風の行方とハードボイルドワンダーランド

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「第十八共徳丸」と「はまゆり」

昨日の夜のNHKニュースで東日本大震災の遺構を残す民間レベルの試みが紹介されていた。

人間の記憶など脆弱なもので時間と共に都合の良いように改竄されるか消滅してしまう。東北の津波は今回が初めてではないのだが、昔の出来事は多くの人にとっては忘れられた。今回の津波の被害の凄まじさは、ネット上に多数残されているとはいえアクセスしなければ見ることはできない。同様の被害を繰り返さないためには100年という時間レベルで朽ちることのない震災遺構を目に見える形で残すことが災害に直面した同時代人の責務であるはずである。

という意味でNHKの報道はそれなりにもっともなようだが、何をいまさら、という違和感があったので、いい機会だからこの機に以下の事実を記しておく。

震災当時、スキー場で追突され背中側の肋骨を6本骨折という大けがのため自宅療養していた。おかげで一日中震災の被害と原発事故をテレビで見ていたので東日本大震災についてはかなり詳しい。それゆえ震災の象徴の一つが「第十八共徳丸」と思っていた。全長60メートル、総トン数は330トン。東日本大震災の津波によって、港から750メートルも離れた市街地まで運ばれた。
第十八共徳丸1
第十八共徳丸2

以下当時のニュースをもとに経緯を記す。当然ながら、気仙沼市は震災遺構として共徳丸の保存を目指してきたが、儀助漁業は「反対する地元住民が多い」などとして、解体の意向を市に伝えていた。市は「保存してほしいという思いに変わりはない」(幹部)との立場で、2013年7月に市内の全世帯を対象として船を残すことへの賛否を尋ねるアンケートを実施する方針。

全2万6000世帯を対象に実施し、16歳以上の市民1万4083人が回答

東日本大震災の津波で気仙沼市の市街地に打ち上げられた大型漁船「第18共徳丸」の解体作業が2013年9月9日に始まった。船体の大半はリサイクルされ解体費の約5000万円は、鉄の売却益などで賄われる予定だ。しかし、気仙沼市が7月に行った市民アンケートで、約7割が保存は必要ないと回答したことから、菅原茂市長も保存を断念したという。

結局最大の震災遺構となるべきものが解体されてしまった。国もしくは人類にとっての不幸の要因は二つ。どうも復興作業の管轄は各地方自治体にゆだねられていたらしい。当時は民主党政権だったので仕方ないが、国家百年の計という見地から、例え顰蹙を買おうと国として遺構を残せと命令する人材が政府もしくは地元国会議員に居なかったこと。二つ目は、菅原茂市長が住民に媚びて保存をしなかったこと。アンケートを実施するという考え自体が間違っている。

もう一つの遺産候補が「はまゆり」。はまゆりは、隣の釜石市が所有していた全長約28メートル、排水量109トンの観光船。岩手県大槌町で検査中に津波に巻き込まれ、海岸線から約150メートル内陸まで流された。水が引いた後、巨大な船体が高さ約10メートルの屋根の上に取り残された光景は津波の猛威を示す象徴となった。
はまゆり1
はまゆり2

同様に記すと、大槌町長ならびに議員はまともな方で、倒壊の危険があるため2011年5月に船を解体したが、「震災の風化を防ぎたい」との住民の要望を受け、町は設計図を基に、新たな建材を使って元の場所に原寸大で再現することを決定。財源として寄付金を充てると条例で定めた。 だそうだ。

しかし東日本大震災の津波で岩手県大槌町の民宿屋上に乗り上げた観光船「はまゆり」の復元計画に黄信号がともっている。寄付金を募って復元する予定だったが、必要額の4億5千万円に対し、昨年12月末時点で寄付は約355万円止まり。町の復興事業見直しでは「縮小」と判定され、実現が危ぶまれている。 という途中経過。

結局、ところが周知不足もあり、集まったのは必要額の1%にも満たない。同時期に寄付の受け付けを始めた、死者を悼む「鎮魂の森」整備事業が2億3千万円近く集めたのとは対照的で、町総合政策課の担当者は「復興事業が忙しく、PR活動に手が回らなかった」とうつむく。昨年11月に公表した復興事業の見直しでは「実現見通しが立たず、賛同も得られていない」として「規模縮小」と判定された。

ここでの不幸はやはり、国が無関心だったこと。このようにして二つの貴重な震災遺構が失われた。

原爆ドーム、当然こんな悲惨な記憶は見たくない、という人も多かったろうが、結局無事残された。平和への願いや核兵器廃絶の象徴としての価値は周知の通り。実物ほど強く語るものはないのに・・・・。
原爆ドーム
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