風の行方とハードボイルドワンダーランド

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佐藤優の北方領土交渉の見立て

昨日、土曜日の19時という時間にもかかわらず、佐藤優の講演会に行ってきた。テーマは「世界情勢と日本外交の課題」。氏はロシアの専門家でもあるので北方領土問題についても触れると思ったから。会場はコングレススクエア中野、400名ほどの会場だが、追加の椅子をいれるほどの盛況だった。


タイトルとは無関係に、講演内容はトランプと北方領土問題の2点のみ。話はうまい。

トランプ当選を明言していたのは木村太郎と副島隆彦だけだったとか。氏はわからないという立場。アメリカではアナリスト連中がトランプ乗りだったという。規制緩和や大型減税という既存システムからの変化を歓迎したから。なるほど、だから当選後アメリカ株が暴騰したわけだ。結論は、今後の日米関係は何が起きるかわからない、というわかりやすい話。

北方領土問題。「今日は北方領土の本当のことを話しましょう」と聴衆の関心をまず引く。さすが。ソ連参戦から始まって話のほとんどは北方領土問題の外交史の復習だったが、裏話がいろいろと入る。ひとつが、極秘ですとして、1951年のサンフランシスコ条約調印時の話をした。サンフランシスコ条約というのは、樺太の一部と千島列島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄するというもの。この「千島列島」とはどこかというのが問題なのだが、条約には定義されていない。しかし、当時の条約局長西村熊雄は、北千島、南千島の両方を含むと国会で述べたという。ウェブ上の資料も紹介されたので確認。2008年の鈴木宗男しの質問趣意書にある。この回答で政府は二島が含まれないとした。さすが詳しい。

一の吉田茂総理の答弁に引き続き、西村熊雄西村熊雄外務省条約局長は「(サンフランシスコ平和)条約にある千島列島の範囲については、北千島と南千島の両者を含むと考えております。しかし南千島と北千島は、歴史的に見てまったくその立場が違うことは、すでに全権がサンフランシスコ会議の演説において明らかにされた通りでございます。(中略)なお歯舞と色丹島が千島に含まれないことは、アメリカ外務当局も明言されました」と答弁したが、この答弁は政府がこの時点においては国後島、択捉島がサンフランシスコ平和条約で放棄された千島列島に含まれるものと認識していたと解してよいか。

1956年の日ソ共同宣言、両国が批准した唯一の協定で、歯舞群島及び色丹島を平和条約の締結後日本に引き渡すことにつき合意した。「返還」ではなく「引き渡し」。すなわちソ連領であるので返還する必要はなく、だから引き渡すということ。へー。合意しているのだからやはり領土問題は存在しない。

もっとも両国が歩みよったのが2001年の森首相のイルクーツク会談時。二島返還、二島については議論しましょう、という森提案に対し、プーチンは時間をくれ、といって検討を約した。しかし、鈴木宗男、佐藤優の国策操作と重なったこともあって国内に異論もあり以降両国の距離が縮まることはなかった。

今回の会談、結局何もない、というのが氏の見立て。ロシア側には、漁業権の喪失や軍人の失業という問題、プーチンは独裁者ではなく内部に5-6の派閥のような権力構造の上に立つ脆弱な権力で無理はできないから、というのがその理由。

最後の質問タイムで挙手するも外れ。「今日も岸田外相が「わが国の法的立場を崩さないことが大前提だ」と話しているが、法的立場とは両国が批准した日ソ共同宣言を遵守するということか?」と質問するつもりだったのに残念。
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