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風の行方とハードボイルドワンダーランド

再雇用の機会を捨て自由な時と空間を・・・ 人は何のために生まれてきたのだろうか? これから本当の旅がはじまる・・・

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青山繁晴氏と加計学園

参院選、毎度のことながら知名度さえあれば当選みたいな結果が散見され、そもそも良識の府である参議院議員としての責務を果たすだけの知性や見識、品格を持ち合わせているのかと、?マークが5個ぐらい付きそうな連中がぞろぞろ当選している。もちろん民意なので文句のつけようがないが、希望に満ちた日本の明日を期待できるわけはない。

そんな中、目に留まった結果が比例代表のお二人で、自民党の青山繁晴氏と共産党の大門実紀史氏。
20220712参院選比例代表

共産党の大門氏、約2000票及ばず次点で落選した。何かで氏の国会での質問を見るか読むかして、共産党にもこんな人がいるんだ、と驚いた記憶がある。昨日の「文春オンライン」の参院選の総括記事でもこう言及されていた。共産党は比例代表では野党きっての経済通・大門実紀史さんを落選させてしまい、国会での与野党の経済論戦を担う重要な片翼を失ってしまいました。

3年前の藤巻氏も「2回目(2019年)は51,619票いただいたが応仁の乱(1467年)によって落選した。1467票足りなかったのだ(苦笑い)。」だそうで、大門氏の落選をもって国家の一大事という日本の現状のおいて、国会における金融・経済の専門家は絶滅した。これが国民の総意。

一方、逆に青山繁晴氏は自民党内で3位の得票で当選した。1位2位が漫画家と全国郵便局長会相談役という知名度と組織票で当選を果たしたので、より知名度が高そうな片山さつき氏を抑えての当選は、政治家としての氏を信頼する人が37万人もいるということだろう。

青山繁晴氏を知ったのは2017年7月10日の参院での加計学園問題に関するテレビ中継。加戸守行前愛媛県知事を国会に喚問し、青山氏が質問、次々と前知事から加計学園問題の実態に関する発言を引き出していく様は、下手なサスペンスの謎解きを見るよりもはるかに興奮物だった。

この国会中継により、長期間にわたる新聞テレビの報道がすべて彼らの手による捏造あることが白日の下にさらけ出されたのである。

10日の国会質疑の加戸前愛媛県知事の最後の言葉がこちら。

若干感情が高ぶって、思いのたけを申し上げさせていただきました。ただ、一つだけ触れていなかったことがございます。様々なことがございましたけれども、眺めながら、六月十三日の国家戦略諮問会議の民間有識者の委員の方々が記者会見をされて、私は人に知らされてインターネットの、中継ではなくて、何というんですか、ユーチューブで一時間半拝見させていただいて、感激しました。特に、今回の規制緩和に関して心の一点の曇りもなくやったということで、これが今回の大きな事件の結論だったんだろうなと、これが国民に知ってもらうべき重要なことなんだなと私は思いました。

 たくさん今まで私のところに取材がありましたけれども、都合のいいことはカットされて、私の申し上げたいことを取り上げていただいたメディアは極めて少なかったことを残念に思いますけど、あのユーチューブが全てを語り尽くしているんではないかなと思います。


この話は、当時4本の記事としてブログに公開した(下記をクリックすると当該記事に飛びます)。これらの国会中継と、敢えて核心を外したと思われる新聞報道の後、加計学園に関する記事は少なくとも日経新聞の誌面から消えた。
加計学園問題の真実
マスコミが報じない加計学園の真相
日経新聞に対する驚き
ほとんど犯罪

今回、ブログに引用したYouTubeのUTRをクリックすると当該YouTubeは開かず、こんな画面が現れた。単に古くなったので削除されたのか、意図的に削除されたのかわからない。確かなことは、誰ももうこの時の質疑応答の実態を知ることはできないということだ。
20220712再生不可

