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風の行方とハードボイルドワンダーランド

再雇用の機会を捨て自由な時と空間を・・・ 人は何のために生まれてきたのだろうか? これから本当の旅がはじまる・・・

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ILCの行方

ILCとはInternational Linear Colliderの頭文字をとったもので、直訳すれば国際直線型衝突器だろうか、これでは何のことかわからないので、ILC(これでも何のことかわからない)、もしくは巨大加速器と呼んでいる。

1993年に国際将来加速器委員会(ICFA)が推進を決定したものの、欧州にはCERNがあるからという理由で、アメリカは最初から降り、唯一日本の素粒子物理学コミュニティがILCを日本に建設する準備を進め、2013年以降、世界の研究者からも日本におけるILC計画実現は熱望されている状況にあった。

そんな中、今月の初めにこんな記事があったので、へー、どうなるんだろう?と興味津々で7日のニュースを待った。
20190303ILC.png
宇宙誕生の謎に迫る巨大加速器「国際リニアコライダー(ILC)」の建設構想を巡り、文部科学省が日本への誘致に関する考えを7日に表明する。国際的な研究拠点が生まれることへの期待と巨額の費用負担に対する懸念の間で、政治家や経済界の思惑も絡み、態度はまだ固まっていない。文科省がどこまで踏み込んだ姿勢を示すかが焦点だ。

ILCは地下にトンネルを掘ってつくる全長20キロメートルの直線状の巨大加速器だ。電子と陽電子を光速に近いスピードで衝突させ、宇宙誕生直後の「ビッグバン」を人工的に再現。そこで起こる現象を観測し、宇宙の成り立ちを探る。宇宙に大量に存在する「暗黒物質」の正体などに迫れる可能性があるとされる。


7日の日経夕刊、山荘にいたのでネットで見た(ネット版の有料会員になっている)が掲載されていない、8日の朝刊にも掲載されていなかった。他紙は知らないが、ニュースの価値がないんだと淋しい思いをすると同時にニュースにならないことに驚いた。多分、ほとんどの日本人にとって興味がないと判断されたのだろうと思った。ただし更にネットで調べると結果をゲットすることはできた。
宇宙誕生の謎を探る巨大加速器「国際リニアコライダー(ILC)」を日本に建設する構想について、文部科学省は7日、現時点で誘致の表明に至らないとする見解を示した。「計画に関心を持って国際的な意見交換を継続する」とし、米欧などとの対話を通じて実現性を見極める。

参考までに、日経新聞は9日の社説で取り上げた。もしかしたらどういう立場、支持しようかそれとも基礎科学に対する無理解と非難しようか迷っていたのかもしれない。主文はこちら。
9日の社説「巨大加速器の誘致は難しい」
文科省の判断は当然だ。成果が生まれれば宇宙誕生の謎解きにつながるとの期待はある。半面、米欧は巨額の費用に二の足を踏み、建設を断念した。日本が引き受けるのなら、基礎科学での日本の国際的な地位と研究力の向上につなげる明確な戦略が欠かせない。


本件に関心があった理由は、こんなものに日本が国として関わる必要はない、と思っていたから。その理由はコストと成果の非対称性。

まず、コスト。ILCの建設費は7千億~8千億円にのぼるとされ、年間の運転費用も400億円近くかかる。日本の負担が全体の半分になっても軽くはない。建設から研究終了まで30年かかり、影響は将来世代にも及ぶ。要するに2兆円プロジェクト。

次に期待される成果。日経の上記記事では、「ビッグバンを人工的に再現。そこで起こる現象を観測し、宇宙の成り立ちを探る。宇宙に大量に存在する「暗黒物質」の正体などに迫れる可能性があるとされる。」とあるが、読者に勝手な思い込みを誘発する表現。

近年、CERNの巨大加速器LHCでヒッグス粒子の存在が確認された。しかし、これ以上新粒子が見つからないこともはっきりしたという。よって新粒子を見つける必要はなく、ヒッグス粒子を大量に作ってその性質を詳しく調べれば良い。その道具がILC、円を回って加速する必要が無く直線で良いため、能力的にLHCの50分の1の規模で済むらしい。要するに未知の何かを発見するのではなく、理論的にわかっているが不明な点ももちろんあり、その点の確認、というニュアンスが強い。

この話は、1年程前に「宇宙論の現在位置」という記事を書いたので興味ある方はどうぞ、→こちら

日本では北上山地がその建設予定地候補らしいが、地球の地震帯に位置する日本よりアメリカの砂漠にでも建設した方がどう見ても良さそうだが、アメリカに建設の意思はないらしい。

はやぶさ2のコストは運営費も含めて300億円以下、最近、NASAが様々な銀河を網羅的に観測する新しい宇宙望遠鏡「スフィアーエックス」の開発に乗り出したとのニュースがあったが、この開発費が270億円。2兆円の科学予算があれば有効な使い道はいくらでもありそう。


CERNの観測装置の内部。LHCatras.jpg

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