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2020.04/21 [Tue]
さもしい日本人
NHKの世論調査の結果、今月10日から3日間のRDD調査で回答数は1253人。
緊急経済対策のうち、世帯主の月収が一定の水準まで落ち込んだ世帯などに限って、1世帯あたり現金30万円を給付することについて、「大いに評価する」が8%、「ある程度評価する」が35%、「あまり評価しない」が34%、「まったく評価しない」が16%でした。
共同通信社の10~13日の全国電話世論調査結果。
条件を付けて1世帯30万円を給付する政府方針に関しては「一律に給付すべきだ」が60.9%で、「妥当だ」20.4%、「金額を増やすべきだ」10.7%の順だった。
7日の緊急事態宣言時に安倍総理大臣が表明した困難に直面している人達を対象に30万円を給付するという政府案、会見後のQ&Aでのコメントを再掲しよう。30万円の給付についてでありますが、自民党にも一律で給付した方がいいではないかという議論がありました。私たちも検討した。・・・ですから、本当に厳しく収入が減少した人たちに直接給付が行くようにしていきたいと考えました。
「30万円の行方」で述べたように「拍手」だったが、翌日以降、同記事に書いたように、「ところが、役人の作った具体的な給付対象案が、本来の趣旨を外れた愚かしいものだったので、新聞もテレビのワイドショウ―も、本来の主旨について誰も言及することなく、個人的損得勘定や不公平感などが熱く語られるばかり、日本人の品格の無さに唖然とした。 」もちろん、野党は国民一律10万円支給の大合唱。給付を受けられる人は国民の1割程度なので、受けられない9割のウケを狙ったのだろう。人間としての品格の欠片もない。
そして新聞テレビの影響なのだろう、世論調査結果は冒頭のとおりであった。今回の緊急事態においては、収入も貯蓄も乏しい日々の生活さえ覚束ない弱者救済こそ、政府として最優先すべき政策と信じて疑わなかったから、この世論調査に改めて驚いた。NHKで5割がその政策に不満を延べ、共同通信の調査項目では明確に「一律に給付すべきだ」が6割だった。
それぞれ理屈はあるのだろうが、6割もの国民が貯蓄もなく住む所や食うものに困っているはずはなく、要はオレにも金をクレクレと言っているわけだ。
さもしいにも程があると同胞ながら呆れてしまう。オスロに暮らして分かったことの一つが、日本人は自分が中国人や韓国人、東南アジアとは違う品格を備えた国民と思っているようだが、実態は日本も全体でみればアジアの国、大同小異であるということ。さいわい、さもしい人は6割でまともな人も3割以上いるのが救いである。
世論調査の結果の出た14日の日経新聞によると、公明党には支持者から「なぜ妥協したのか」との声が相次ぎ、「今回の給付は大変評判が悪い」と斉藤鉄夫幹事長は自民党の二階俊博幹事長に伝えたそうだ。自民党の党役員も「現金給付は複雑でわかりにくいとの意見が多い」「全国民一律給付の要望が地元で強い」と次々と新たな給付を促したそうだ。
こんな記事も。一律給付を評価して、NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」(東京)の大西連理事長は減収世帯に限った給付は制度が複雑だと指摘、「困窮世帯が分かりやすく確実に受け取れる給付方法になってよかった」と話す。
給付システムが悪いというのは、それを立案した官僚が愚かだから、と先のブログで非難した。給付方法は手段の話、本質は困窮者の救済。緊急に給付できる手段を講じ得れば良いだけの話で、大半が貯蓄に回るような一律配布が良かったとは、これがNPOの所長かと実名を記載。
そして、更に驚いたのが政府の対応。結局、国民全員に10万円の一律給付となった。NHKの「日曜討論」で自民党の稲田幹事長代行は「一律10万円を国民に給付することによって、一致団結するというふうに方針を転換した。」と述べていた。目的が一致団結に変わっていたが、一致団結のために8兆円を使うって、本来野党がもっと有効な使い方があるだろ、と激怒すべきところ。しかし、それが野党の要求だから文句の言いようがない。
さもしい6割の国民と一部の愚かな官僚と情けない多くの与野党国会議員。世は外出自粛の春爛漫。
4月10日に書いた「30万円の行方」(→こちら)の肝の部分を以下再掲しておく(一部表記を校正)。
下図は厚生労働省の「国民生活基礎調査」の平成30年版から。日本の所得階級別の世帯比率分布(平成28年度)である。二年前に「日本における経済格差」について記事を書いた際に引用したものだ。記事は→こちら。
年間所得が200万円に満たない世帯が約20%いる。これらの多くは十分な貯蓄はなく、のうのうとしていられる会社などに勤めているわけではないので、まさに「困難に直面している」人たちと思って良いのだろう。年金生活者も多数含まれているので、それらを除外すれば、真の困難に直面している単身者を含む世帯は数百万世帯ぐらいだろう。

政府は我家案より多額の財源を割くつもりなので、所得を労働によって得ている年間所得100万円未満の単身者を含む世帯全て、プラス3-5月の月間収入の減少が大きいと見込まれる100-300万円世帯などと財源に合わせた限定給付とすれば、「本当に厳しい」人達を救えるはず。現金が必要な人に給付されるので、給付金が貯蓄や贅沢品に回る比率も低くなる。所得が300万円以上あれば収入はもっと多くそこそこの貯蓄はあるはずで、不公平だろうが何だろうが支給する必要はない。
