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尖閣列島領海侵入と外務省

今年の8月、中国船舶による尖閣列島領海侵犯に対する日本政府の度重なる「強硬な」抗議姿勢が報道された。今朝の日経朝刊にも、「日中首脳きょう会談」という記事の中で「・・・首相は沖縄県の尖閣諸島周辺海域で8月、中国公船の領海侵入が相次いだのを踏まえ中国側に緊張緩和を促す。」とあった。

外務省の「報道発表」資料によれば、確かに8月に12回の報道発表を行っている。最初の8月5日の内容は以下の通り。
1 本5日午後1時30分頃,我が国尖閣諸島周辺領海に侵入した中国漁船に続いて,中国海警船舶が同領海に侵入し,当該漁船の周辺を航行するなどしていることを確認しました。
2 これを受け,同日午後5時10分頃,杉山晋輔外務事務次官が程永華(てい・えいか)駐日中国大使を外務省に召致し,当該公船による尖閣諸島領海への侵入や同海域での活動は我が国主権の侵害であり,断固として認められない旨強く抗議しました。
3 また,同日午後3時05分頃及び午後4時30分頃,アジア大洋州局参事官から在京中国大使館公使参事官に対し,さらに,同日午後5時30分頃(日本時間),在中国日本国大使館次席公使から中国外交部辺境海洋事務司長に対し,同様の抗議を行いました。


最後の8月21日はこれ。なお、8月26日付けで、「尖閣諸島周辺海域における中国公船及び中国漁船の活動状況について」という8ページのペーパーも用意されている。
1 本21日10時頃に中国公船4隻が領海侵入したことが確認されました。
2 これを受け,同日午前10時10分頃,金杉憲治アジア大洋州局長から郭燕(かく・えん)在京中国大使館公使に対し,中国公船による尖閣諸島領海への侵入は我が国主権の侵害であり,断固として認められない,我が国からの累次の抗議にもかかわらず,中国側が現場の緊張を更に高める一方的な行動を継続していることは全く受け入れられず,我が国領海から直ちに退去するとともに,接続水域から立ち去るよう強く抗議を行いました。


以上のニュースや外務省の報道を見ると、まるで8月に中国による領海侵犯が行われたかのように見えるが、実態は2012年の9月、5年前から恒常的に領海侵入が続いている。下図は海上保安庁がHPで公開している中国公船等による接続水域内入域及び領海侵入隻数データ。拡大すればわかるが赤が月間の領海侵入延船舶数。2012年9月と言うのは日本政府が民有地を買い上げた時期にあたる。この時期から急増し常時毎月延5隻以上、2013年8月には最大で28隻が日本の領海に侵入している。
尖閣列島領海侵入隻数

そこで、以前はどのような「報道発表」がなされていたのか調べてみた。

●2012年。9月24日に1件。
1.本24日(月曜日)午前10時50分頃、河相周夫外務事務次官は、程永華(てい・えいか)駐日中国大使に電話し、本日早朝より中国公船複数隻が尖閣諸島周辺領海に侵入していることに強く抗議するとともに、可及的速やかに領海外へ退去するよう強く求めました。
2.これに対し、程永華大使は、尖閣諸島に関する中国独自の主張を述べた上で、冷静な対話が継続できるようお互いに努力していくべき旨述べました。


●2013年。カーボヴェルデに対する円借款に関する書簡の交換の報道はあるが、中国船舶の領海侵入に関する報道はなし。

●2014年。新任駐日セネガル大使の信任状捧呈の報道はあるが、中国船舶の領海侵入に関する報道はなし。

●2015年。12月24日に日中関係では岸田外務大臣と程永華駐日中国大使との昼食会の報道がある。何を話したかと言うとこちら。
1 岸田大臣から,日中関係は改善の方向にあり,11月のソウルでの日中首脳会談,外相会談を始め,最近の両国間の対話・交流でも前向きなやり取りができているとした上で,関係の正常化には双方の更なる取組が必要であり,来年も程大使を始め中国側と協力していきたい旨述べました。
2 これに対し,程大使から,中国側としても日本側と同じ考えである旨応答があり,両者は,日中関係の更なる改善・発展に向けて協力していくことで一致しました。
3 程大使より,中国から日本を訪れる観光客数が本年は500万人を超える見込みであること,日本の海外留学生の行先の第一位は中国であることにつき紹介があり,このような民間交流は日中関係の基盤として重要であるとの点で認識が一致しました。


●2016年。2月24に日中外交当局間の対話(結果)という報道あり。抜粋すると、
(3)今後の日中関係について意見交換する中で,日本側からは,日中関係に関する以下の基本的考えを改めて表明しました。
•中国の平和的発展は日本の利益であり,「戦略的互恵関係」の考え方に基づき,更なる関係改善を図っていく。
•経済等の日中間の共通利益の拡大,北朝鮮問題のような共通の課題への対処につき,対話・協力を進めたい。
•他方,東シナ海・南シナ海情勢については,現状を強く懸念。
(4)この他,東シナ海・南シナ海情勢を含め,双方が関心を有する個別の課題についてもそれぞれ意見交換しました。


●2016年6月9日に、2012年9月以来2回目の「中国海軍艦艇の尖閣諸島接続水域入域に対する抗議」なる報道がなされた。
1 本9日午前0時50分頃,尖閣諸島周辺の我が国接続水域内に,中国海軍艦艇が入域しました。
2 これを受け,同日午前2時頃,齋木昭隆外務事務次官が程永華(てい・えいか)駐日中国大使を外務省に召致し,重大な懸念を表明して抗議するとともに,我が国接続水域から直ちに出域するよう求めました。
3 なお,同日午前1時15分頃,石兼公博アジア大洋州局長から劉少賓(りゅう・しょうびん)駐日中国大使館次席公使に対し,同様の抗議を行いました。


●そして冒頭の8月の12回の「報道発表」となる

さすが日本、情報公開が進んでいて何をしてきたかがよくわかる。そして同じように何をしてこなかったがもっとよくわかる。
(つづく)

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