Entries
2020.04/01 [Wed]
新型コロナウイルスの行方(3)
コロナウイルスとインフルエンザウイルス、ウイルスの世界もなかなか多様な中で両者は親戚関係のようなもの、構造もそっくり。両者とも呼吸器細胞に取り付き感染症を起こすが、インフルエンザウイルスは喉止まりなのに対し、コロナウイルスは肺の細胞に取り付き破壊するため、免疫力が弱いと重篤な肺炎を起こす。詳細は省くが、同じ構造をしているので感染パターンも同じ。

日本では毎年季節性インフルエンザとして1000万人が感染し、合併症を含めれば1万人が亡くなってる。この話は一ヶ月ほど前に書いた。毎年のことなので、国民は慣れているのでマスクが店頭から消えることはないが、厚生労働省はきちんと毎週感染状況をHPに公開し、また国立感染症研究所は報告書をまとめている。2018/2019シーズンに関しては35ページのレポートでなかなか興味深い。コロナウイルスについて何か話すなら、同様の感染症であるインフルエンザの実態の認識は不可欠である。

それだけ被害甚大なインフルエンザだけに、1999年からインフルエンザ定点サーベイランスとして、全国の約5000の医療機関を定点として週ごとにインフルエンザと判断された症例を集計している。感染者数に関する前シーズンの実態が下図。全国平均の1診療機関当たりの週間患者数の推移である。この値が1を超えると流行シーズン入りと認定され、それは2018年の第49週、12月上旬であった。その後感染者は(毎年のことだが)「爆発的に」増え、2019年の第4週、1月下旬に57のピークを観測、以降劇的に減少した。

同報告書には、集計データだけでなく、そのデータの基づく感染者数の推計もしている。図としては同じだが、縦軸が推計受診者数に変わり、単位は50万人、ピーク時は一週間で約220万人だった。

上図の数字は週間の値、コロナに関しては日々値よりも累計感染者がメインの情報であるので、累計値を算出した。これが下図、昨シーズンのインフルエンザ感染者累計値の1200万人にあわせてある。後で述べるが、これがあると世界各国の感染者の推移経過を日本のインフルエンザの流行の経緯と比較することにより、科学的かつ合理的に論ずることが可能となる。

付随していくつかのインフルエンザ流行のポイントを記しておく。まず、感染者の年代別分布。インフルエンザは若いほど感染者が多いと前回記したが、このレポートにも同様のデータがあった。パイチャートに代えてこの図の表現にしたので一目瞭然。これは、高齢者ほどインフルエンザの被曝量が多いため、天然ワクチンとして免疫ができているためと思っている。

続いて死亡者数。インフルエンザ関連死亡迅速把握システムなる記述があり、そこに実際の死亡者数のデータが掲載されていた。下図は東京の過去十数年の実績。一言で言えば、青線が全死亡者数で、ピンク線と青線の間がインフルエンザによると推計される死者数。前シーズンは東京だけで数百人が亡くなっていたようだ。

最後に、厚生労働省の週次感染報告から、感染者の分布状況を見てみる。時期は、流行シーズン入りした2018年12月上旬とピーク時の2019年1月下旬で、各県の平均定点報告数の多い順のヒストグラム。
流行シーズン入りした週の値は1.7、その時点ですでに感染は全国的にひろがっていた。約5000の診療機関における報告=感染者数は8400人。ただし、県によって感染者数は大きく異なる。北海道が多いのは当然として、香川県や、愛知、和歌山が多かった。

ピーク時の報告=感染者数は28万人。上述のように、日本全体の推定感染者数は220万人である。グラフの縦軸の目盛りは上の流行シーズン入りした時の図の10倍であることに注意。県による差はあるものの、その差は流行入り時に較べれば小さく、全国的にくまなくインフルエンザウイルスがいきわたっていることがわかる。上位は埼玉、新潟、千葉、宮城、神奈川県。北海道が下から2番目と流行がすでに収束にむかっていることがわかる。一月ほど前「インフルエンザの収束過程」に書いた仮説が正しい証明のひとつとして使えそう。

最後に流行入りした時点の感染者数がピーク時にどのぐらい増えるのか、県別で見てみる。全国平均では34倍だったが、県別では200倍から10倍程度と大きな差があった。流行入りした時点での感染者が少ない県では分母が小さいから仕方がない。100倍以上だった県が下図。流行入りした週の報告数=感染者数合わせて示した。定点医療機関のサンプル値であるが、それでも10人から60人程度おり、当初いくら小規模の感染者でも、感染を放置すれば100倍に増えるようだ。



