情報は極めて限られるのではないか。少なくとも物理的にはそう思ってもおかしくない。上記佐藤勝彦氏のフルコメントが紹介されている(→http://www.nins.jp/public_information/news/20160212.php)。実は上記の同氏のコメントは話のマクラ、本論は(重力波天文学の最大の課題はビッグバン宇宙時に放出された原始重力波を捕らえ宇宙誕生の様子を描き出すことです。(中略)原始重力波の直接観測には長い年月がかかるでしょうが、今世紀末までには必ず実現し、宇宙誕生の現場を重力波で描き出すでしょう。 どうも、あまり熱く語るべき感じはしない。

なぜなら、今回の観測は一般相対性理論の枠内の話。観測される宇宙の事象の多くはこの枠内で予測できる。インフレーションやビッグバンの超初期まで別途予測されている。「天文学に革命」と言う。これら予測が修正される事態が生じれば確かにエキサイティングだが、重力波の観測により、標準理論に修正の可能性があるとししたらどのような波及過程で生じるのか、イメージし難いものがある。
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