ということは、上記のブログ記事の真偽を誰も確かめられないことでもある。困ったな、と思ったら国会の議事録があることに気付いた。アクセスするとサクサクと10日の青山氏と加戸前知事の質疑応答が、(たぶん)一字一句正確に記録されていた。膨大な資料ではあるが、後世のために丸ごと張り付けておく。新聞記事と較べれば、いかにマスコミが虚像を作り上げてきたかがわかるだろう。青字が青山氏の発言、黒の斜字が加戸前愛媛県知事。

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○青山繁晴君 自由民主党・こころの青山繁晴です。
 党利党略のためでなく、ただ国益のためにこそ、不肖ながら質問いたします。よろしくお願い申し上げます。
 初めに、九州をまたしても襲った豪雨災害で犠牲になられた方々と御遺族に魂から哀悼の意をお伝えしたいと思います。
 さて、加戸守行前愛媛県知事、前川喜平前文科事務次官におかれましては、参考人としておいでいただきまして、ありがとうございます。お二人は同じ文科省で加戸さんの方が先輩でいらっしゃるということですから、お名前を先にお呼びいたしました。
 質問に入ります。
 現在の日本では、鳥インフルエンザ、口蹄疫、そしてBSE、狂牛病という深刻な新しい危機が生まれています。
 鳥インフルエンザは、鳥から鳥にだけ伝染していた状態は例えば中国では既に終わり、鳥から人へ、さらに人から人へと伝染する恐るべき事態に進展し、死者も出ております。これは、鳥インフルのウイルスが突然変異を繰り返して感染力を高めている証拠です。日本においても高病原性鳥インフルエンザが人にまで広がる事態に常に備えねばなりません。また、牛や豚などの口蹄疫は宮崎県で既に大発生し、畜産農家に一時は壊滅的な被害を与えました。これもウイルスです。狂牛病も、既に北海道、千葉、神奈川、熊本で発症しています。
 マスメディアが忘れたかのように報道しないため、危機意識が薄れていることこそむしろ大問題です。不肖、私は元々民間で危機管理の実務に長く携わって国会に来ました。この動物由来のウイルスによる人類の新しい危機から国民を守ることが政府と国会のどれほど神聖な任務かよく理解しております。その観点から、いわゆる加計学園をめぐる問題が取り沙汰されるずっと以前から、民間の専門家の端くれとして、自治体や政府と連携すべきを連携しつつ、動物ウイルスを扱う獣医師の不足に私も直面してきました。
 農水省によれば、全国三万九千人の獣医師のうち、ペット関連の医師の方々が三九%と最も多くて、家畜の防疫や改良などを担う公務員獣医師は僅か九%です。今日質問するに当たりまして農水省に改めて問い合わせてみますと、以下のような回答でありました。
 産業動物獣医師、これは、例えば今申したウイルスなどに対応できる獣医師です。産業動物獣医師については十分に確保できていない地域があることから、獣医学生に対して地元に就職することを条件に学資を貸与している、このような地域は産業動物獣医師の確保が困難だと言えますという回答でした。そして、こうした学資の貸与は、愛媛県では九件あります。全国で三番目に多くなっています。東京にはこうした貸与は一切ありません。
 農水省の政府参考人であります小川良介審議官、これで間違いないか、それだけを簡潔にお答え願えますか。


○政府参考人(小川良介君) お答え申し上げます。
 ただいま御指摘の獣医学生等に対して修学資金を貸与する事業でございますが、平成二十八年度には全国で十六地域が事業を実施する中、愛媛県の計画は九人で、全国で三番目に多くなっているところでございます。


○青山繁晴君 前川参考人にお尋ねします。
 あなた様におかれては、日本に獣医師の不足がないから、愛媛県今治市に加計学園が新たに獣医師学部をつくることは行政をゆがめることであるという趣旨で発言されていると思いますが、この今申し上げた実態は御存じなのでしょうか。


