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2021.03/03 [Wed]
日本におけるコロナの実態(19);バカの二乗
昨日のニュースで小池知事がこんなことをおっしゃっていらしたのでびっくり。主旨は前週比7割を維持できないと緊急事態を解除しない言っているのと同じ、きちんと書くのも面倒なので下記の記事からのコピペ。
都は新規感染者数(1週間平均)を前週比7割に抑える目標を掲げているが、小池知事は最近の状況を「8割、9割に近い」と指摘。その上で「その分、スケジュールが間に合っていない。医療や検査の体制を整えつつ、皆さんには食事の時に飛沫が飛ばないような工夫をしていただくなど、もう1段、ギアを上げないと、間に合わないという事態が生じているのではないか」とした。

先月も小池知事のびっくりポイントと同じレベルの7段抜きの大きな記事が日経新聞に掲載されていた。「感染揺り戻し懸念なお」という大見出しの元、左上に東京を含む4県の感染者数が底打ちした後増加しているかのような図が示されていた。それが下図。「感染揺り戻し懸念なお」というタイトルにいかにもぴったりのデータであるかのような印象である。
2月27日日経朝刊
しかし図のタイトルは「新規感染者数の増減率の推移」とあった。感染者数の推移ではない。確かにデータとして事実は事実であるが、図の示している事実は感染者数が減少を続けていることであって、「感染揺り戻し懸念なお」という見出しとは正反対。グラフの意味も知らずに記事を書いているんだと日経新聞の社会部の記者の知的水準を一瞬疑った。
しかしよく見ると、図中には、増減率の1.0倍を境に上に「増加」、下に「減少」の文字が書き加えられていた。記者は図の意味するところを理解しているようにも見える追記である。だが長い記事の中でこの図に関する言及は一言もない。解説を加えると感染者が減少傾向にあるという矛盾を生じるからなのだろう。そうであれば記者は、読者の図に対する誤解を前提に「感染揺り戻し」の見出しを打ったようにしか思えない。もしくは自分の引用した図の意味も分からないバカだったのかの二者択一。
グラフ拡大図
何を書いているのかわからない人のために解説しておく。
まず東京都の感染実態。これは感染者数の推移そのままで1月中旬のピークから感染者数は激減している。「揺り戻しの懸念」を実態からどのように懸念すればいいのかわからない。わからないから記者は敢えて触れなかったのだろう。新聞倫理綱領、「報道は正確かつ公正でなければならず、記者個人の立場や信条に左右されてはならない。」が泣いている。

上記の実態にもとづき、わかりやすいように東京の感染者数の推移を模式的に示したのが下図。ポイントは感染者数が漸増から急増してピークとなり、その後急減、やがて漸減してゼロになるというもの。現実ではゼロにはならないが、現在の東京はこの漸減期に相当する。なお縦軸も横軸も数字に意味はないが数学的に100%正しい。

この模式図におけるピーク後の減少率を示したものが下図。日経掲載の図を完璧に模式的に再現できていることがわかるだろう。この図から上図の実態である感染者推移をイメージできる一般人は極めて少ないと断言しても過言ではない。

さて、ピークに達する過程では増減率は減少してゆき、ゼロとなった時点がピークである。ピークからしばらくは減少率が拡大していくが、あるところで最小値に達する。ここが数学的には変曲点。その後、減少率は増大してゆき最終的に0に達した時点で感染者数はゼロになる。この程度のことは理系を目指す高校生なら常識。現実世界ではノイズが不可避なのでゼロになることはなく、感染者数の平衡値ようようなものに達したところで減少率はゼロ前後で揺らぐことになる。なお、現実を無視しゼロを目指すのゼロリスクバイアスであり精神障害の一種である。
小池知事は毎週7割(=30%減)を維持できねばならず8割9割(20%や10%減)では感染防止は達成できていないとの御託宣であった。だが示したように収束過程では減少率は減少してゆく。東京都のマイナス領域での感染者率の増加は自然科学的には平衡値に近づいている証左に他ならない。知事の無知は都民に莫大な経済的精神的損失をもたらす。それを援護するかのような新聞記事。知事に適切な補佐が存在せず、新聞は正確かつ公正な報道とは程遠い。
孫の時代はどうなっているのだろうと心配する三月三日の雛祭。
都は新規感染者数(1週間平均)を前週比7割に抑える目標を掲げているが、小池知事は最近の状況を「8割、9割に近い」と指摘。その上で「その分、スケジュールが間に合っていない。医療や検査の体制を整えつつ、皆さんには食事の時に飛沫が飛ばないような工夫をしていただくなど、もう1段、ギアを上げないと、間に合わないという事態が生じているのではないか」とした。

