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風の行方とハードボイルドワンダーランド

再雇用の機会を捨て自由な時と空間を・・・ 人は何のために生まれてきたのだろうか? これから本当の旅がはじまる・・・

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蕎麦屋の世界

下の谷にある明川の集落は典型的な限界集落、谷間に棚田が広がるが毎年他の数が減って今は半分は荒れ田になっている。下の画像の刈られた田より上は全て放棄田。
20171207-2.jpg

春の画像だが、上からみると雑草の生い茂る荒野が広がる。
20140508-21b.jpg

4年前、この荒れた棚田を借りて農業ごっこをしようと思い、みなかみ町の役場にいって農業法上の問題を含めそれが可能かどうかを確認した。結論は農業法上は不可ではあるが、地権者と合意すれば町としては黙認するというもの。その時頭にあったのが蕎麦畑。夏、一面の蕎麦畑が谷に広がる様はなんと素敵なことか。最終的に「そんな暇あるの?」という妻の素朴な質問を受け、確かに無理かもと気付き実現しなかったが、おかげで蕎麦に関してはちょっと親しくなった。実行しなかったもう一つの理由は収穫した蕎麦の期待される販売価格だった。

と、長い前書きのもと、先日こんな四段抜きの記事に目が止まった。
20181111そば1

まず、ソバの常識として、米で言えば玄米に当たる玄ソバの価格が、何故か知らぬが45キロというとても中途半端な単位で表される。4年前の単価は1万円ちょっと、キロ当たり250円程度に過ぎない。記事は去年より4割高いという話だが、所詮2万円、キロ当たり500円にも満たない。その理由は不作で、「通常なら10アールあたり約45~65キロほど収穫できるが今年は20~30キロ程度。」(担当者)という。

すなわち、田圃一枚(10アール)で普通に収穫できても4年前だと売り上げは1万円、今年も不作なのでやはり1万円。金儲けのために作ろうとしたわけではないが、田圃一枚の雑草を取り除いて耕し、多少は土を調度して種をまいて・・と思うとやはりヤル気が失せた。
20181111そば2 玄ソバ

さて、玄ソバは挽かれてソバ粉になる。玄ソバをそのまま挽くひきぐるみ(全粒粉)もあるが、普通挽き方によって一番粉、二番粉、三番粉と分けられる。その加工代が加わるのでソバ粉の値段は上がるが、それでもキロ900円程度(上記別記事より)。

もう一つのソバの不都合な真実は、国産の割合は20-30%で中国を筆頭に輸入品が大半、これらの価格は現在国内産の3-4割程度。さらに普通は二八蕎麦、すなわち小麦粉を2割混ぜて打つ。モリソバ一枚のソバ粉の量は100グラム以下なので、高給蕎麦屋の国産ソバ粉で打ったソバでもその原価は100円に満たない、ましてや普通の蕎麦屋なら50円にもならないだろう。

上記の「ソバ店、価格転嫁に苦慮 」という記事には以上のことがきちんと示されているのだが、何故か見出しはまるで蕎麦屋の価格転嫁を後押しするよう。蕎麦屋は暴利をむさぼっているのだから同情する必要は全くない。まるで蕎麦屋という特権階級がソバ生産者という労働者を搾取している帝国主義みたい、というのがソバの生産者目線での感想。
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