○参考人(前川喜平君) 違います。
 獣医学部の新設について、一律に申請を受け付けないというこれは告示があるわけでございますが、その告示に対して特例を設けるかどうか、あるいは告示の撤廃を考えるかどうか、獣医学部の入学定員について定員管理をするというポリシーを捨てるか捨てないか、これは政策論議をすべき問題でありまして、それは国家戦略特区を舞台にして議論することもできるでしょうし、あるいは一般論として議論することもできます。
 この規制緩和をすべきかどうかという問題と、その規制緩和の結果として加計学園に獣医学部の新設を認めるかどうかという問題とは、これは次元の違うことでございまして、私がゆがめられたというふうに思っております部分というのは、規制緩和の結果として加計学園だけに獣医学部の新設が認められるに至ったプロセスであります。その部分が問題であるし、不公平な部分があるのではないか、また不透明な部分があるのではないか、そこの解明が必要だというふうに考えているところでございます。

○青山繁晴君 正直、今、前川参考人のおっしゃったことは僕の予想したとおりであります。この件については、もう少し後に改めて御質問いたします。
 今、加戸参考人におかれては、自治体の最前線でこの獣医師不足に直面してこられました。どのような実態でしょうか。また、前川参考人の先ほどの御答弁、お答えをどのようにお聞きになりましたでしょうか。

○参考人(加戸守行君) お答えいたします。
 まず、参考人でお呼びいただいたことに心から感謝申し上げます。
 もう十年前に愛媛県知事として今治に獣医学部の誘致を、当時は、構造改革特区の名の下に申請した当時のことを思い返しまして、はなも引っかけていただかなかったこの問題が、こんなに多くの関心を十年後に持っていただいているということに不思議な感じがいたしております。
 当時、愛媛県知事としてたくさんの仕事を預かりながら、県民の生命、身体、財産、畜産業の振興、食品衛生、その他で一番苦労しましたのが鳥インフルエンザ、あるいは口蹄疫の四国への上陸の阻止、あるいはBSEの問題の日本への波及の阻止。言うなれば、四国という小さな島ではありますけれども、こういった感染症対策として一番防御が可能な地域という意識もございましたし、そして、アメリカがこの問題で、狂牛病の体験を受けて先端切って国策として、これからはライフサイエンスと感染症対策をベースとした獣医学の教育の充実ということで、大幅な獣医学部の入学者の増加、そして三つの獣医科大学の新設という形で懸命に取り組んでいる姿を横で見ながら、何と日本は関心を持っていただけない国なんだと。私は少なくとも十年前に愛媛県民の、そして今治地域の夢と希望と関心を託してチャレンジいたしました。厚い岩盤規制で、はね返され、はね返され、やっと国際戦略特区という枠の中で実現を見るようになった今、本当にそれを喜んでもおります。
 先ほどの話がございました行政がゆがめられたという発言は、私に言わせますと、少なくとも獣医学部の問題で、強烈な岩盤規制のために十年間我慢させられてきた岩盤にドリルで国家戦略特区が穴を開けていただいたということで、ゆがめられた行政が正されたというのが正しい発言ではないのかなと私は思います。


○青山繁晴君 前川参考人と加戸参考人のお話は見事に食い違っているわけですけれども、その経緯につきましては、もう一度申します。この一問後にお問いかけします。
 今の獣医師の問題についてもう一点だけ御質問をお二人にいたします。
 これまでの獣医師養成には別の問題もあります。実は、現在九百三十名の定員でありますけれども、千二百名まで水増し入学が行われています。これで需給が均衡しているともしも文科省が判断しているのであれば、この点からもおかしいのではないでしょうか。これは二三%もの水増し入学が横行しているということでありますから。
 実は現場の方々に随分尋ねてきました。そうしますと、例えば、教室に入り切れない学生が廊下にあふれて、授業を一種見学している、のぞき込んでいるという実態もある。一番大切な実習も、実は背後からのぞくだけという状態が、これ大学によって変わりますけれども、起きているところがかなりあると。
 文科省は、現在、大学の定員超過の是正に取り組んでいるとも聞きました、文科省に聞きますと。ただ、もしも獣医学部の水増しが正されれば、年間二百七十名、何とほぼ四分の一もの新しい世代の獣医師が減ることになります。これは獣医師の教育が現状の学校では十分でないという証拠でもあり、獣医師養成の学校が足りないという証左ではないでしょうか。
 前川参考人、この点については御見解いかがでしょうか。

