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風の行方とハードボイルドワンダーランド

再雇用の機会を捨て自由な時と空間を・・・ 人は何のために生まれてきたのだろうか? これから本当の旅がはじまる・・・

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日本沈没の危機(2)

1000兆円相当の国債、国債は購入したら保有し続けるもののような気がするが、債券市場で日々売買されている。国債は発行時に確定した利率を政府が保証して販売される。一般に償還期間が短いものほど利率は低く、長いものは高い。既発債の場合、何らかの事情により国債を売り現金化したい人もいる。買う人が世の金利動向がその国債の利率より今後高くなると思えば、国債の額面価格より安く買うだろう。その結果その国債の利回りは保証利率より高くなる。この差が大きくなった現象が、債券の暴落、もしくは利回りの高騰である。新発債でも事情は同じで、世の金利より低い金利で発行しても買う人はいない。なお債権の世界では、債券は価格ではなく利回りでものが言われる。

債券相場の実例(日経朝刊より) 20220623債券市場
 
ちなみに規模は現在4兆円前後の規模のようだ(初めて知った)。日銀が債券市場で国債を買い集めている形なので市場規模が縮小しているとは知っていたが、思っていたほどではない、担当者にとっては激減なのかもしれないが。
20220623国債市場

ここまででようやく基礎講座が終了。

黒田日銀の基本姿勢は大規模金融緩和、手段としては長短金利を一定に抑える「イールドカーブ・コントロール(YCC)」が日銀の金融緩和の柱である。具体的には債券市場で価格が下がった国債を買い支えることによって金利水準の上昇を防ぐ。3月末からは連続指し値オペとして、10年国債に対し、金利0.25%で指値を入れ、0.25%での10年国債の売り物を無制限に買い入れるという、硫黄島を要塞化して本土を守るというオペレーションを開始している。

その後、FRBの政策金利は+0.50%の上昇が決定され、さらに先日は+0.75%、多少の変動はあるにしても米国10年債の利回りの上昇傾向は顕著で不可避で日米の長期金利の実勢は開く一方である。さらに10年国債を要塞化しても戦線すべてを守れないため、素人目にみても異様な歪みがイールドカーブに表れている。「国債利回り、乱れる秩序」という記事の図がこちら。
「YCC下で生じたゆがみは、債券市場の機能不全につながりかねない。」というのが記事の要約。
6月15日 日経新聞 20220622YCC.png

日銀のYCCに対する非難記事も多い。
日銀は17日の金融政策決定会合で大規模な金融緩和の堅持を決めたが、引き締めに動く欧米の中銀との金融政策の違いが急激な円安につながり、物価上昇への家計の不満が高まっている。黒田東彦総裁は利上げについて「経済成長に大きなマイナスになる恐れがある」と否定するが、エコノミストの中には急激な円安や物価上昇で日銀が修正を迫られるとの見方が出ている。

そもそも、中央銀行がYCCで長期金利を中央銀行がコントロールできると思うこと自体が思い上がりも甚だしいことらしい。

という背景で、昨日の冒頭の豆記事が目に入った次第。前書きの方が長くなってしまった。さて豪中銀のアナウンスの全文が図表と共に公開されていてかなりのボリューム。読んだわけではないが、このレポートについて書かれたブログを見る限り、日銀のスタンスに対する痛烈な批判にもなっているようだ。豆記事ではなく、一面全部を使って要旨を引用、解説してもいいぐらい。

要するに、YCCで金利上昇、国際価格の劣化を防ぐことは困難だったことの報告でもある。すなわち、日銀にとってYCCを放棄し金利上昇を容認すれば日銀の債務超過は不可避、日銀の信認が一挙に崩れ円が暴落する恐れさえ否定しがたい。一方、YCCに拘泥し金利を押さえつければ日米金利差は拡大する一方なので円安は不可避、という救われない構図である。さらに追い打ちをかけるようだが、少々の金利、0.25%死守から0.75%に戦線を八丈島まで引き上げたところで効果は限定的、というか後がないことが世界に再認識されて円安の加速という事態さえ憂慮される。参議院議員という国を担おうという人たちが、議席確保もしくは獲得のために物価対策の低レベルな論戦をしている状況ではないはずなんだけど。

これまで円安について何度も書いてきたが(4月に書いた「円安の行方」という記事がわかりやすいかも→こちら)、その背景の総括版のようなのが今回の連載。



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