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栃木小1女児殺害事件:自白の構造(3)

予定されていた判決期日が3月31日から4月8日に延期されていた本件の裁判員裁判で、宇都宮地裁(松原里美裁判長)は8日、「捜査段階の供述は殺害方法や遺体の状況と矛盾せず、十分信用できる」として、求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。本来検察の求刑に沿った裁判員の判断なら延期などありえないので、8日に延期された背景は裁判員が異論を述べたと考えて良い。「12人の怒れる男」日本版になるのかと気になっていたが、多分、松原里美裁判長に説得されたのだろう。

新聞では単純化された概要だけなのではっきりしたことはわからないが、それでも重要な事実を汲み取ることができる、要点は二つ(日経新聞の記述ママ);
1)松原裁判長は法廷で再生された映像をもとに「取調官は誘導しないよう注意を払っており、供述の強要はなかった」と任意性を認めた。
2)検察が積み上げた状況証拠については「被告が犯人と推認できるものの、犯人と認めることまではできない」とし、自白内容を有罪と判断する最大の根拠とした。


本件のポイントは先日記したが(→自白の構造)、改めてついては上記2点にについて整理する。

1)自白の信用性と任意性の判断は、取調官の自白内容の誘導と供述の強要の有無と対の関係にある。任意性があると断定するには、自白の誘導と強要が100%ないと証明されねばならない。しかし、再生された映像は全取調べ期間の中の検察が任意にコラージュした部分に過ぎず、多分全体の10%以下。「再生された映像をもとに」自白の誘導と強要が100%ないと証明することは論理的にあり得ず、従って「任意性を認めた」と結論するのは誤り。被告は少なくとも4件の警察官の誘導、強要を訴えているので、この部分は録画しなかったのか、後で消去したのか、そのようなことはなかったのかわからないが、全ての取り調べを100%録画していなければどれが真実なのか断定できないはずだ。こんなことにも気が付かずに松原里美という人は裁判長を務めているのだから驚き。任意の部分的録画とさらにその一部の映像の公開では、検察の取り調べの正当化の道具にしか過ぎないように思われる。なぜなら、多くの人は上記の実態にもかかわらず、やはり自白は任意だった、と思うだろうから。

2)状況証拠とは犯罪とは直接関係ない事象をコラージュしたもの。本件では直接の証拠とはなりえない、と判決で述べているので、論理的には検察がこれらを用いて犯罪者を作り上げた、と結論しているに等しい。本件は事件発生8年後の自白だけが証拠という状況下での判決、かつ、自白の任意性は上記の通り。新聞やテレビの報道では、彼が犯人か否かはわからない、というのが論理的帰結。もし被告が無実であった場合は、検察は犯罪者を捏造したことになる。そして、警察と検察と地裁もしくは高裁による冤罪は決して稀ではない。そんな一個の人間の運命を捏造により狂わせておいて、検察官は罪に問われることがない。

マスコミは、ベッキー等々の不倫騒ぎを追いかける暇があったら、この検察官や取り調べをした警察官に突撃インタビューをしてくれたら、少しは世の中のためになるのに、ととても残念。
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