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2022.07/09 [Sat]
アベノミクスの総括
たぶん今年の三大ニュースの一つになるだろう事件だけにとりあえず保存。
本日の日経新聞朝刊の扱い
昨日このニュースに接した時、ケネディー暗殺のシーンが脳裏に重なったが、続けて浮かんだシーンが顰蹙かもしれないが「ジャッカルの日」。しかし現実は、高さ数10センチほど演説台に立つ安倍元首相を背後の路上から犯人が銃で撃ったというから、小説とはかなり異なり、少なくとも緊張感に欠ける状況だったようだ。

安倍氏は2006~07年と12~20年の2度にわたり首相を務め、通算の在任日数は3188日で憲政史上最も長かったというから、多数の国会銀からも稀にみる逸材として評価されていたのだろう。
安倍氏の具体的な首相としての成果がアベノミクスと呼ばれる金融経済政策。各紙、論評していると思うので詳しくは述べないが、日経新聞では「アベノミクス、日本の転換点 「3本の矢」で円安・株高 日銀総裁「デフレ脱却へ成果」 消費税2度引き上げ」というタイトルとサブタイトルでまとめていた。
具体的には就任時に1ドル=80円台半ばだった為替レートは円安に転じ、リーマン・ショックや東日本大震災で低迷していた企業の景況感も好転、12年11月が谷となった景気は18年10月の山に至るまで71カ月にわたり拡張した。
就任直後に政府・日銀で共同声明を公表するなどデフレ脱却に力を入れた。13年春に就任し、異次元の金融緩和に踏み切った日銀の黒田東彦総裁は安倍氏について「デフレからの脱却と持続的な経済成長の実現に向けて多大な成果を残された」とのコメントを文書で発表。「経済の発展に尽くされたことに心より敬意を表する」と述べた。また付随する結果として就任時に6263万人だった就業者数は退任時の20年9月には400万人あまり増え、失業率は4.3%から3.0%に下がった。添付されていた図がこちら。

さて、「三本の矢、」、首相官邸のHPにこんな注釈、「日本再興戦略」改訂2014(成長戦略2014)の内容をわかりやすく解説したページです。」、と共に、就任時の成長戦略のイメージが公開されている。一番目の矢が日銀を巻き込んでの「異次元の金融緩和」、二番目が機動的な財政政策、そして三番目が民間投資を喚起する成長戦略、というものである。

成長戦略2014の要が「異次元の金融緩和」、阿部首相にこんなアイデアが出せるわけはなく、主導したのは経済政策の指南役だった前内閣官房参与浜田宏一氏。これに同調したのが日銀の黒田総裁という構図。
安倍首相にとって、もしくは浜田氏や黒田総裁にとって誤算だったのは、この異次元金融緩和によって年率2.0%の物価上昇を早晩達成、デフレから脱却し日本経済は健全な成長路線を達成できるはずが、結局2022年になっても2.0%の物価上昇を得ることができなかったこと。黒田総裁がそれゆえ現在も大規模金融緩和を継続するとアナウンスし、円安を助長しているのが現状である。
アベノミクスの最大の負の遺産は、新型コロナウイルスによる予期せぬ莫大な財政政策を取らざるを得なかったとはいえ、その結果、不可逆的なレベルまで国債残高が増加したことと、日銀がやはり不可逆的なレベルまで国債を買い入れせざるを得ない状況に至ってしまったことである。
「終わりの始まり」という記事をいくつか書いてきたのは、大規模な金融緩和という名のもとの財政ファイナンスに起因する。今回、この記事を書くにあたって過去記事を検索した。約8年前の2014年11月に「量的金融緩和の正体」なる記事を書いていた。
(前略)いずれにしろ、国債を財務省が発行し、中央銀行が買う。なんかおかしくない?と感じるのは正しい。また、これだけ買い集めた国債をどうするの?という素朴な疑問に対する答えも必要。いわゆる出口戦略。この当座預金で買い戻してもらえば良いような気もするがそれほど単純ではないだろう。200兆円の国債を日銀が売りに出ればどうなるか、これが、金融緩和の副作用。どう見ても幸せな絵は描けない。
そして日本の財政構造。これからも国債を発行し続けないと日本は回らない。いつの日か、異次元金融緩和が化粧した財政ファイナンスに異ならないと世界が気付いた時、何が起こるか・・・
現在なら気の利いた評論家が同じようなことを書くかもしれないが、ポイントは8年前にすでに記していたこと。先見の明などという陳腐なレッテルを自慢する気はなく、日本の専門家の質にただただ慄然とするばかり。参考までにお暇な方は→こちら。
本日の日経新聞朝刊の扱い

