Entries
2020.04/30 [Thu]
新型コロナウイルスの正体(3)
先月の22日、NHKスペシャル「“パンデミック”との闘い~感染拡大は封じ込められるか~」が放映された。厚生労働省が2月25日に感染症の専門家ら約30人を集めて作った「新型コロナウイルス クラスター対策班」に、メディアとしては初めて密着取材を試みたもの。主旨の一つが、日本のコロナ感染拡大防止策が「クラスター潰し」だったと思う。その説明に使われて印象的だったのが、大阪のライブハウスで発生した集団感染で、感染者のほとんどが他人に感染させることなく自己収束し、一人だけが複数の人に感染させていたという事実。感染者の8割は他人に感染させていないという厚労省のデータもあるらしい。世界中でパンデミックな感染が拡大していた最中だけに、異様な報道だった。
サイエンス誌上で押谷氏もこの間の事情に関し、「最大の謎は接触者調査をやっても感染者が全然見つからなかったことだ」と感想を述べている。日本のCOVID-19の感染力が誰にでも感染するほど強ければこのようなことは起きない。一方、多数に感染させる核になる感染者も(わずかながら)存在しているのも確か。
さて、その後の感染者発生状況を見る。東京新聞HPには東京都内の1日ごとの感染者数を示すグラフが日々更新され、かつ感染経路が特定できたものと感染経路不明者に色分けして示すという優れもの。厚生省の怠慢か無能なのかわからないが日本全体に対する資料はない。ローカルなデータではあるが日本全体でも同様と考えてよいだろう。

感染者数の推移は三月中旬をプラトーとし漸減傾向にあり、言い換えると現在は収束過程に入っているように見える。たぶんそうだろう。しかしここでのポイントはそれではなく、色分けされた感染経路特定と不明者の推移にある。
まず、感染経路が特定されている感染者(A)。Aは身元の分かっている感染者(B)から感染している。もしBを放置した場合、諸外国のように指数関数的感染者の増加を招くはず。実態はしかし黄色の部分に増加傾向はみられない。むしろA+Bの累計数は増加し続けているのだから、感染拡大は見事に防止されているといってよい。多分にPCR検査陽性者が隔離されている効果ではあるが、陽性と判明するまでは放置状態なのだからそう単純ではない。上述の大阪のライブ会場の集団感染の後と似ている。
2月末に北海道の北見市で展示場での集団感染があった。顛末は、「この展示会では、北見市の7人と札幌市の4人の感染が確認されている。道新型コロナウイルス感染症対策本部によると、濃厚接触者147人の健康観察を3月末に終了し、その後2週間にわたって、新たな感染者が出なかったため、今回の終息宣言となった。」だそうで、やはり同じパターン、大阪ライブのデジャブ。
次に感染経路不明の新規感染者(C)、Aと異なり身元不明の感染者(D)から感染している。Dは多分無症状でかつ完全に放置され続けていることを意味する。Dが一人より多い人数に感染させれば、経路不明者部分の感染爆発が起こらねばならない。しかし、東京新聞のデータは4月11日で感染経路不明者の増加傾向は止まり、かつその時までの感染力(基本再生産数)は1.2に満たないほどだった(この現実に対し数値を2.5とおいて電卓をたたいたのが西浦某)。
なぜ、日本では感染者が無症状で放置されていても感染爆発が起きないのか?なぜ基本再生産数が他国に比べて低いのか?
本シリーズの(1)、(2)で簡単に記したが、感染のプロセスはもっと複雑。宿主の遺伝子上の資質について触れたが、人種が違えばその差は大きい。その差がウイルスの増殖プロセスに関与する様々な酵素やタンパク質の生成量に関与することがあるかもしれない。症状の軽いコロナの抗体の効果もあり得る。実態はよくわからないが、いずれにしろ日本での感染発生状況は他国と較べ桁違いに低い、この不都合な?事実は認識すべきである。
久しぶりに感染者の推移世界版。4月13日のピーク時頃に書いた予測記事に貼り付けた図で、日本の感染者数のみアップデートした。日付は日本の推移に対する日本の日付け、他国の推移はそれぞれの国の感染者の増大開始時期を日本に合わせて表示している。誰も予測を示さないので作ったが大外れだった。嬉しい恥の公開。(つづく)