○参考人(前川喜平君) 私立大学の定員超過の是正をどうするかということは一般的な問題としてあると思います。これは私学助成をどのように活用するかというようなことも含めまして検討する必要がある問題だろうと思いますが、ただ、この獣医師の需要がどのくらいあるのか、それに対してどのくらいの獣医学部の入学定員が望ましいのか、これはやはり政策的に考え、また定員管理を政策的に行っていくということが当面正しい方法だろうと思っておりまして、一遍にこれを撤廃するということは望ましくないだろうと私は個人的に思っております。
 ただ、その獣医師に関しましても、もし今後養成を増やす必要があるというのであれば、それはまだ確認されたことではございませんが、もし今後獣医師の養成を増やす必要があるというのであれば、それは既存の大学の定員を増やすという方法もあるわけでありますし、既存の大学にはもう十分なスタッフがそろっている場合もありますし、さらに、十分なその教官組織を更に充実させるということもあると思います。
 真っ更に新しく獣医学部をつくる方がよほど困難でありまして、その教員をどこから連れてくるかという問題は非常に難しい問題のはずであります。既存の大学から新しい学部に教員を連れてくるのであれば、既存の大学の教員組織が弱体化いたします。そこをどうするかという問題がございますから、単に養成数を増やすということであれば、通常は既存の大学の定員を増やす方がよりコストの掛からない方法であります。実際、医師についてはそういう方法を取って供給数を増やしているわけであります。
 そういった選択も含めて、政策的に考えるべき問題であるというふうに考えます。

○青山繁晴君 今、前川参考人のおっしゃったのを謙虚にお伺いしましたけれども、要は、既存の体制の強化でやりたい、それがもしできるならいいんですけれども、それだったら、今の水増しのような事態が、この獣医師養成機関はみんな志を持ってやっているわけですから、起きるはずがないと思います。
 その上で、もう一度、今の件について加戸参考人はいかがでしょうか。


