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風の行方とハードボイルドワンダーランド

再雇用の機会を捨て自由な時と空間を・・・ 人は何のために生まれてきたのだろうか? これから本当の旅がはじまる・・・

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いろは歌

先月、紫式部や清少納言から始まって碁流会まで、「良子」氏からいただいた本からの碁のトピックをいくつか書いたが、最後の本がこちら。中山典之著となる「圍爐端歌百吟」初版は1999年11月09日。

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中山典之と言われても知る人はほとんどいないが、碁の棋士で、碁の実力は引退時が六段だから碁では有名ではないものの文才にたけており、最大の功績がいろは歌の創作だった。昔、日経新聞の文化欄で紹介され(たと思う)記憶に残っていた。

いろは歌の代表が「色は匂へど 散りぬるを」で、かなを重複せずに47文字、もしくは「ん」を入れて48文字で作られた七五調の韻文。作者は不明だが10世紀末から11世紀半ばの間に成立したとされ、以降手習いの手本として広く受容され、近代にいたるまで用いられた。

いろは歌、その後も無数に作られたようだが記録が残っているものでも大した作品はない。というか、江戸時代までで文法上の誤りがないと思われるものは二首だけとも。この本に紹介されているが、明治36年(1903年)に新聞社「萬朝報」が「国音の歌を募る」として、「ん」を加えた48文字でいろは歌と同じように同じ仮名を二度使わず文脈のある文を公募した。一万を超える作品が投稿されたそうで、一等から二十等まで懸賞金が出されたそうだ。結果は同年7月15日の紙面で発表された。一等の作がこちら。

・鳥啼く聲す 夢覚ませ 見よ明け渡る 東(ひんがし)を 空色映えて 沖つ辺に 帆船群れゐぬ 靄の中

この中から中山典之氏の気に入った作品が一つだけあって十九等だったという。俳句と同じ何がいいかは人に依存する。

・粗朶火燃え散る 圍炉裏邊に 賤(しづ)の夜寒を 嘆く見ゆ 女子弟(めごおと)飢て 顔痩せぬ 哀れ着寝(きいね)ん 藁衾

以上はいろは歌の基礎知識。

さて本書、序を書かれた東大名誉教授にして国語問題協議会会長の宇野精一氏は「この書は我国文化の再興の大きな手掛かりになると考える」と書き、推薦の辞の元日本棋院「圍碁クラブ」編集長の田中宏道氏は「この本は百年二百年の後まで残るであろう、いや、イロハ歌の如く、千年ののちまで伝へられるかも知れない」といずれも空前絶後の賛辞を記している。

中山氏はこの時まで千首ほどの四十八字歌を作ったそうだ。本書には自薦100首が収められている。

この中から、手を抜いて上述の田中氏が絶品と賞する三首を記しておく。お暇な方はご挑戦のほど。

・色は空なり すべて無為 常に非ざる 世を侘びぬ み仏まかせ 稚児の夢 重き縁知れ 誰そや酔ふ

・迂人庵(うしんいほ)あみ 日も落ちぬ 手まくら常よ 花に風 聴けやゐろり邊 夢の声 誰(た)そ故郷(ふるさと)を 忘れ得む

・我も海より さすらひて 艫を任せ居ぬ 沖つ潮 笛の音夢幻 誰(た)そや漕ぐ 花散るゆゑに 雨いとへ

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