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風の行方とハードボイルドワンダーランド

再雇用の機会を捨て自由な時と空間を・・・ 人は何のために生まれてきたのだろうか? これから本当の旅がはじまる・・・

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首都直下地震の被害想定

溜まった記事がたくさんあるので梅雨入り前に虫干し。先月、こんな記事が報道されていた。多分各紙も同様だろう。

専門家らで構成する東京都の防災会議地震部会(部会長=平田直・東京大学名誉教授)は25日、首都直下地震の新たな被害想定を公表した。最も被害の大きい「都心南部直下地震」は23区の約6割で震度6強以上に達し、死者は最大6148人、帰宅困難者は452万5949人と想定。

20220525首都直下地震

このスタディ結果の記事を見ての印象は、なんだこれは、という驚きだった。死者の数が多いとか少ないという感想の問題ではない。東京都の防災会議地震部会という立派な名称にもかかわらず、示された結果に知性の欠片もないというか、出来の悪い専門家の出した意味のない結論にしか見えなかった。科学的スタディの結果を装ったガラクタ。記事だけでは冤罪の可能性もあるのでオリジナルの18ページの資料も見たが、新聞記事はそれを引用したもので、記事を書く方の資質も問題だがそれはさておき、なぜガラクタなのかを書いておく。

一目でダメだと思ったのがこの一節、「死者は最大6148人、帰宅困難者は452万5949人と想定」。死者の数が有効数字4桁で帰宅困難者に至っては7桁ある。

世の中、一寸先は闇、なんであれはっきりした将来の絵を描くことは不可能である。なぜなら多数の不確定要素が必然的に絡み合うのでぼんやりとした姿を描いて、その中に正解があれば上出来というのが現実。現役時代、そんな仕事に向き合っていた。その評価結果に基づき100億円、1000憶円規模の新規投資の意思決定をるのだから真剣勝負そのものである。

そのような世界においてはピンポイントの予想に意味はない。膨大な不確実性の世界のなかのゴミのような一つの可能性に過ぎないから。

もう一つの要素が科学における有効数字。実は単純な長さや重さでも、有効数字4桁の精度で測定することは至難とはまで言わないが結構難しい。ペットボトルの高さはいくつか?という問いに対して21.3センチと答えるためには21.25センチ以上で21.35センチ未満であることを確認しないと答えられない。防災会議地震部会は帰宅困難者が4,525,492人と本気で言っている。

どんな分野にしろ、不確実性に満ちた現実世界に真面目に向かい合ったなら、有効数字4桁とか7桁の数字など口が裂けても言えない。では約6000人なら良いかというと、実は表現の問題ではなく、そんな数字を平然と公表した時点で、実は形だけで何も考えていないことがわかる。科学的合理性や真の姿の追求への誠意などを全く期待できない人種が被害想定をしていたことが判明してしまったので、よって結果はガラクタ。コロナの時の西浦某のようなもの。

ということで、誰がその会議のメンバーかを調べると東京都は防災会議のメンバーを公表していた。組織図は下図のようで、地震部会の上の会議のメンバーは87名いる。要するに権威づけのため役に立たない人たちをかき集めたもので、そんな人たちが右の写真のような大会議を重ねたところで価値のあるものが生まれるわけがない。

想定はそれなりの専門担当者によるシミュレーション結果なのだろうが、シミュレーションというのは前提がすべて。前提次第でどんな結果でも出てくるので、まじめにやれば結果の扱い煩雑。会議のメンバーは理解できなかったのでわかりやすい所だけ切り取ったのか、またはこんな会議のメンバーではまじめにスタディをすすめても虚しいだけ、と思ったのか、いずれにせよ公表結果は世界の笑いもの。
20220526東京防災会議
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