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風の行方とハードボイルドワンダーランド

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シェール開発の実態と石油の近未来

昔のことを思い出したついでに石油のことについて書く。会社を辞めてから石油開発に対する関心は見事なまでに消えたが、世界経済情勢を俯瞰する上で、油価や原油生産量等の一般常識には一応目を配っている。

チェサピーク破綻のニュースの翌日に、こんな記事が日経新聞に掲載されていた。たいした記事ではないが、リグの稼働数の激減と油価の推移を合わせて示した記事の添付図はなかなか秀逸だった。

石油開発は、実はアメリカの主要産業の一つ、シェールオイル、シェールガスも同じだが、どのようなものか多くの日本人は知らないだろう。新聞テレビで紹介されることはないし、記者も実態がどのようなものか知らないから仕方がない。
20200630シェールの落日 20200630油価とリグ

ということで、シェール開発生産の基礎知識の初級編。下図はシェールガスの生産フィールドにおける井戸の配置計画図。シェールオイルも同じ。黒のへんな模様が生産井で、真ん中の緑の丸から生産井を水平に6本掘る計画であることを示している。井戸というと垂直なものというのが日本人の常識だが、シェール開発では地下の目的とするシェール層を水平に掘削する。一つのフィールド掘削される井戸数は数百を超え、1000を超えることも珍しくない。これを掘削する機器をリグという。
20200702Well location

その生産井からオイルやガスを生産するのだが、シェールの特徴は1生産井当たりの生産量が少なくかつ生産量の減退が速いこと。1年で半減というのは生産性の良好な井戸で、多くは下図のような生産挙動をとる。平均すれば1年で半減以下、2年目にはすべて日産100バーレル以下になる。ゆえに生産者は生産量の維持もしくは増産のために上図のように多数の井戸を掘削し続けねばならない。
20200702Type curve

どのぐらいの生産井が掘削されているのかを示すのが稼働しているリグの数。シェールの開発のためだけにリグが使われるわけではないが、現在は8割前後はシェールの開発目的なのでなので良い指標になる。下図は過去5年間の推移で、2014-5年ごろの油価の暴落でリグの稼働数が減少したが2016年半ばからから急増、ピークの1000基をつけ800基台で落ち着いていたが、コロナのの感染拡大に伴う需要減と油価暴落に伴い、6月12日には199基にまで減少している。

仮に500基がシェールの開発用とすれば年間6000坑以上の新規生産井が蒸発するような状況。
20200702US rig count

生産井掘削の成果である原油の生産量を見る。シェールブームによるリグの稼働数増加により生産量も2016年の850万BOPDから1300万BOPDまで順調に生産が延び、この時は世界一の産油国になっていた。が、稼働リグ数の激減につれ、現在は1000万BOPDである。

問題はこれから。40ドル/バーレルの油価では多くのシェールの生産井の掘削は経済的に成り立たない。しかも、上述の通りシェールオイルの減退率は大きい。この油価レベルではアメリカの原油生産量は、年末には800万BOPD台に落ち込む。
20200702US oil production

さらに深刻なのがこちらのニュース。シェール以外の石油は、探鉱作業で油田を発見し、商業規模の油田のみが開発に移行、原油が生産される。しかし、この油価レベルでは、探鉱投資すら制約を受ける。中期的に原油の増産は望めない。

となれば、来年以降のオイルショック、即ち油価の急騰は不可避。それほど、人間は愚かではないので、多分油価は緩やかに適切な居所を見つけるのであろう。先の記事にこうあった。原油価格の前提は、国際指標の北海ブレントで20年はこれまでの1バレル60ドルから35ドルに下方修正した。21年は40ドル、22年は50ドルと、それぞれ従来の60ドルから引き下げる。23年以降の長期は従来と同じ60ドルとした。期せずしてシェルと同じ見解に。
20200702shell.png
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