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風の行方とハードボイルドワンダーランド

再雇用の機会を捨て自由な時と空間を・・・ 人は何のために生まれてきたのだろうか? これから本当の旅がはじまる・・・

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須川展也 バッハ・シークェンス

バッハの無伴奏ヴァイオリンパルティータ全3曲をサクソフォンで演奏する、この記事を見た瞬間は目を疑った。サクソフォンは木管楽器だから単音しか出せない、一方無伴奏ヴァイオリンパルティータは弦楽器だから同時に複数の音を弾くことを要求される(超絶技巧らしいが)。どのような演奏なのか全く想像できなかったから。

バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータは、神がバッハの手を借りて書き上げた人類史上唯一無二の音楽だと思っている。ヘンリク・シェリング、シギスヴァルト・クイケン、諏訪内晶子の全6曲のCDを所有しており、退職後にはクイケンと諏訪内晶子の全6曲のコンサートにも行っているほど。

YouTubeにこのCDのデモがあった。一部であるが試聴して驚いた。サックスというとジャズの音色しか知らなかったが、聴こえてきたのは全く知らない美しい音、そしてバイオリンの演奏と比して全く遜色のないバッハの世界だった。演奏者は須川展也。アマゾンで購入し、今回山荘で封を開いた。
20201212バッハ・シーケンス

感想文を熱くしたためてもいいのだが、CDの解説を書いておられる池田卓夫氏の文章がまた素晴らしいので引用させていただく。

「《ソナタ》ではフーガが多用され、サクソフォンだと多重録音でもしない限り無理です。《パルティータ》は技術的には何とかなるので『いつかは演奏、録音したい』と考えてきました」と、須川は背景を語る。そして、「なぜサクソフォンで演奏するのか」の理由、意味を見つけられるまでは自身で厳しく、バッハを「封印」してきた。

「第5章の長大な「シャコンヌ」はヴァイオリン奏者が音楽と楽器の歴史を一身に背負い、哲学の領域まで踏み込んで演奏することを求められる傑作です。私も原調でサクソフォンを演奏し、「シャコンヌ」に込められた人間の心の動きに可能な限り迫ろうと努めました。」

「とりわけバッハは何百年に一人の存在であり、宇宙から”降ってきた”としか思えません。『神様は本当にいる』とも感じます。」


最後の池田氏の感想部分。
・・・超絶テクニックを駆使しながらも「技」の表面を超え、人間の存在の深いところへと音楽が下りていく。須川展也という音楽家がサクソフォンという楽器と一体化、人生の今までと今、これからのすべてを投じてバッハの宇宙に飛び込んだ傑作である。

大げさに聞こえるかもしれないが、最初のパルティータ1番のアルマンドを聴いただけで、そうだよなと納得できる。かつて購入したCDの中でも最高の傑作のひとつであるのは確か。生きててよかったとさえ思う。

参考までにシャコンヌのバイオリン譜。さすがに冒頭の多重和音部分の再現は無理だが、見事にバッハの宇宙が展開してゆく。
20201214シャコンヌ
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