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風の行方とハードボイルドワンダーランド

再雇用の機会を捨て自由な時と空間を・・・ 人は何のために生まれてきたのだろうか? これから本当の旅がはじまる・・・

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実は簡単だった少子化対策(2)

人口動態統計には出生数の内訳として母の年齢階級別の資料が含まれている。それを図化した(筆者作成)。1985年から5年ごと推移で、期近に関しては毎年。緑系が20代、暖色系が30代である。晩婚化の影響もあって、俯瞰すれば20代の母が減り30代の母が増えている。ただし両者の増減はバランスしているわけではなく、20代の母は1985年比で現在は約3割に激減、これが理由はともあれ出生数減の本質である。

その原因は数えれば数多あるわけで、それを優秀な官僚が分析し、個々の要因に対し細かな対策を前例に倣って踏襲し続けているというのが政府の膨大な少子化対策努力と言ってもいいだろう。細切れの上全体としては解決へのベクトルが違ってしまっているので効果がないのは当然であろう。
20210620母の年齢階級推移

では20代の出生数が激減した本質的背景は何なのか?

ヒントが日経新聞の記事にもある。
出生動向基本調査(15年)によると夫婦が理想の子ども数(平均2.32人)を持たない理由として最多だったのが「子育てや教育にお金がかかる」(56%)。

1985年以降国民の生活が苦しくなったわけではないだろうが、子供を持たない理由を本人がそう答えているのだから国民の所得や金融資産の推移の実態がどうあろうと関係ない。はっきりと読み取れるのは、子供を作ってもその子の幼稚園、小学校、中学校、高校と続く教育期間に対し、自分の将来の収入に対する自信、言い換えれば希望を持てない、という20代の若い人にとっての親としての本音の現れである。

56%という数字は子供を持たない最大の原因がここにあることを示し、少子化対策としてこの原因の解除に焦点を当てれば計算上、56%の夫婦は出生数を2.32にしてくれることになる。

ここで国民の所得分布を概観する。以下は3年に一度行われる厚生労働省の国民生活基礎調査2019からの引用である。国民の年間世帯平均所得は550万円ほど十分だが、分布をみれば300万未満の国民が三分の一を占めている。この中には年金生活者とともに、定職に付けない若者や給与の低い中小企業に勤める若者もかなり含まれるだろう。上記の56%はこの階級の夫婦と考えて良い。
所得階級別世帯数相対度数分布

さらに具体的な資料がこちら。世帯主が30歳未満の世帯の平均の年収は360万円。平均であって、上図の分布から年収が200万円台の世帯も半数近くいるだろう。
世帯主年齢階級別平均所得額

この世代の貯蓄額を見る。世帯主が30歳未満の世帯の貯蓄額は平均でも180万円。大企業等に就職し将来の収入がほぼ約束されている人以外は、現状の貯蓄額と収入を鑑みた時、子供の子育てや教育に責任を持てないと感じるのは当然である。
20210621世帯主年齢化級別平均貯蓄額

以上縷々示したように少子化の本質は明らか。子供の育児から教育に対する金銭的不安が、出生を阻んでいる。よって少子化対策は、これらの世帯に対し金銭的不安を解消してあげればよい。

日経新聞の記事には、金銭的不安を解消とまではいかないが支援をすることにより、合計特殊出生率が劇的に0.46以上増加することに成功した地方自治体の実例がリストされていた(右の表)。少子化対策担当大臣が20人歴任しても0.08しか上げられなかった実績に対し、0.46はすごい数字で国全体で同じ効果が得られれば2020年の1.34現状が1.80に達する。
20210619-2.jpg

具体例の記事を以下引用;
・全国トップの沖縄県金武町(2.47)は、改善率でも0.53ポイント上昇で2位。子ども1人につき10万円を支給する激励金のほか、5歳から中学卒業までの給食費や高校卒業までの医療費も無料とした。

・愛知県大府市や岡山県奈義町は、教育や雇用面での安心感を掲げる。大府市(0.46ポイント上昇の1.93)は15~16年度にかけ、小3以上の2人に1台タブレット端末を配布。電子黒板も整備した。

・奈義町(0.32ポイント上昇の1.84)は12年に子育て応援宣言を出して支援を充実させた。出産祝い金(1人10万円)や進学が困難な学生への奨学金(最大年60万円)無利子貸与のほか、育児合間の仕事を紹介する「しごとコンビニ」を整備。子育て期の孤立を防ぐ狙いで親同士が子どもをケアし合う仕組みも整えた。

・上昇幅全国トップ(0.57ポイント上昇の1.59)の東京都日の出町も充実した支援で子育て世代を呼び込んだ。06年度から給食費などに充当できるクーポンを始め、中学卒業時まで1人月1万円分を支給する。高校生には支援金月1万円を給付する。上昇幅4位の港区も15年度から第2子以降の保育料を無料とした。


この程度の生ぬるい支援でも効果が認められるのであるから、本質的な改善を行えば全国的な合計特殊出生率の1.80以上の達成すなわち出生数の増加は容易と思われる。

具体的な対策のイメージは以下のようなもの。対象は、例えば、前年度の世帯主の収入240万円以下の子供の生まれた世帯、とでもすれば良いだろう。年齢制限はなし。ただし世帯の年収が400万円を超えた翌年から支援は中止する。

1)出産、乳児期に50万円の支給
2)保育園もしくは幼稚園から高校卒業までの諸コスト無料
3)生後から高校卒業までの医療費無料

次の問題はコストと財源。合計特殊出生率を1.34から1.8程度に上がると約113万人、2020年の84万人にくらべ約30万人の子供が産まれることになる。この子たちすべてが上記支援の対象となるとする。一人当たりのコストは、1年目50万円、2年目以降20万円とすると18年間で390万円。総額を約500万円と単純化すると、18年目以降の年間のコストは毎年対象者が30万人いるとして1.5兆円になる。1年目は一人50万円で良いので1500億円で良い。

現実的な積み上げは専門家に任せるが、オーダーとしては大きな違いはないだろう。コロナで一人10万円の支給総額が13兆円、大半が貯蓄に回ったことを考えれば、対費用効果は桁違い。年間の国家予算が100兆円という現状において、優先順位を政治主導で行えば当初の千億円規模はもちろん、恒久的な1.5兆円規模の少子化対策費の捻出も容易だろう。放置すれば日本は消滅するのだから。

本来国会で、森友とか加計学園とか桜の会とかで膨大な時間を費やす暇があるなら、以上のような問題を精緻に議論すべきだと思うがそんな国会議員を選出したのも国民の意思。
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