Entries
2022.03/30 [Wed]
50億円の損失でクビ
二週間ほど前にBloombergニュースでこんな記事が流れた。他人ごとではあるのだが、傍から見れば会社の大損失の責任者と見做されそうな事故を在職中に経験したので目に留まった。忘れそうなので書き留めておく。

この件については、藤巻健史氏も反応してブログでこんな記事を書いていた。Bloombergの記事にも詳しくは書かれていないが、金額としては50憶円未満という感じらしい。
bloombergニュースによると数千万ドル損失したモルガン・スタンレー(私が勤めていたJPモルガンとは異なる)のトレーダーが退社を余儀なくされたそうだ。 数千万ドル損失で損したら私など何十回首になっていただろう。ボーナス査定期間の最初の1月に3000万ドルずつ3日続けてやられたときは、首を覚悟したし、1晩で50円大の禿が出来たけど。(ちなみにその後に損を取り返し、その年も確か3億ドル以上は儲けたと記憶している)「え、数千万ドルの損失で首?」
ニュース記事を見ての感想は「50億円の損失でクビになるんだ」、という当然と言えば当然の帰結なのかもしないが、もう少し複雑な思いだった。
2010年4月にメキシコ湾で史上最悪の原油流出事故が起きた。この時の話は2020年8月に記してあるので詳しくは述べないが、この件に深くかかわったというか、このプロジェクトを強力に推進、権益を取得し、実行したのが私だった→こちら。
当時の事故画像
現在のウィキペディアによれば「結局BPの支払い総額は約460億ドルになる(民間への支払いは含まれない)」とある。当社は10%の権益を所有していたので、46憶ドル(=約4600憶円)以上の損失を被ることになってしまうが、賠償訴訟の初期段階において、BPに対して1000憶円のキャッシュを支払う代わりに今後の責務を免責とする合意を得たので、1000憶円プラス程度の損失で終わった。
冒頭のニュースに戻ると金額的には20回ぐらいクビになってもいいくらいだが、懲戒どころか一言の叱責も後ろ指もなく(鈍くて気付かなかっただけ?)、一方当然ながら「ご迷惑をおかけしました」等の言葉を発することもしなかった、というか考えもしなかった。会社の事業内容によるのだが、複雑な思いというのはこんなことを思い出したからである。
BPとのアライアンスは突然の不幸な終焉に終わったが、当時は新たに獲得したマーセラスのシェールガスプロジェクトの専任だった。このプロジェクトへ参画を推進したのも私。買収金額1300憶円という巨額の投資案件だった。自分でいうのもなんだが、印象的だったのが最終判断の技術説明の席で、投資リスクは少ないと断言したこと。今見ると稚拙な資料だが説得力があったようだ。結果は当時の判断の通りで、今も会社のドル箱らしい。たぶん投資資金を回収しさらに数百億円の利益を得ているのではないだろうか。
技術説明の結論のページ
同資料には現地視察時の写真も多数添付されていた。どんどん脱線してしまったが、昔のことを懐かしく思うというのは老い始めた証拠かもしれない。
プライベートジェット

この件については、藤巻健史氏も反応してブログでこんな記事を書いていた。Bloombergの記事にも詳しくは書かれていないが、金額としては50憶円未満という感じらしい。
bloombergニュースによると数千万ドル損失したモルガン・スタンレー(私が勤めていたJPモルガンとは異なる)のトレーダーが退社を余儀なくされたそうだ。 数千万ドル損失で損したら私など何十回首になっていただろう。ボーナス査定期間の最初の1月に3000万ドルずつ3日続けてやられたときは、首を覚悟したし、1晩で50円大の禿が出来たけど。(ちなみにその後に損を取り返し、その年も確か3億ドル以上は儲けたと記憶している)「え、数千万ドルの損失で首?」
ニュース記事を見ての感想は「50億円の損失でクビになるんだ」、という当然と言えば当然の帰結なのかもしないが、もう少し複雑な思いだった。
2010年4月にメキシコ湾で史上最悪の原油流出事故が起きた。この時の話は2020年8月に記してあるので詳しくは述べないが、この件に深くかかわったというか、このプロジェクトを強力に推進、権益を取得し、実行したのが私だった→こちら。
当時の事故画像

現在のウィキペディアによれば「結局BPの支払い総額は約460億ドルになる(民間への支払いは含まれない)」とある。当社は10%の権益を所有していたので、46憶ドル(=約4600憶円)以上の損失を被ることになってしまうが、賠償訴訟の初期段階において、BPに対して1000憶円のキャッシュを支払う代わりに今後の責務を免責とする合意を得たので、1000憶円プラス程度の損失で終わった。
冒頭のニュースに戻ると金額的には20回ぐらいクビになってもいいくらいだが、懲戒どころか一言の叱責も後ろ指もなく(鈍くて気付かなかっただけ?)、一方当然ながら「ご迷惑をおかけしました」等の言葉を発することもしなかった、というか考えもしなかった。会社の事業内容によるのだが、複雑な思いというのはこんなことを思い出したからである。
BPとのアライアンスは突然の不幸な終焉に終わったが、当時は新たに獲得したマーセラスのシェールガスプロジェクトの専任だった。このプロジェクトへ参画を推進したのも私。買収金額1300憶円という巨額の投資案件だった。自分でいうのもなんだが、印象的だったのが最終判断の技術説明の席で、投資リスクは少ないと断言したこと。今見ると稚拙な資料だが説得力があったようだ。結果は当時の判断の通りで、今も会社のドル箱らしい。たぶん投資資金を回収しさらに数百億円の利益を得ているのではないだろうか。
技術説明の結論のページ

同資料には現地視察時の写真も多数添付されていた。どんどん脱線してしまったが、昔のことを懐かしく思うというのは老い始めた証拠かもしれない。
プライベートジェット

- 関連記事
-
- 新型コロナは空気感染
- 論理国語
- 50億円の損失でクビ
- 役に立つまん延防止策
- 終わりの始まり!
スポンサーサイト
*Comment
Comment_form