→こちら
緊急経済対策のうち、世帯主の月収が一定の水準まで落ち込んだ世帯などに限って、1世帯あたり現金30万円を給付することについて、「大いに評価する」が8%、「ある程度評価する」が35%、「あまり評価しない」が34%、「まったく評価しない」が16%でした。
共同通信社の10~13日の全国電話世論調査結果。
条件を付けて1世帯30万円を給付する政府方針に関しては「一律に給付すべきだ」が60.9%で、「妥当だ」20.4%、「金額を増やすべきだ」10.7%の順だった。
7日の緊急事態宣言時に安倍総理大臣が表明した困難に直面している人達を対象に30万円を給付するという政府案、会見後のQ&Aでのコメントを再掲しよう。30万円の給付についてでありますが、自民党にも一律で給付した方がいいではないかという議論がありました。私たちも検討した。・・・ですから、本当に厳しく収入が減少した人たちに直接給付が行くようにしていきたいと考えました。
「30万円の行方」で述べたように「拍手」だったが、翌日以降、同記事に書いたように、「ところが、役人の作った具体的な給付対象案が、本来の趣旨を外れた愚かしいものだったので、新聞もテレビのワイドショウ―も、本来の主旨について誰も言及することなく、個人的損得勘定や不公平感などが熱く語られるばかり、日本人の品格の無さに唖然とした。 」もちろん、野党は国民一律10万円支給の大合唱。給付を受けられる人は国民の1割程度なので、受けられない9割のウケを狙ったのだろう。人間としての品格の欠片もない。
そして新聞テレビの影響なのだろう、世論調査結果は冒頭のとおりであった。今回の緊急事態においては、収入も貯蓄も乏しい日々の生活さえ覚束ない弱者救済こそ、政府として最優先すべき政策と信じて疑わなかったから、この世論調査に改めて驚いた。NHKで5割がその政策に不満を延べ、共同通信の調査項目では明確に「一律に給付すべきだ」が6割だった。
それぞれ理屈はあるのだろうが、6割もの国民が貯蓄もなく住む所や食うものに困っているはずはなく、要はオレにも金をクレクレと言っているわけだ。
さもしいにも程があると同胞ながら呆れてしまう。オスロに暮らして分かったことの一つが、日本人は自分が中国人や韓国人、東南アジアとは違う品格を備えた国民と思っているようだが、実態は日本も全体でみればアジアの国、大同小異であるということ。さいわい、さもしい人は6割でまともな人も3割以上いるのが救いである。
世論調査の結果の出た14日の日経新聞によると、公明党には支持者から「なぜ妥協したのか」との声が相次ぎ、「今回の給付は大変評判が悪い」と斉藤鉄夫幹事長は自民党の二階俊博幹事長に伝えたそうだ。自民党の党役員も「現金給付は複雑でわかりにくいとの意見が多い」「全国民一律給付の要望が地元で強い」と次々と新たな給付を促したそうだ。
こんな記事も。一律給付を評価して、NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」(東京)の大西連理事長は減収世帯に限った給付は制度が複雑だと指摘、「困窮世帯が分かりやすく確実に受け取れる給付方法になってよかった」と話す。
給付システムが悪いというのは、それを立案した官僚が愚かだから、と先のブログで非難した。給付方法は手段の話、本質は困窮者の救済。緊急に給付できる手段を講じ得れば良いだけの話で、大半が貯蓄に回るような一律配布が良かったとは、これがNPOの所長かと実名を記載。
そして、更に驚いたのが政府の対応。結局、国民全員に10万円の一律給付となった。NHKの「日曜討論」で自民党の稲田幹事長代行は「一律10万円を国民に給付することによって、一致団結するというふうに方針を転換した。」と述べていた。目的が一致団結に変わっていたが、一致団結のために8兆円を使うって、本来野党がもっと有効な使い方があるだろ、と激怒すべきところ。しかし、それが野党の要求だから文句の言いようがない。
さもしい6割の国民と一部の愚かな官僚と情けない多くの与野党国会議員。世は外出自粛の春爛漫。
4月10日に書いた「30万円の行方」(→こちら)の肝の部分を以下再掲しておく(一部表記を校正)。
下図は厚生労働省の「国民生活基礎調査」の平成30年版から。日本の所得階級別の世帯比率分布(平成28年度)である。二年前に「日本における経済格差」について記事を書いた際に引用したものだ。記事は→こちら。
年間所得が200万円に満たない世帯が約20%いる。これらの多くは十分な貯蓄はなく、のうのうとしていられる会社などに勤めているわけではないので、まさに「困難に直面している」人たちと思って良いのだろう。年金生活者も多数含まれているので、それらを除外すれば、真の困難に直面している単身者を含む世帯は数百万世帯ぐらいだろう。

政府は我家案より多額の財源を割くつもりなので、所得を労働によって得ている年間所得100万円未満の単身者を含む世帯全て、プラス3-5月の月間収入の減少が大きいと見込まれる100-300万円世帯などと財源に合わせた限定給付とすれば、「本当に厳しい」人達を救えるはず。現金が必要な人に給付されるので、給付金が貯蓄や贅沢品に回る比率も低くなる。所得が300万円以上あれば収入はもっと多くそこそこの貯蓄はあるはずで、不公平だろうが何だろうが支給する必要はない。
→こちら
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