昨日このニュースに接した時、ケネディー暗殺のシーンが脳裏に重なったが、続けて浮かんだシーンが顰蹙かもしれないが「ジャッカルの日」。しかし現実は、高さ数10センチほど演説台に立つ安倍元首相を背後の路上から犯人が銃で撃ったというから、小説とはかなり異なり、少なくとも緊張感に欠ける状況だったようだ。

安倍氏は2006~07年と12~20年の2度にわたり首相を務め、通算の在任日数は3188日で憲政史上最も長かったというから、多数の国会銀からも稀にみる逸材として評価されていたのだろう。
安倍氏の具体的な首相としての成果がアベノミクスと呼ばれる金融経済政策。各紙、論評していると思うので詳しくは述べないが、日経新聞では「アベノミクス、日本の転換点 「3本の矢」で円安・株高 日銀総裁「デフレ脱却へ成果」 消費税2度引き上げ」というタイトルとサブタイトルでまとめていた。
具体的には就任時に1ドル=80円台半ばだった為替レートは円安に転じ、リーマン・ショックや東日本大震災で低迷していた企業の景況感も好転、12年11月が谷となった景気は18年10月の山に至るまで71カ月にわたり拡張した。
就任直後に政府・日銀で共同声明を公表するなどデフレ脱却に力を入れた。13年春に就任し、異次元の金融緩和に踏み切った日銀の黒田東彦総裁は安倍氏について「デフレからの脱却と持続的な経済成長の実現に向けて多大な成果を残された」とのコメントを文書で発表。「経済の発展に尽くされたことに心より敬意を表する」と述べた。また付随する結果として就任時に6263万人だった就業者数は退任時の20年9月には400万人あまり増え、失業率は4.3%から3.0%に下がった。添付されていた図がこちら。


さて、「三本の矢、」、首相官邸のHPにこんな注釈、「日本再興戦略」改訂2014(成長戦略2014)の内容をわかりやすく解説したページです。」、と共に、就任時の成長戦略のイメージが公開されている。一番目の矢が日銀を巻き込んでの「異次元の金融緩和」、二番目が機動的な財政政策、そして三番目が民間投資を喚起する成長戦略、というものである。

成長戦略2014の要が「異次元の金融緩和」、阿部首相にこんなアイデアが出せるわけはなく、主導したのは経済政策の指南役だった前内閣官房参与浜田宏一氏。これに同調したのが日銀の黒田総裁という構図。
安倍首相にとって、もしくは浜田氏や黒田総裁にとって誤算だったのは、この異次元金融緩和によって年率2.0%の物価上昇を早晩達成、デフレから脱却し日本経済は健全な成長路線を達成できるはずが、結局2022年になっても2.0%の物価上昇を得ることができなかったこと。黒田総裁がそれゆえ現在も大規模金融緩和を継続するとアナウンスし、円安を助長しているのが現状である。
アベノミクスの最大の負の遺産は、新型コロナウイルスによる予期せぬ莫大な財政政策を取らざるを得なかったとはいえ、その結果、不可逆的なレベルまで国債残高が増加したことと、日銀がやはり不可逆的なレベルまで国債を買い入れせざるを得ない状況に至ってしまったことである。
「終わりの始まり」という記事をいくつか書いてきたのは、大規模な金融緩和という名のもとの財政ファイナンスに起因する。今回、この記事を書くにあたって過去記事を検索した。約8年前の2014年11月に「量的金融緩和の正体」なる記事を書いていた。
(前略)いずれにしろ、国債を財務省が発行し、中央銀行が買う。なんかおかしくない?と感じるのは正しい。また、これだけ買い集めた国債をどうするの?という素朴な疑問に対する答えも必要。いわゆる出口戦略。この当座預金で買い戻してもらえば良いような気もするがそれほど単純ではないだろう。200兆円の国債を日銀が売りに出ればどうなるか、これが、金融緩和の副作用。どう見ても幸せな絵は描けない。
そして日本の財政構造。これからも国債を発行し続けないと日本は回らない。いつの日か、異次元金融緩和が化粧した財政ファイナンスに異ならないと世界が気付いた時、何が起こるか・・・
現在なら気の利いた評論家が同じようなことを書くかもしれないが、ポイントは8年前にすでに記していたこと。先見の明などという陳腐なレッテルを自慢する気はなく、日本の専門家の質にただただ慄然とするばかり。参考までにお暇な方は→こちら。
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