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2021.01/22 [Fri]
日本におけるコロナの実態(11);変異種の脅威?
昨日、ロイターのニュースでイヤな感じのニュースが流れていた。タイトルは「南アのコロナ変異種、血漿療法効かず ワクチン効果限定か」、南アフリカで検出された新型コロナウイルス変異種「501Y.V2」には、感染後に回復した人の血液を使用する「回復期血漿療法」による抗体が効かないことが分かったという。)
[ヨハネスブルク 20日 ロイター]
南アフリカで検出された新型コロナウイルス変異種「501Y.V2」には、感染後に回復した人の血液を使用する「回復期血漿療法」による抗体が効かないことが分かった。国家感染症研究所(NICD)と協力する研究チームが20日発表した。専門誌に公表された論文で「501Y.V2は新型コロナ感染症の回復期血漿療法による中和抗体から実質的または完全に逃れた」と指摘。スパイクタンパク質を標的とする現行のワクチンの効果が限定される可能性があるとした。
南アの伝染病専門家は18日、501Y.V2について、人の細胞に結合しやすく、感染力が従来種よりも強いことが生物学的に確認されたと発表した。血漿療法を巡っては、集中治療を必要とする重症患者には効果が乏しいことが示されているが、一部の国では緊急措置として承認されている。
これまで何回か記したが、アフリカ大陸において南アフリカだけが異様な感染爆発の推移を示しており、その理由は分からなかったが昨年12月にかけて、南アフリカの新型コロナウイルスが変異種である501Y.V2であることがわかった。下図は南アフリカ(赤)を含むアフリカの国々の累積感染者数の推移を示すもので、単位は人口100万人当りでノーマライズしてある。片対数なので見かけより差は大きく、南アフリカの累積感染者数は他のアフリカ諸国平均の数十倍になるだろう。
明らかに他国の新型コロナウイルスに較べ感染力が強く、それに対してワクチンはともかく、患者から採取された生きた抗体も効かないとなれば深刻な状況、ということになる。

昨日の夕刊にも、「 英のコロナ変異種、60カ国・地域に拡大」というタイトルで WHOの週報の一部が紹介されていた。
恐怖感はたっぷり。
【パリ=白石透冴】世界保健機関(WHO)は19日、英国で広がる新型コロナウイルスの変異種が17日時点で世界60カ国・地域で確認されたと発表した。感染力が従来のウイルスより最大70%高いとされ、広がりをみせている。12日時点と比べて10カ国・地域増えた。南アフリカで拡大が確認され、同じく感染力が高いとみられる別の変異種は23カ国・地域で見つかっている。双方の変異種共にウイルスの外側にある突起状のたんぱく質「スパイク」の形が従来型と異なり、人間に感染しやすくなっている可能性がある。
こちらが同レポートの変異種の確認状況。英国種と南ア種のツインデミックが20か国で確認されており日本はここに色分けされている。南ア種のみが3か国、英国型だけが40か国というのが内訳。

それとは別に、アフリカの感染者数が11月ごろから激増していることに気づいていた。アフリカは結核蔓延国が多数あることから、東南アジア同様大したことにはならないと思っていたので、ヘンだなと推移を見守っていた。

上記WHOのレポートには世界の直近1週間の感染者数を国毎に示した感染マップがある。そのアフリカ部分の拡大図を見ると、北アフリカのヨーロッパとの接触の多い国々を除くと、南アフリカに隣接した国々感染者が急増していることが判明した。

数字で見るとこんな感じ。アフリカ全体の8割ほどが南アフリカを含む7か国の感染者だった。

これら7か国の感染者数を、先のアフリカの新規感染者の推移グラフに赤で書き込むと、増加部分のほぼ全量を占めていると判明した。アフリカ全体で感染者数が増加しているのではなく、南アフリカの感染力の強い501Y.V2が周辺諸国に蔓延していたことがわかる。

国別に感染者推移を詳しく見る。まず南アフリカ。7月にピークを記録しそれ以降収束したに見えたが12月に第二波を迎えた。どうなることかと心配していたが、1月に一日22000人のピークを記録した後は収束に迎えているように見える。

周辺と内部の6か国の推移。国の大きさ、即ち人口が大きく異なるものの感染推移のパターンは全く同じ、多少の時差をもって感染者の爆発が始まり、邦名スワジランドを意外はやはり収束傾向を示している。変異種である501Y.V2、変異は外殻のスパイクの変異だけなのか、感染力は強いものの感染パターンは、先の論文の結論とは異なり、通常の新型コロナウイルスと同じようなものと思っていいようだ。インフルエンザと同じく、毎年変異種による感染爆発が繰り返されているが、感染者数の推移パターンは同じ。

