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風の行方とハードボイルドワンダーランド

再雇用の機会を捨て自由な時と空間を・・・ 人は何のために生まれてきたのだろうか? これから本当の旅がはじまる・・・

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受刑者と死刑囚

松山刑務所寮
松山刑務所大井造船作業場は、松山刑務所の開放的処遇施設で,日本で唯一の塀の無い刑務所だそうだ。テレビのワイドショーでみたが、受刑者は「寮」に収容され、部屋も大きくは窓も開放的。ただし受刑者に変わりはなく、生活は一般の刑務所と変わりはないようだ。いずれにせよ受刑者としてはきわめて恵まれた環境で脱走するとは甘えも甚だしい。

その対極にあるのが死刑囚の拘置所。東京に死刑囚のほぼ半数が収容され、大阪、福岡、名古屋にも収容されている。拘置所の名の通り、懲役と違って原則外に出る機会はなく、独房で刑が執行される日を待つために生かされているだけの日々。初めて実態を垣間見たのは、大道寺将司の句集、「棺一基」のあとがきに書かれていた彼の記述。

毎年季節の変わり目になると同じような句を詠んでしまいます。直截的且つ即物的に反応してしまうのです。死刑囚として監獄に拘禁されているため自然に触れる機会がすくなく、寒暖の差によってしか季節の変化が感じられないからかもしれません。・・・

青字部分、?という感じだが、死刑囚の独房は窓と鉄格子の間が穴のあいた遮蔽板で塞がれ、外の景色を見ることができない。わずかに穴から光が入り込むだけ。また、暖房設備も冷房設備もなく、冬は「しもやけ」に、夏は「あせも」との闘いとなるそうだ。しかも、拘置所の規則により室内を自由に動くことも許されず坐っていることが義務付けられている。その様子は24時間の監視カメラで監視されている。

どうも死刑囚には個人的人権も憲法の擁護も適用されないようだ。まさに生き地獄。彼は死刑執行を待たず、2017年5月24日、多発性骨髄腫により収監中の東京拘置所で死去、享年68歳。死刑が確定したのは1987年なので30年間、死刑囚として独房で過ごした。

それだと、まるで映画「パピヨン」の南米の独房みたいだが、食事は3食きちんと提供され、夏は週2回、冬は週3回ベランダや屋上で30分ほどの運動が許されている。入浴も着替えを含め15分程度、夏は週3回、冬は2回の機会が与えられている。運動と入浴、そして面会時間以外は独房で座って過ごす。救いとしては、教科指導として俳句や書道などを学習する機会の提供やそれらの道具を所持することも許されているらしい。

映像としては昔観た今村昌平監督脚本、役所広司主演の「うなぎ」という映画で一般受刑者の刑務所内の生活がリアルに描かれていたのを思い出す。角川春樹は拘置されていた時の作品を句集「檻」として刊行している。少なからぬ句がこの映画の映像と重なり、俳句にもかかわらず景がリアルに見えて印象深い句集。


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