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スウェーデンのコロナ政策

今日の「アゴラ」に、「コロナ医療を考える:スウェーデンの経験と日本への教訓 --- 宮川 絢子」と題する記事が掲載されていた。筆者は「平成元年慶應義塾大学医学部卒業。医学博士。外科医(泌尿器外科)。2007年スウェーデン移住。ストックホルム、カロリンスカ大学病院勤務」というお方。

スウェーデンはロックダウンを選択せず、国民の自粛に任せた数少ない民主主義国家で、感染爆発が生じたことから国際的な非難を浴びた。日本もロックダウン等を実施しなかったという点では同じだが、政策の基本理念が日本における生命至上主義やゼロリスクの考え方とは一線を画しているため、抄録ではあるが紹介したい。

まず、スウェーデンのコロナ感染の実態を見ておく。ワクチン接種の進捗状況から。赤がスウェーデン、青が日本。参考までに英独仏とノルウェーもあわせて載せた。スウェーデン、何もしないと言ってもワクチン接種は英国を除く他の西欧主要国とほぼ同時に接種が進んでいる。
20210903スウェーデンワクチン

新規感染者の推移。時間軸は昨年の10月1日から。日本の10-20倍の感染者が続いていたが、欧米人に対するワクチン効果により6月から7月の新規感染者は日本並に減少した。一方、”何もしなかった”にもかかわらず新規感染者の拡大の様相や規模は英国やフランスと同規模(単位人口当たり)である。
20210903スウェーデン感染者

死者数の推移。やはりワクチンの効果なのだろう、デルタ株流行前には日本並にまで激減した。
20210903スウェーデン死者

以下、宮川氏の文章から、長文なので申し訳ないがチェリーピッキング。主題は下記の通り。知事のやることは外出や飲食店の営業等の自粛要請ではなく医療体制確保、とこれまで書いてきた通りのことが述べられている。
平常時においては国民に優しい(言葉を変えれば過剰な)日本の医療システムが、危機に際しては非常に弱かったことは大きな問題であり、感染被害が非常に大きかったスウェーデンの医療システムがパンデミックにおいて柔軟な対応で凌いできたことに学ぶことはあると思う。

対策
スウェーデンの感染症対策を指揮した公衆衛生庁のテグネル氏は、ロックダウンにはエビデンスがないこと、長期間持続可能な対策ではないこと、副作用が大きい対策であることを理由に、各国が雪崩式にロックダウンを選択したにもかかわらず、これまで一貫してロックダウンを選択していない。第1波では、空気感染よりも飛沫感染が感染経路として考えられていたため、ソシアルデイスタンス、手指の衛生が感染対策の主軸であり、リスクグループの隔離が強調された。マスクには感染予防のエビデンスが乏しいとのことで推奨されなかった。リモートワークは推奨されたが、学校や保育園は閉鎖されなかった。変異前のウイルスでは子供は重症化せず感染を牽引することがないとされていたこと、また、子供達が学校へ行く権利や重要性が重視され、閉鎖することにより働くことができなくなる医療従事者が多いという試算も出ていたことなどが閉鎖されなかった理由であった。


感染のピークを抑制する目的は医療資源の需要を供給量以下にコントロールすることである。同時に、医療資源の拡大は積極的に行われた。私の勤務する大学病院でも、感染が拡大する前からICUベッドの大幅な拡張が行われた。平常時40床のICUが5倍の200床程度までに増やされた。ストックホルムでは中等症の患者を収容する600床の野戦病院が建設されたが、これは結局使われることなく閉鎖された。ICU増床に伴い、麻酔科看護師などを急遽教育しICUで働けるよう準備し、配置換えに当たっては220%の給与のインセンテイブをつけた。コロナ禍で休職中のSASの客室乗務員を再教育してICUの補助要員として勤務させるなど、大胆なリクルートが行われた。

コロナ禍では、空床率20%を目標にしてコントロールしており、地方自治体を超えて患者の移動を空路陸路で行っている。このように国全体で医療資源を効率よく使うためには、患者数やベッド数などの情報が中央で集中管理されているからである。

(中略多々)

考察
スウェーデンの政策の特殊性は、ロックダウンをせずに国民の自主性に任せたこと、保育園や学校を閉鎖しないなど子供の権利を大切にしたことなどである。また、政策以上に注目すべきは、対策を行う省庁の専門家や政治家の姿勢である。情報の透明性を極めて重要視し、省庁の専門家や政治家が定期的に記者会見を行い、説明すると同時に徹底的な質疑応答がなされる。省庁の専門家は政治家から独立して感染症対策を行うものの、政治家とのコミュニケーションは取れており、政治家と専門家からの国民へのメッセージが同一であることや、政策が一貫してぶれていないことは国民へ安心感を与えるものである。パンデミック対策は疫学者が指揮を取っているにもかかわらず、感染症対策に偏れば感染症対策による副作用の影響が大きくなることを警戒するという、広い視野を持っていることに感銘を受ける。

また、いかに批判を浴びようとも、他の国に追従することなく、強権発動を避ける意思表示が明確であったことは特筆すべきことであるように思う。政治家や専門家自ら自分の言葉で国民に伝えていることもあり、メデイアが情報を取捨選択して報道し煽るようなこともほとんどない。

多くの犠牲者を出したスウェーデンだが、そのスウェーデンにも日本が学べる点があると考えられる。

為政者サイドについては、1)徹底した情報の透明化、2)情報はメデイアなどによる修飾がない。3)感染症対策のみに拘らないバランスの取れた政策であること。

医療システムについては、1)医療資源の中央一括管理で、適切な患者配分、柔軟な増床や地方自治体間の協力体制が可能であること、2)少ない病床を効率良く回すためのシステムがあること、3)タスクシフトが進んでいること、4)IT化により、患者情報の管理や、検査やワクチン接種などをスムーズに行う上で有利であること。


二つ抜けている視点がある。日本では知事を筆頭にコロナ対策の目的が自分の再選を目的としたパフォーマンスに化していたこと、新聞やテレビが実態を報道するよりも、国民の不安を煽ることにより読者をひきつけ視聴率を稼ぐこと価値を見つけたこと。一言で言えばあまりに低レベルの人間が、政治と情報の伝達という国の肝を掌握していたという現実である。

もう一つが、日本における情報の質。今ではそこそこのデータが開示されているがいまだ落第点、少なくとも昨年の前半は厚生労働省HPを筆頭に日本にはまともな情報がなかった。これは政治ではなく行政担当者の質の問題。

日本の現状はあまりに暗い。デジタル庁、どうなることやら。
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