それよりも興味深いのが、この7か国で感染者推移パターンがほぼ同じであること。これらの国がマスクやフェースガード、ソーシャルディスタンスの確保、手の殺菌、飲食業の営業自粛、外出自粛などに関し同一の感染防止対策を採用しているとは思われず、似ているとはいえ社会、文化、医療体制なども異なるはず。それにもかかわらず感染拡大収束のパターンが同一であるということは、感染の推移はそれらとは無関係、むしろ抗うすべのない自然現象として認識すべきであることを示す証左のように思える。
思い上がった人間が自然をコントロールしようとして幸せになることはない。いわんや、欧米諸国に較べ感染者数も死者も数十分の一という日本においては、恐怖をあおり国民を経済的に貶め一方で莫大な財政支出をするより、もっと賢明なコロナ対策があるだろうにと改めて思う。
[ヨハネスブルク 20日 ロイター]
南アフリカで検出された新型コロナウイルス変異種「501Y.V2」には、感染後に回復した人の血液を使用する「回復期血漿療法」による抗体が効かないことが分かった。国家感染症研究所(NICD)と協力する研究チームが20日発表した。専門誌に公表された論文で「501Y.V2は新型コロナ感染症の回復期血漿療法による中和抗体から実質的または完全に逃れた」と指摘。スパイクタンパク質を標的とする現行のワクチンの効果が限定される可能性があるとした。
南アの伝染病専門家は18日、501Y.V2について、人の細胞に結合しやすく、感染力が従来種よりも強いことが生物学的に確認されたと発表した。血漿療法を巡っては、集中治療を必要とする重症患者には効果が乏しいことが示されているが、一部の国では緊急措置として承認されている。
これまで何回か記したが、アフリカ大陸において南アフリカだけが異様な感染爆発の推移を示しており、その理由は分からなかったが昨年12月にかけて、南アフリカの新型コロナウイルスが変異種である501Y.V2であることがわかった。下図は南アフリカ(赤)を含むアフリカの国々の累積感染者数の推移を示すもので、単位は人口100万人当りでノーマライズしてある。片対数なので見かけより差は大きく、南アフリカの累積感染者数は他のアフリカ諸国平均の数十倍になるだろう。
明らかに他国の新型コロナウイルスに較べ感染力が強く、それに対してワクチンはともかく、患者から採取された生きた抗体も効かないとなれば深刻な状況、ということになる。

昨日の夕刊にも、「 英のコロナ変異種、60カ国・地域に拡大」というタイトルで WHOの週報の一部が紹介されていた。
恐怖感はたっぷり。
【パリ=白石透冴】世界保健機関(WHO)は19日、英国で広がる新型コロナウイルスの変異種が17日時点で世界60カ国・地域で確認されたと発表した。感染力が従来のウイルスより最大70%高いとされ、広がりをみせている。12日時点と比べて10カ国・地域増えた。南アフリカで拡大が確認され、同じく感染力が高いとみられる別の変異種は23カ国・地域で見つかっている。双方の変異種共にウイルスの外側にある突起状のたんぱく質「スパイク」の形が従来型と異なり、人間に感染しやすくなっている可能性がある。
こちらが同レポートの変異種の確認状況。英国種と南ア種のツインデミックが20か国で確認されており日本はここに色分けされている。南ア種のみが3か国、英国型だけが40か国というのが内訳。

それとは別に、アフリカの感染者数が11月ごろから激増していることに気づいていた。アフリカは結核蔓延国が多数あることから、東南アジア同様大したことにはならないと思っていたので、ヘンだなと推移を見守っていた。

上記WHOのレポートには世界の直近1週間の感染者数を国毎に示した感染マップがある。そのアフリカ部分の拡大図を見ると、北アフリカのヨーロッパとの接触の多い国々を除くと、南アフリカに隣接した国々感染者が急増していることが判明した。

数字で見るとこんな感じ。アフリカ全体の8割ほどが南アフリカを含む7か国の感染者だった。

これら7か国の感染者数を、先のアフリカの新規感染者の推移グラフに赤で書き込むと、増加部分のほぼ全量を占めていると判明した。アフリカ全体で感染者数が増加しているのではなく、南アフリカの感染力の強い501Y.V2が周辺諸国に蔓延していたことがわかる。

国別に感染者推移を詳しく見る。まず南アフリカ。7月にピークを記録しそれ以降収束したに見えたが12月に第二波を迎えた。どうなることかと心配していたが、1月に一日22000人のピークを記録した後は収束に迎えているように見える。

周辺と内部の6か国の推移。国の大きさ、即ち人口が大きく異なるものの感染推移のパターンは全く同じ、多少の時差をもって感染者の爆発が始まり、邦名スワジランドを意外はやはり収束傾向を示している。変異種である501Y.V2、変異は外殻のスパイクの変異だけなのか、感染力は強いものの感染パターンは、先の論文の結論とは異なり、通常の新型コロナウイルスと同じようなものと思っていいようだ。インフルエンザと同じく、毎年変異種による感染爆発が繰り返されているが、感染者数の推移パターンは同じ。

それよりも興味深いのが、この7か国で感染者推移パターンがほぼ同じであること。これらの国がマスクやフェースガード、ソーシャルディスタンスの確保、手の殺菌、飲食業の営業自粛、外出自粛などに関し同一の感染防止対策を採用しているとは思われず、似ているとはいえ社会、文化、医療体制なども異なるはず。それにもかかわらず感染拡大収束のパターンが同一であるということは、感染の推移はそれらとは無関係、むしろ抗うすべのない自然現象として認識すべきであることを示す証左のように思える。
思い上がった人間が自然をコントロールしようとして幸せになることはない。いわんや、欧米諸国に較べ感染者数も死者も数十分の一という日本においては、恐怖をあおり国民を経済的に貶め一方で莫大な財政支出をするより、もっと賢明なコロナ対策があるだろうにと改めて思う。
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