○参考人(加戸守行君) 特区の申請をしてから何回も門前払いを食らいました。
 いろいろな方策で模索しましたが、一番強い反対は日本獣医師会でありました。当時、直接の接触はございませんでしたけど、ホームページでは専務理事が、まあ今治の獣医学部新設に関してけちょんけちょんの論陣を張っておられまして、その中でも、要するに養成はちゃんとするから余分なことをするなというのが基本であります。
 当時から私が大変疑問に思いましたのは、まず獣医師の養成が、私はこういう言葉を使いましたけれども、箱根の関所から東を関東と言っていました、箱根の関所から東で八割の入学定員があり、箱根の関所から西の方には二割の入学定員しかなくて、しかも私学は水増し入学をしますから、実質的には養成される獣医師の数は箱根の関所から東が八十数%、場合によっては九〇%近くがそちらで。空白区は四国であります。獣医師が確保できない。
 県知事としていろんな対応をしても、とにかく、例えば地方公務員は競争試験が原則ですけれども、獣医師が、もう無試験でもいいからどうぞどうぞと言っても来ていただけない。獣医師会の反対は何かといったら、処遇しないからだと。じゃ愛媛県だけは、あるいは四国は獣医師の給与体系を国家公務員の獣医師よりも上回る体系を作ることができるのか。それは、じゃ獣医師が充足されたときは給料を下げるのかという給与の問題を、愛媛は給料が安いから行かないんだよとか奨学金出さないから行かないんだよと、全部東京へ来たら養成して返すからと、そういうことでいいのかなということが一つ。
 それから、新しい学部はできないと言って、その後、反対されながら見ていました。でも、自分たちはどうであったのかと申し上げると、大変恐縮ですけれども、大学教授の定員は十年前と今日と変わらないままで、アメリカは必死にやっているのに、据え置いたままで新しいのをつくるなつくるなと。今回のケースにしましても、はるかに多い獣医学の教官をつくって、感染症対策なりあるいはライフサイエンスなり、あるいは動物実験による創薬の研究なりと、幅広い学問をやるスタッフをそろえようと思っても、それをブレーキを掛けるというのは私には理解できない。それならば、自分たちでなぜこの十年の間にアメリカに遅れないようにスタッフをそろえないんですかと。今のままで置いておいて、今治にはつくるなつくるなと言う。これは余りにもひどいではないかというのが私の思いでありました。
 少し時間を頂戴してよろしければ、私の知事の任期の終わりの方に民主党政権が誕生して、自民党じゃできないのは私たちがやると言って頑張ってくれました。対応不可の門前払いから実現に向けての検討とレベルアップしました。ああ良かったねと言って、私は次の知事にバトンタッチしました。ところが、自民党政権に返り咲いても何も動いていない。何もしないでいて、ただ今治だけにブレーキを掛ける、それが既得権益の擁護団体なのかという悔しい思いを抱えながら参ってまいりました。そして、国家戦略特区で取り上げられ、私も昔取ったきねづかで、今、今治市の商工会議所の特別顧問という形で、この応援団の一員として参加しております。
 それを眺めながら、大切なことは、欧米に伍した先端サイエンスと感染症対策と封じ込めと、私たち日本人の生命が懸かるこの問題を、欧米に遅れないような獣医師を養成しなけりゃならないことに手を加えないでおいて、今治は駄目、今治は駄目と。加計ありきというのは何でかなと思います。私は加計ありきじゃありません。加計学園が、たまたま愛媛県会議員の今治市選出の議員と加計学園の事務局長がお友達であったから、この話がつながれてきて飛び付きました。これも駄目なんでしょうか。お友達であれば全て駄目なのか。そんな思いで眺めながら、今日やっと、思いの一端をこの場を借りて申し上げさせていただきました。