サイエンス誌上で押谷氏もこの間の事情に関し、「最大の謎は接触者調査をやっても感染者が全然見つからなかったことだ」と感想を述べている。日本のCOVID-19の感染力が誰にでも感染するほど強ければこのようなことは起きない。一方、多数に感染させる核になる感染者も(わずかながら)存在しているのも確か。
さて、その後の感染者発生状況を見る。東京新聞HPには東京都内の1日ごとの感染者数を示すグラフが日々更新され、かつ感染経路が特定できたものと感染経路不明者に色分けして示すという優れもの。厚生省の怠慢か無能なのかわからないが日本全体に対する資料はない。ローカルなデータではあるが日本全体でも同様と考えてよいだろう。

感染者数の推移は三月中旬をプラトーとし漸減傾向にあり、言い換えると現在は収束過程に入っているように見える。たぶんそうだろう。しかしここでのポイントはそれではなく、色分けされた感染経路特定と不明者の推移にある。
まず、感染経路が特定されている感染者(A)。Aは身元の分かっている感染者(B)から感染している。もしBを放置した場合、諸外国のように指数関数的感染者の増加を招くはず。実態はしかし黄色の部分に増加傾向はみられない。むしろA+Bの累計数は増加し続けているのだから、感染拡大は見事に防止されているといってよい。多分にPCR検査陽性者が隔離されている効果ではあるが、陽性と判明するまでは放置状態なのだからそう単純ではない。上述の大阪のライブ会場の集団感染の後と似ている。
2月末に北海道の北見市で展示場での集団感染があった。顛末は、「この展示会では、北見市の7人と札幌市の4人の感染が確認されている。道新型コロナウイルス感染症対策本部によると、濃厚接触者147人の健康観察を3月末に終了し、その後2週間にわたって、新たな感染者が出なかったため、今回の終息宣言となった。」だそうで、やはり同じパターン、大阪ライブのデジャブ。
次に感染経路不明の新規感染者(C)、Aと異なり身元不明の感染者(D)から感染している。Dは多分無症状でかつ完全に放置され続けていることを意味する。Dが一人より多い人数に感染させれば、経路不明者部分の感染爆発が起こらねばならない。しかし、東京新聞のデータは4月11日で感染経路不明者の増加傾向は止まり、かつその時までの感染力(基本再生産数)は1.2に満たないほどだった(この現実に対し数値を2.5とおいて電卓をたたいたのが西浦某)。
なぜ、日本では感染者が無症状で放置されていても感染爆発が起きないのか?なぜ基本再生産数が他国に比べて低いのか?
本シリーズの(1)、(2)で簡単に記したが、感染のプロセスはもっと複雑。宿主の遺伝子上の資質について触れたが、人種が違えばその差は大きい。その差がウイルスの増殖プロセスに関与する様々な酵素やタンパク質の生成量に関与することがあるかもしれない。症状の軽いコロナの抗体の効果もあり得る。実態はよくわからないが、いずれにしろ日本での感染発生状況は他国と較べ桁違いに低い、この不都合な?事実は認識すべきである。
久しぶりに感染者の推移世界版。4月13日のピーク時頃に書いた予測記事に貼り付けた図で、日本の感染者数のみアップデートした。日付は日本の推移に対する日本の日付け、他国の推移はそれぞれの国の感染者の増大開始時期を日本に合わせて表示している。誰も予測を示さないので作ったが大外れだった。嬉しい恥の公開。(つづく)

- 関連記事
-
- 新型コロナウイルスの正体(5)
- 新型コロナウイルスの正体(4)
- 新型コロナウイルスの正体(3)
- 新型コロナウイルスの正体(2)
- 新型コロナウイルスの正体(1)
スポンサーサイト
*Comment
Comment_form