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風の行方とハードボイルドワンダーランド

再雇用の機会を捨て自由な時と空間を・・・ 人は何のために生まれてきたのだろうか? これから本当の旅がはじまる・・・

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コロナのおかげ?

東京大学病院の中川恵一准教授が毎週「がん社会を診る」というコラムを書いておられる。怪しげな専門家が横行する中、ガンの専門家としての見識に満ちた記事はいつも新鮮で、毎週目を通す記事のひとつ。今週はコロナばかりではなく、ガンへの注意も怠りなくという啓蒙記事であった。
7月22日 日経新聞から 20200723がん社会

その中で要旨とは離れるが気になる記述があったので、僭越ながら訂正させていただく。新聞にこう書いてあったと、自説のように主張する人が少なからずおり、迷惑なだけでなく世にとっても不幸せだから。

こんな一節である。
PCR検査の件数が増えれば、陽性者数も増えるのは当然です。感染した人の数に一喜一憂するのではなく、重症者、死亡者の数をより重視する必要があると思います。死亡者は全国的にほとんど増えていません。感染者、死者とも全国の3分の1を占める東京都でも、7月に入って死者数はゼロが続きました。重症者の数は全国的に見ても、東京都に限ってもおおむね減少傾向にあります。

その通りでさすが中川先生、冷静である。いけないのは次の一言、筆がすべった感じがありありとしているが、これを読んだ読者のほぼ100%は、何の違和感もなく納得するだろう。赤字で記した部分である。
マスクの着用や手洗いをする人が増えたためと思いますが、インフルエンザの患者数は激減しています。厚生労働省の推計によると、3月1日時点の全国の累計患者数は約397万人で、前年同期の4割弱です。

今シーズンのインフルエンザ患者数の激減の理由は、新型コロナウイルス感染の流行により、公衆衛生にたいする国民の意識が高まったため、と書いてある。思っただけで、そうであると断定はしていないが、偉い先生が思えば普通の人はそうなんだと思ってしまう、権威主義が大好きな日本の不幸。

まず新型コロナウイルス感染者の推移の復習。昨年末に中国武漢で新型ウイルスの発生が報じられ、1月には感染者がわずかであるにも関わらず武漢が封鎖された。このころは対岸の火事。2月3日に集団感染が明らかになった豪華クルーズ船ダイアモンドプリンセスが横浜港に入港した。中国だけの話ではなくなって身近なものになったが、船が隔離されていることもあって身近な脅威ではなかった。2月中旬から国内でも感染者が散見され始め、3月下旬には感染者が一日100人を超え、4月7日に7都府県に緊急事態宣言が出された。

日本には1億人が暮らすので人様々ではあるが、多くの人がマスクや手洗いを始めたのは統計はないものの、多分3月に入ってからだろう。
20200723インフルエンザ減の原因

では今シーズンのインフルエンザ患者数の推移はどうだったのか?データは厚生労働省の季節性インフルエンザ専用ページのデータ。縦軸は全国の多数のモニター医療機関での感染者数の平均値で感染者数の絶対値ではないが、流行をモニターするには十分。歴史的にこのデータが積み重ねられている。11年分のデータファイルが公開されていたのでそれを拝借。

今シーズンのインフルエンザの流行は例年より早く11月に流行の兆しが始まった。その後例年の通り爆発的に感染者が増え続けるが、ピークは不思議なことに昨年の第52週、すなわち年末であった。1月第1週には感染者数が急減している。その後3週間ほど小康状態を続け、第5週、すなわちダイアモンドプリンセスが入港したころにはまた急減し始めた。

明らかに、マスクの着用や手洗いをする人が増えたためインフルエンザ患者が今年激減したわけではない。
20200723インフルエンザ推移

逆に言えば、マスクや手洗いをしないから毎年年末年始に患者が急増し、2月になってマスクの着用や手洗いをする人が増えたため患者の発生が急減するわけではない。インフルエンザは新型コロナウイルスと異なり、飛沫感染や経口感染が主であるから、本来はマスクや手洗いが有効であるはず、にもかかわらず、だ。

蛇足ながらもう一点。2010年の感染者(水色)が異常に少ない。なぜか?

2009年のインフルエンザは9月から始まり感染のピークは10月だった。2010年はそのピークのテール、だから少ない。

インフルエンザは寒くなると流行るわけではない。コロナについて何か書く前にまずインフルエンザについていろいろと知らべた。2月のことである。その中の一つに「インフルエンザの発生過程」という記事を書いた→こちら

この時は2009年の流行の実態を知らなかったが、その時の考察とぴったり一致するのが2009/2010シーズンの感染者数推移。お暇な方は「インフルエンザの収束過程」なども含めご一読のほど。COVID-19の行方に対するヒントがあるような気がしている。
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