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風の行方とハードボイルドワンダーランド

再雇用の機会を捨て自由な時と空間を・・・ 人は何のために生まれてきたのだろうか? これから本当の旅がはじまる・・・

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日本の姿

先日、日経新聞にこんな記事とこんな図が掲載されていた。
雇用・賃金 世界標準遠く
賃上げ、コロナで力強さ欠く 日本型システム限界

経済協力開発機構(OECD)によると、19年の平均賃金は00年比で米国と英国が7割近く、フランスやドイツは5割強上昇した。だが日本は対照的に、5%弱の低下だ。ほかの先進国と比べて賃金の低迷が際立つ。


世の中にはたくさんの不都合な真実があるが、記事にある通りで、20年前平均年収400万円だったアメリカの市民は現在年収700万円だが、日本人は400万円を割ってしまっている、という図。もう関係ないが、なかなか身につまされる話だ。
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引用させていただいたお礼に、記事の結論も紹介しておく。
背景にあるのは生産性の低さだ。1人の就業者が生む付加価値(労働生産性)が、日本は米国の6割にとどまる。7~9割の英独仏を下回る。根っこには雇用を守る慣行がある。企業は雇用を維持するあまり、不採算の事業を温存し、収益が伸び悩む。労組も雇用の確保を賃上げより優先し、賃金の低迷に拍車がかかった。

だが大半の企業では働き方の制度を抜本改革する動きが乏しい。今春の労使交渉では65歳以降の就業などの議論があったが、求められるのは年功制や順送り人事をやめて実力本位で処遇する「世界標準」の仕組みだ。

外国人など社外の人材を取り込んで多様性に富む組織にし、イノベーションを起こすには、年功制など日本型雇用システムの見直しが不可欠だ。改革を避ければ世界の企業の背中が遠ざかる。


では、この間のマクロに見た日本経済経済の状況はいかがだったのか?というのが本日のお題。

奇遇ではあるが、前日に日本銀行調査統計局の資金循環統計に関する記事が掲載されていた。「家計の金融資産最高 昨年12月末、巣ごもり・株高で」という見出しで、新型コロナウイルスの感染再拡大による消費の抑制に加え、世界的な経済回復期待を受けた株価上昇が影響したという解説。政府による1人あたり10万円の特別定額給付金の影響も残ったという、蛇足付き。

この資金循環統計、なかなか見どころ抱負な資料である。上述の記事はその中の一側面にすぎない。それがこれ。対象期間は2004年からで、2008年のリーマンショックの世界的な経済の低迷期以降、国民の金融資産は増加し続けており今や2000兆円近くにのぼり、増加額は400兆円ぐらい。人口一人当たりにすると、1500万円ほどになる。最頻値は多分1000万円弱なのだろう。いずれにせよ、物価が上がらない中、国民の金融資産は増加傾向にあるというのが、マスコミや野党の皆さんには不都合な真実。
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次に民間非金融法人企業、要するに民間企業の金融資産の推移。家計と同じく、2008年を底に増加傾向にあり、その増加額は600兆円程。会社がもうかっているんだから、賃上げ余力は十分。

興味深いことにここ数年、安倍元首相は、2月3月になると企業に大幅な賃上げを求めていた。しかし、野党も労働団体もそうだそうだと絶賛の拍手をすることはなく、首相に要請が実現することはなかった。労働者の生活が良くなることより、首相が成果をあげる一方で自分たちの存在意義がなくなるような事態は避けたかったのだろう(とずっと思っている)。困窮者への30万円の給付に代え、国民一律に10万円を、と主張したのと同じレベルの発想。この時は創価学会(=公明党)も金持ちが多数を占めるため、困窮者だけへの給付に対し会員(=票数)の不満が多かった(のだと思っている)。
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次に政府。赤字国債を発行しては日銀に買い取ってもらえるのでお金は豊富、2004年から500兆円程、予算として国民にばらまいている(含国債償還分)。
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最後に日本のGDPの推移。適当な絵がなかったので、内閣府の「国民経済計算」のデータをから作成、上図に合わせて2004年以降を取り出した。オリジナルのデータは1994年から2020年まである。さて先進国でダンペの成長率を誇る日本の実態がこれ。500兆円ちょいのまんま。
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多様な側面があるので細かな話はしないが、要するに、
1)政府は莫大な金を使って(500兆円)経済を活性化しており、
2)企業はそれなりに成果を上げている(600兆円)のだが、労働者には配分されず(0)、
3)一方給料は増えないが物価も上がらないので国民は余剰のお金を貯め込んでいる(400兆円)、
というのが一言でいうここ17年間の日本の姿のようだ。

お金も使わず、給料が低いので働き続け、お金を貯め続ける日本人、人それぞれで良いしそれぞれの幸せもあるだろうが、グローバルには幸せな国とは言えないのかもしれない。
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