○青山繁晴君 加戸参考人におかれては、旧文部省で官房長まで務められたお方で、先ほど申しましたとおり、前川参考人の先輩でもいらっしゃいます。文科省あるいは旧文部省が守ってきた言わば既得権益、規制の壁と、それから自治体、特に地域の方々、そして危機に備えなきゃいけない務め、そういうことが実はやっぱりそごを来していたということが、率直に御自分を誇らずにお話しになられたと思います。
 その上で、先ほど前川参考人から加計ありきが問題じゃないかという趣旨のこともおっしゃいましたので、時間がだんだん少なくなりますけれども、このお話、この御質問をいたしたいと思います。というのは経緯です。
 愛媛県の今治市に加計学園の岡山理科大学獣医学部を新設することについては、今日の審議でも様々な文書が議題になりましたけれども、省内のメモというのはふだんから、僕も政治記者の時代からよく存じ上げております、あふれているということを。そういうことに依拠するよりも、閣議決定やあるいは国家戦略特区をめぐる議事録、公に公開されているものを丹念に調べていけば、これは私の個人見解ですけれども、経緯は非常にはっきりしていると考えています。
 まず、文科省は、先ほど前川参考人がおっしゃった告示、これを西暦二〇〇三年に、最初にこの件について出しております。この告示というのが、実は、今日の部屋にいらっしゃる方は御存じであっても一般国民には非常になじみが薄いものであって、法律でも政令でも省令でもなくて、言わば役所が出す一種の、命令というのは言い過ぎかもしれませんけれども、相当な力を持っているものを役所が実は出すことができると。そういうものが存在していること自体、実はマスメディアは、僕は元記者なので、この告示のチェックまで正直やったことないです。ということは、国民の方々がこの告示の実態に触れるのは関係者になったときだけですね。
 したがって、この告示にまず注目せざるを得ないんですけれども、その告示によって、これはまさしく前川参考人がおっしゃったとおり、獣医師などの大学新設を事実上差し止める告示が二〇〇三年に出されました。これは公平のために言っておくと、獣医師だけではなくて、お医者様、歯医者様、獣医師の方々、そして船員の方々、この四種についてですけれども、そういう差止めが行われたわけです。
 この二〇〇三年の告示の前からこういう姿勢だったですけれども、告示で改めて確認したということですから、そのために、獣医師の大学・学部は、半世紀の間、実に新設されていないわけです。これに対して、今、加戸参考人がおっしゃったとおり、愛媛県と今治市が共同で獣医学部を誘致し、加計学園だけがこれに応じたのが告示の三年後の二〇〇七年です。ですから、さっき加戸参考人は十年の苦闘と、苦闘という言葉ではありませんでしたけれども、そういう趣旨をおっしゃったのは非常に正確な時系列でおっしゃっています。
 その後八年間にわたって、加計学園だけではなくて、ここにいらっしゃるまさしく加戸さん、当時の愛媛県知事ら自治体の働きかけがあって、では、新しい需要があることなど四つの条件を満たせば国家戦略特区の中に獣医師の学校をつくってよしという閣議決定がなされた、これがおととしの二〇一五年の六月三十日です。
 この前年にはこの国家戦略特区の基本方針がやはり閣議決定されていて、だから、どんな方も読むことができます。その中にこういう趣旨があります。これは先ほど山本大臣がおっしゃったことでもあると思いますけれども、答弁は必要ないですが、ある省庁が規制の緩和を困難とする場合にはその正当な理由を説明するのを義務とすると、これを難しい言葉で言うと挙証責任と言っているわけですけれども、そういう趣旨が盛り込まれました。そのために、先ほど申しました四条件に基づいて文科省は新しい需要が獣医師にあるのかないのか、二〇一五年度末、つまり去年の三月三十一日までに説明する責任が実質的に生まれました。ところが、文科省は年度末までにそれができなかった、それを見てなのか、そこで新たに京都産業大学が名のりを上げました。つまり、ちょうどその頃、二〇一六年の三月です。
 しかし、政府、この場合は安倍政権は、これをもって文科省の言わば敗北とはせずに、半年延ばして二〇一六年九月十六日に国家戦略特区ワーキンググループのヒアリングを行いました。この席で文科省の方はこうおっしゃった。新しい需要があるかないかという挙証責任は大学へ、これ、言葉を補っていますけれども、大学や学部を新設したいという側にあると、これはちょっと言葉を補いましたが、要するに文科省にないということをおっしゃったわけです。
 ところが、ワーキンググループ側に、今日、例えば衆議院で参考人にいらっしゃった原さんなどが、いや、文科省にあると、原さんの言葉を正確に言うと逆さまになっていると、むしろ挙証責任あるのは文科省の方なのに逆さまに言っているということをおっしゃって、この議事録を、どなたでも読めますから、議事録を見ていただくと、この後に文科省の反論は一切ないんです。したがって、議論はそこで決着してしまっている。なぜこの挙証責任が文科省にあるかといえば、これは大学や学部新設の許認可は全て文科省が握っているからです。文科省もこれが分かっているから反論しなくて、言わばそれで決着しているわけです。もう一回申します。これは僕の推測とか勝手な組立てで申しているんじゃなくて、こういうものをメディアも読み込んでいけば本当は分かることです。
 文科省がいつも話題、問題になる総理の意向があるという内部文書、前川参考人の御答弁におかれてもこれがメモであるという趣旨は感じられますが、これを作成したのはこの事実上決着した僅か十日後のことです。二〇一六年九月二十六日のことです。すなわち、課長級の交渉、この場合直接は課長補佐ですけど、クラスでいうと大体課長級の交渉で決着してしまったことに改めて内閣総理大臣が口を出すというのは、およそ行政の現場にいる人からしたら信じられないことです。これ、実は、外務省や防衛省に至るまで僕の記者時代の知り合い全部に聞いていきましたけど、一人もそんなことはありませんということで、どうして国会でこういう議論になるんでしょうかという疑問がむしろ僕に提示されました。
 これは、すなわち、ここは僕の推測です、フェアに申しておきますが、文科省の内部向けに、敗北したことであっても、それは総理の御意向だから仕方ないでしょうという内部向けに弁明する文書だったと見るのが一番真っ当な解釈ではないでしょうか。
 この解釈が当たっているかどうかは別にして、現実に動いたのが日本獣医師会です。先ほど加戸参考人がおっしゃった。獣医師会の蔵内勇夫会長は、最近、西日本新聞のインタビューに答えて、こうおっしゃっています。規制緩和が決まった後は、つまりこのワーキンググループのヒアリングで事実上決着したということを当事者の獣医師会が一番痛切にお感じになったわけですから、規制緩和が決まった後は、確かに一校にしてくださいと。せめて一校にしてくださいとお願いしましたと、新設を回避できないならせめて一校に限るべきだと思ったからですと。これもどうぞインタビューの元を確かめてください。
 これを受けて、この年、まさしくこの年の十一月秋になって新規参入の京都産業大学が次回以降に期待をつなぐ形で、これも済みません、お名前申せませんが、京都産業大学、取材に応じていないようですけれども、僕の知り合いに確認しましたら、今回駄目でも次回以後期待できるということで、無理をせずにここで矛を収めましたと。これは、ただし非公式な発言ですから信憑性は確認できません。個人の発言ですから分かりませんが、しかし、皆さんお聞きになってどうですか。これ、ごく真っ当な話ですよね。
 そして、その京都産業大学の撤退を直接受ける形じゃないと思いますけど、翌年、つまり今年の一月に加計学園が特区事業者に認定されたわけです。そして、獣医師会の強い希望、そして、これ、僕は自由民主党のために質問しているんじゃありませんから、国益のために質問していますから申しますが、獣医師会による自由民主党を含めた政界への働きかけによって一校に絞られたときに、もしも去年に初めて参入した京都産業大学になっていれば、それこそ何があったのか大変な問題になったんではないでしょうか。逆に言えば、京都産業大学が今回については断念なさったのは、獣医師会の強い働きかけがあったことも一因ではないかと考えられます。これが正直、公開された文書を何度も何度も読み返し隅々まで全部調べたら、この経緯しかないんです。
 この経緯について、前川参考人にお尋ねします。ちょっと失礼な物言いになることは許してください。そもそも、こういった経緯について、現職のときに、こうやって国会においでになるようなときの前に、詳細に御存じだったでしょうか。

