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2022.04/17 [Sun]
天童人間将棋


武者などにふんした人たちを将棋の駒に見立てて対局する「人間将棋」が、山形県天童市で3年ぶりに開かれ、藤井聡太五冠などが武将姿で登場し、会場を沸かせました。
どんな事件も事故も不幸も人間はやがて、慣れて、飽きて、忘れる。コロナ騒ぎにも世間が慣れた証なのだろう、まずは晩春の日曜日に相応しいトピックであり、めでたしめでたし。
今回は藤井聡太五冠が登場したそうだ。相手は佐々木大地六段。昨年度の成績は0.708(34勝-14敗)で、C級2組という棋士のレベルでは最下層にいるが、勝ち数ランキングで8位、勝率ランキングで9位という立派な成績。結果は130手で後手番の藤井が勝った。
この将棋を「藤井聡太を忖度なしで応援するブログ」で拝見した。このブログの素晴らしいのは、一手一手すなわち130手すべてに対して、将棋ソフト:水匠5、dlshogi、Bonanza6.0が一手ずつ解析し、次の一手を示している(ただし一手5秒だけ)こと。だから一局が終われば各対局者の指し手とソフトの差し手の一致率を計算することができる。
その結果が興味深い。藤井五冠は二つのソフトとの一致率が5割を超え、一方佐々木六段はわずかとはいえ5割を切っている。一方Bonanza6.0に対しては、藤井が4割を切り佐々木が5割越え。将棋は序盤から藤井優勢のまま一方的な内容で藤井が危なげなく勝った。佐々木もそれなりの成績を残しているから、将棋界では強い方なのだろうが、一方いいかえるとBonanza6.0の指すような手では藤井に勝てないということでもある。
・「水匠5」 :藤井 55.4%、 佐々木 44.6%
・「dlshogi」 :藤井 50.8%、 佐々木 47.7%
・「Bonanza6.0」 :藤井 39.3%、 佐々木 50.8%
なぜこんなオタク的なことを書いているかというと、「ボナンザ」という名前が懐かしかったから。ウイキペディアに詳しく書かれているので以下換骨奪胎して記す。。
ボナンザのv.02 は2006年5月に行われた第16回世界コンピュータ将棋選手権大会に初出場し、歴戦の将棋ソフトが居並ぶ中で初優勝した。高性能なワークステーションで参加する者も多い中、Bonanzaは一般向けのノートパソコン小型USB扇風機と、低スペックの環境での優勝であった。2007年3月には渡辺明竜王と対局、結果は渡辺の勝ちだが、当時は一部の人達にとっては大きな話題だった。渡辺は奨励会レベルに達しているとの評価だった。
「ボナンザ」はコンピュータを使うというところは同じでも、碁のAIである「アルファ碁」とは全く次元が異なり、やっていることは8か月の赤ちゃんと天才棋士ぐらいの差があるので、藤井五冠が「ボナンザ」の手を指さないのは当然と言えば当然。
では将棋ソフトは何をしているかというと、一言でいえば「目的関数の最小化」である。具体的には、一手ごとの局面において各盤面の判断となる評価関数が、強い棋士が実際に指した手と同じになるようなパラメータを探索するというもの。ある誤差関数の値を最小にするパラメータvを最適化問題として探す。すべての可能な差し手を評価(全幅探索)をするのは大変だが、「ボナンザ」は全幅探索を採用することで、これまでの他のソフトが見落としていた)指し手に高い評価を与えることが可能となった。
一方「アルファ碁」は膨大な量の棋譜を読み込み、パターン認識(深層学習、ディープラーニング)により得た結果をもとにその局面での最適手を探す。具体的には何を考えているのかわからない。
ディープラーニングもしくはAIについて初めて記事を書いたのはもう6年前のこと、当時は新聞テレビはもちろんネット上ででも話題にも上ることはなかった。このブログがすごいことが起きていると記した日本最初のブログ記事かと思う。その歴史的一文が→こちら。
その後、ディープラーニングに関する数学の本を一応読んだので、なんとなくイメージだけはわかったつもりでいるが、とても簡単に書けるようなものではないのでパス。ウイキペディアを見ても無駄、わかっている人が書いているわけではない、というかわかっている人は書かないだろう、書ききれるものではないから。
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