先月も小池知事のびっくりポイントと同じレベルの7段抜きの大きな記事が日経新聞に掲載されていた。「感染揺り戻し懸念なお」という大見出しの元、左上に東京を含む4県の感染者数が底打ちした後増加しているかのような図が示されていた。それが下図。「感染揺り戻し懸念なお」というタイトルにいかにもぴったりのデータであるかのような印象である。
2月27日日経朝刊

しかし図のタイトルは「新規感染者数の増減率の推移」とあった。感染者数の推移ではない。確かにデータとして事実は事実であるが、図の示している事実は感染者数が減少を続けていることであって、「感染揺り戻し懸念なお」という見出しとは正反対。グラフの意味も知らずに記事を書いているんだと日経新聞の社会部の記者の知的水準を一瞬疑った。
しかしよく見ると、図中には、増減率の1.0倍を境に上に「増加」、下に「減少」の文字が書き加えられていた。記者は図の意味するところを理解しているようにも見える追記である。だが長い記事の中でこの図に関する言及は一言もない。解説を加えると感染者が減少傾向にあるという矛盾を生じるからなのだろう。そうであれば記者は、読者の図に対する誤解を前提に「感染揺り戻し」の見出しを打ったようにしか思えない。もしくは自分の引用した図の意味も分からないバカだったのかの二者択一。
グラフ拡大図

何を書いているのかわからない人のために解説しておく。
まず東京都の感染実態。これは感染者数の推移そのままで1月中旬のピークから感染者数は激減している。「揺り戻しの懸念」を実態からどのように懸念すればいいのかわからない。わからないから記者は敢えて触れなかったのだろう。新聞倫理綱領、「報道は正確かつ公正でなければならず、記者個人の立場や信条に左右されてはならない。」が泣いている。

上記の実態にもとづき、わかりやすいように東京の感染者数の推移を模式的に示したのが下図。ポイントは感染者数が漸増から急増してピークとなり、その後急減、やがて漸減してゼロになるというもの。現実ではゼロにはならないが、現在の東京はこの漸減期に相当する。なお縦軸も横軸も数字に意味はないが数学的に100%正しい。

この模式図におけるピーク後の減少率を示したものが下図。日経掲載の図を完璧に模式的に再現できていることがわかるだろう。この図から上図の実態である感染者推移をイメージできる一般人は極めて少ないと断言しても過言ではない。

さて、ピークに達する過程では増減率は減少してゆき、ゼロとなった時点がピークである。ピークからしばらくは減少率が拡大していくが、あるところで最小値に達する。ここが数学的には変曲点。その後、減少率は増大してゆき最終的に0に達した時点で感染者数はゼロになる。この程度のことは理系を目指す高校生なら常識。現実世界ではノイズが不可避なのでゼロになることはなく、感染者数の平衡値ようようなものに達したところで減少率はゼロ前後で揺らぐことになる。なお、現実を無視しゼロを目指すのゼロリスクバイアスであり精神障害の一種である。
小池知事は毎週7割(=30%減)を維持できねばならず8割9割(20%や10%減)では感染防止は達成できていないとの御託宣であった。だが示したように収束過程では減少率は減少してゆく。東京都のマイナス領域での感染者率の増加は自然科学的には平衡値に近づいている証左に他ならない。知事の無知は都民に莫大な経済的精神的損失をもたらす。それを援護するかのような新聞記事。知事に適切な補佐が存在せず、新聞は正確かつ公正な報道とは程遠い。
孫の時代はどうなっているのだろうと心配する三月三日の雛祭。
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