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2019.09/26 [Thu]
タヌキとキツネ
普通に暮らしているとタヌキとキツネについて熱く語る機会は多くない。稀にそのような機会があると、以前よりタヌキとキツネは似ていると主張するものの、同意を得たことはなく、かつ変な人と見られることが普通だった。
さて、二年半ほど前に「アザラシは猫か犬か熊か」というタイトルで分類学の話を書いた。少々前に、遺伝子解析が分類学に持ち込まれてネコ目の分類が大混乱に陥った。面白い例がこちら。ゴマフアザラシはどういう位置づけか、という話。アザラシ科というのはいいとして、その上のレベルではクマ下目、その上ではイヌ亜目、そして目ではネコ目である。アザラシは、猫の仲間である、犬の仲間である、熊の仲間である、と三人で議論したとすれば三人とも正しい。

今日は何の予定もなく暇だったこともあり、多少分類学についてちょっと知っていたのでタヌキの分類学上の位置づけを精査した。想像に難くないが、分類学は古典的には形態が重視されてきた。その後、比較解剖学、発生学、生化学、細胞学など科学の進化に伴う知見が取り入れられて分類体系は見直しがされてきた。現在では形質発現の大元となると考えられる遺伝子のDNA配列を調べることが容易になり、これを比較して系統を推定する方法である分子系統学が急激に発展している。
その結果と思われるイヌ科の分類がWikiに掲載されていた。2005年に発表された核DNAの12エクソンと4イントロンを用いた最大節約法による系統推定では、大きく以下の4系統に分かれるという結果が得られた。
下図の点線の四角で囲った区分けがその4系統。図で、黄色はキツネの名の付く種、赤がイヌ、緑がオオカミ、そして青がタヌキ。キツネは3つの系統に分散し、第3系統は旧キツネとオオカミとイヌが一緒になっている。なお、濃い色の四角は日本のタヌキとキツネとオオカミと犬の位置。タヌキとキツネは第2系統に属し、タヌキとキツネが似ているという鋭い洞察は正しかった。
また注目すべきは2点。
1)タヌキは1属だけで分岐先がない。即ち古い時代に進化が停止している。イヌ科の中にいくつかいるセミ生きる化石。確かに世界的に俯瞰するとタヌキは珍しい生き物の一つだそうで、どこかの国では珍獣として動物園にいるそうな。
2)第4系統の末端がイヌとオオカミ。DNA配列にほとんど差異がないそうで、石器時代、一部の性格の良いオオカミが人間に近づき、世代を重ねるうちに人間と暮らしオオカミとは違う進化を遂げたというのは有名な話。

さて、二年半ほど前に「アザラシは猫か犬か熊か」というタイトルで分類学の話を書いた。少々前に、遺伝子解析が分類学に持ち込まれてネコ目の分類が大混乱に陥った。面白い例がこちら。ゴマフアザラシはどういう位置づけか、という話。アザラシ科というのはいいとして、その上のレベルではクマ下目、その上ではイヌ亜目、そして目ではネコ目である。アザラシは、猫の仲間である、犬の仲間である、熊の仲間である、と三人で議論したとすれば三人とも正しい。

今日は何の予定もなく暇だったこともあり、多少分類学についてちょっと知っていたのでタヌキの分類学上の位置づけを精査した。想像に難くないが、分類学は古典的には形態が重視されてきた。その後、比較解剖学、発生学、生化学、細胞学など科学の進化に伴う知見が取り入れられて分類体系は見直しがされてきた。現在では形質発現の大元となると考えられる遺伝子のDNA配列を調べることが容易になり、これを比較して系統を推定する方法である分子系統学が急激に発展している。
その結果と思われるイヌ科の分類がWikiに掲載されていた。2005年に発表された核DNAの12エクソンと4イントロンを用いた最大節約法による系統推定では、大きく以下の4系統に分かれるという結果が得られた。
下図の点線の四角で囲った区分けがその4系統。図で、黄色はキツネの名の付く種、赤がイヌ、緑がオオカミ、そして青がタヌキ。キツネは3つの系統に分散し、第3系統は旧キツネとオオカミとイヌが一緒になっている。なお、濃い色の四角は日本のタヌキとキツネとオオカミと犬の位置。タヌキとキツネは第2系統に属し、タヌキとキツネが似ているという鋭い洞察は正しかった。
また注目すべきは2点。
1)タヌキは1属だけで分岐先がない。即ち古い時代に進化が停止している。イヌ科の中にいくつかいるセミ生きる化石。確かに世界的に俯瞰するとタヌキは珍しい生き物の一つだそうで、どこかの国では珍獣として動物園にいるそうな。
2)第4系統の末端がイヌとオオカミ。DNA配列にほとんど差異がないそうで、石器時代、一部の性格の良いオオカミが人間に近づき、世代を重ねるうちに人間と暮らしオオカミとは違う進化を遂げたというのは有名な話。

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