日本では毎年季節性インフルエンザとして1000万人が感染し、合併症を含めれば1万人が亡くなってる。この話は一ヶ月ほど前に書いた。毎年のことなので、国民は慣れているのでマスクが店頭から消えることはないが、厚生労働省はきちんと毎週感染状況をHPに公開し、また国立感染症研究所は報告書をまとめている。2018/2019シーズンに関しては35ページのレポートでなかなか興味深い。コロナウイルスについて何か話すなら、同様の感染症であるインフルエンザの実態の認識は不可欠である。

それだけ被害甚大なインフルエンザだけに、1999年からインフルエンザ定点サーベイランスとして、全国の約5000の医療機関を定点として週ごとにインフルエンザと判断された症例を集計している。感染者数に関する前シーズンの実態が下図。全国平均の1診療機関当たりの週間患者数の推移である。この値が1を超えると流行シーズン入りと認定され、それは2018年の第49週、12月上旬であった。その後感染者は(毎年のことだが)「爆発的に」増え、2019年の第4週、1月下旬に57のピークを観測、以降劇的に減少した。

同報告書には、集計データだけでなく、そのデータの基づく感染者数の推計もしている。図としては同じだが、縦軸が推計受診者数に変わり、単位は50万人、ピーク時は一週間で約220万人だった。

上図の数字は週間の値、コロナに関しては日々値よりも累計感染者がメインの情報であるので、累計値を算出した。これが下図、昨シーズンのインフルエンザ感染者累計値の1200万人にあわせてある。後で述べるが、これがあると世界各国の感染者の推移経過を日本のインフルエンザの流行の経緯と比較することにより、科学的かつ合理的に論ずることが可能となる。

付随していくつかのインフルエンザ流行のポイントを記しておく。まず、感染者の年代別分布。インフルエンザは若いほど感染者が多いと前回記したが、このレポートにも同様のデータがあった。パイチャートに代えてこの図の表現にしたので一目瞭然。これは、高齢者ほどインフルエンザの被曝量が多いため、天然ワクチンとして免疫ができているためと思っている。

続いて死亡者数。インフルエンザ関連死亡迅速把握システムなる記述があり、そこに実際の死亡者数のデータが掲載されていた。下図は東京の過去十数年の実績。一言で言えば、青線が全死亡者数で、ピンク線と青線の間がインフルエンザによると推計される死者数。前シーズンは東京だけで数百人が亡くなっていたようだ。

最後に、厚生労働省の週次感染報告から、感染者の分布状況を見てみる。時期は、流行シーズン入りした2018年12月上旬とピーク時の2019年1月下旬で、各県の平均定点報告数の多い順のヒストグラム。
流行シーズン入りした週の値は1.7、その時点ですでに感染は全国的にひろがっていた。約5000の診療機関における報告=感染者数は8400人。ただし、県によって感染者数は大きく異なる。北海道が多いのは当然として、香川県や、愛知、和歌山が多かった。

ピーク時の報告=感染者数は28万人。上述のように、日本全体の推定感染者数は220万人である。グラフの縦軸の目盛りは上の流行シーズン入りした時の図の10倍であることに注意。県による差はあるものの、その差は流行入り時に較べれば小さく、全国的にくまなくインフルエンザウイルスがいきわたっていることがわかる。上位は埼玉、新潟、千葉、宮城、神奈川県。北海道が下から2番目と流行がすでに収束にむかっていることがわかる。一月ほど前「インフルエンザの収束過程」に書いた仮説が正しい証明のひとつとして使えそう。

最後に流行入りした時点の感染者数がピーク時にどのぐらい増えるのか、県別で見てみる。全国平均では34倍だったが、県別では200倍から10倍程度と大きな差があった。流行入りした時点での感染者が少ない県では分母が小さいから仕方がない。100倍以上だった県が下図。流行入りした週の報告数=感染者数合わせて示した。定点医療機関のサンプル値であるが、それでも10人から60人程度おり、当初いくら小規模の感染者でも、感染を放置すれば100倍に増えるようだ。

- 関連記事
-
- 日本版大学ランキング
- 新型コロナウイルスの行方(4)
- 新型コロナウイルスの行方(3)
- 新型コロナウイルスの行方(2)
- 新型コロナウイルスの行方(1)
スポンサーサイト
*Comment
Comment_form