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風の行方とハードボイルドワンダーランド

再雇用の機会を捨て自由な時と空間を・・・ 人は何のために生まれてきたのだろうか? これから本当の旅がはじまる・・・

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医療刑務所の実態

昨年11月に毎日新聞出版から伊藤彰彦『最後の角川春樹』が刊行された。映画史家という1960年生まれの伊藤氏が角川春樹に40時間のインタビューを行い、激動の全人生をまとめたという一冊。事前に相当量と思われる関係書籍に目を通し、角川の生まれ育った富山県水橋まで現地を訪ねるという綿密な準備をしてのインタビューだけに、内容が濃い。それだけでなく、伊藤氏の書下ろしではあるが、本の形態が簡潔な前書きや解説の後に質疑応答という形式になっていて、著者による解説書ではなく角川の生の声が反映される形になっているので迫力がある。内容はこんな感じで全人生史となっている。

目次
序章 敗れざる者
第1章 少年時代(~二十二歳)
第2章 編集者時代(二十二~三十三歳)
第3章 映画プロデューサー時代(三十四歳~)
第4章 俳人と映画監督の間(四十歳~)
第5章 収監そして復帰へ(五十一~六十二歳)
第6章 最後の監督作品
終章 それでも敗れざる者
20220127最後の角川春樹

本の宣伝のために書いているわけではない。第5章では1993年に起きた角川春樹の麻薬取締法違反、関税法違反、背任横領容疑で逮捕された事件に関連する内容がカバーされている。この中に獄中生活に関しての質疑応答が記されていた。

刑務所の実態を調べたことはないが昔『うなぎ』という映画を観た。役所広司が収監され、刑務所の実態と思われる情景が丁寧に描かれていて、これが刑務所かと印象に残っていたので角川の話も実体験のようにリアルに読むことができた。この映画、1997年公開だったそうで主演は役所広司・清水美砂。追って第50回カンヌ国際映画祭において『桜桃の味』と共に作品賞に相当するパルム・ドールを受賞したそうだ。

驚いたのが医療刑務所の実態。仮釈放中に最高裁で上告が棄却され懲役4年の実刑が確定、その時期、胃がんで胃の四分の三を切除、半年後に腸閉塞を起こしバイパス手術を受ける。そして収監、八王子医療刑務所に移監される。

八か月いて医師の診断を受けたのは2回だけ。病人なので刑務作業は免除されるが、一日中寝ていなければならない。楽で良さそうだが、実際は拷問に近いとの印象を持った。

五畳ほどの独居房ではあるのだが、ベッドから起き上がることは許されないどころか、仰向けの姿勢でずっと頭を枕に付けいなければならない。ちょっと上半身を起こしただけで、刑務官の罵声が飛んできて、懲罰を一回食らうと懲罰房で仮釈放があっても四か月延び、二回食らうと満期までいなくてはならなくなるそうだ。

2011年の2月に万座スキー場で追突され、背中の肋骨を6本折るという重症で、地元の病院に入院したことがある。身動きをすると痛むのでじっと仰向けに寝ているのだが、人間、同じ姿勢を取り続けるのはひどい苦痛。寝ているときは寝返りをうつし、寝たきり老人にたいして病院は床ずれ防止のため定期的に体を横に向ける。だから痛いながらも時々折れていない側に体を横にした。ずっと仰向けを強制するのが事実であれば、医療刑務所においては基本的人権を保障する憲法が適用されないのかもしれない。

やっぱり刑務所に入るのはいやだな、というのがこの件の読書感想文の結論。
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