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風の行方とハードボイルドワンダーランド

再雇用の機会を捨て自由な時と空間を・・・ 人は何のために生まれてきたのだろうか? これから本当の旅がはじまる・・・

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ファクターXの発見と証明(4)

結核概論から始める。日本もはかつては立派な結核の先進国で、昭和25年の日本の死因の1位が結核、昭和50年でも死因の10位、年間1万人の死亡者だった。従来より結核撲滅の努力のおかげで、死因としては30位に後退し死者2000人前後でというのが現状。今も公益財団法人結核予防会が啓蒙活動に努めている。そのパンフレットの一部がこちら、重要な情報がたくさん詰まった優れもので、「世界の総人口の約四分の一が既に感染済」という味わい深い記載もあった。
20200624結核予防会

当然ながら結核の発症の多い国では予防対策に熱心なはずで、一番有効な対策であるBCG接種の国民接種率も高いと思われる。BCGにもいくつかの種類がある。日本BCG研究所学術顧問の戸井田一郎氏が、2004年に書き下ろした「BCGの歴史」にいくつか価値ある情報が記されている。まずBCGの系統樹。日本のBCGはロシアと並んで最も古いタイプだそうだ。その後新たなBCGが登場するのだが、新しいからより効果があるというわけではなさそうで、新しくなるにつれ抗原の一つの要素であろう細胞膜構成成分が徐々に欠損している(下図の青枠)。国によって接種されるBCG株は異なるので、その効果に何らかの差が生じる可能性があるのかもしれない。
20200624BCG系統樹

もう一つのBCG株による違いが生菌数。詳しいことは専門家に譲るが、BCG株によって大きく異なり、日本株が一番多く、次いでロシア株、ヨーロッパで主流のデンマーク株では一桁少ない。上記の差と生菌数の差を考えると、日本株が一番効きそうで、デンマーク株は止めておこう、というのが素人の直感というか、小学生でもそう思うだろう。

なお、この表は4月5日のYahoo ニュースの木村正人氏の記事から拝借、深謝。
20200624BCG生菌数

さて、前回は国別の結核感染者数とCOVID-19の死亡者数をクロスプロットし、ヨーロッパや南米では一般に死亡者数が高いにもかかわらずいくつかの国々が、低COVID-19の死亡者数国家群に紛れ込んでいることをしました。今回は凡例を代え、BCG株による違いを見た。データの出典は先日紹介したネット上にある東工大の先生方(?)の査読前と思われる論文、論文の基となるデータが表で示され、BCG株の名前が記されていた。

結果がこちら。国別ではヨーロッパや南米であったが、BCG株は全てロシア株であった。紫の三角は記載がなく不明だが東南アジアやイスラム圏の国々である。Othersの二か国は中国(右)のShanghai D2PB302とオーストラリア(左)のConnaught (until 2010s)。
20200624BCG株1

注意。国別のBCG株はすべて東工大データに従ったわけではない。例えば東工大データではポーランドがDanish 1331、コロンビアがPasteur 1173となっていた。一方、以前に示したBCG接種の分布を示した世界地図では、それぞれ独自生産の株、ロシア株、と示されていた。ポーランドは歴史的にソ連と近くロシア株を基にした可能性が高く、コロンビアについてはどちらが正しいがわからないが、いずれもロシア株としてプロットしている。また東工大データに採録されなかった国のうち、世界地図で日本株、ロシア株に塗られている場合はそれに従った。特定できないものはUndesignatedに。
20200624BCG株矛盾

プロットの全体像はこちら。BCGにCOVID-19との相関がみられない、というのは正しいが、それはBCGの株が種々あるにもかかわらず一括りにしてしまったから。人様のデータとはいえどもそれらのデータの語るところは、BCGの中でも、Tokyo 172-1(日本株)とロシア株には有意以上の顕著な死亡抑止効果が認められるといっていいのではないか。

20200624BCG株2

ではBCGワクチンによるCOVID-19に対する抑止メカニズムは何か。この点に関しては5月初めの記事に引用したので割愛。ただそのコメントをサポートする内容を上述の戸井田一郎氏が記していた。専門的過ぎるが、これを読むとなるほどそういうことなのか、という気分になる。

2)BCG 接種が初感染群の病巣に及ぼす影響
1.BCG は,結核初感染肺病変の進展を抑える。この結果,肺原発病巣からの直接的な一次型肺結核の進展の危険は少なくなる。
2.BCG は,結核初感染の肺門リンパ節病変の成立を阻止する。この結果,
a)初感染に引き続いて起こる重篤な血行性散布型の結核症,例えば結核性髄膜炎,粟粒結核の発生が阻止される。
b)Ranke の第期に相当する肺門リンパ節からの微量の血行性散布の相が抑制され,肺(または肺葉)尖端部への散布も軽減するので,将来の内因性再燃の危険が減少する。

以上、証明終り。

参考までに、前回、今回の作図に使ったデータがこちら。グレーは記載に疑いがあるもの。
20200624東工大データ
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