○参考人(前川喜平君) 私が現職で文部科学省で仕事をしている中でも、見えない部分はたくさんございました。どうして三十年四月開学が大前提なのか、ここについては合理的な説明はどこにもございませんでして、結局は官邸の最高レベルが言っていることあるいは総理の御意向であるというような説明しかなかったというようなことがございまして、これは内閣府の方で御説明いただかなければならない部分だろうと思いますけれども、文部科学省からはあずかり知らない部分がたくさんございますので、私が承知していないことは多々ございます。
 しかし、日本再興戦略改訂二〇一五で、平成二十七年の六月に閣議決定された四条件というのがございます。これはやはり閣議決定でございますから、閣議決定である以上、政府部内にある者は、何省であれ何府であれ、あるいは特区諮問会議であれ、これは内閣の一員として守らなければならないものだと思っております。
 この閣議決定の中で四つの条件があるわけでありまして、文部科学省としてはこの四つの条件をやはり満たす必要があるということをずっとこだわったわけでありまして、その第一は、現在の提案主体による既存の獣医師養成でない構想が具体化すること、これは、今治市からそういう構想が出てくるということを想定していたわけであります。今治市から確かに何らかのものは出てまいりました。
 これに対して文部科学省側は何と言ったか。あのワーキンググループの議事録をお読みいただけば分かりますけれども、文部科学省はその一つ一つにつきまして、これは既存の大学でできている、既に取り組まれていることであるということを言っております。それに対して何ら反論はなかったわけであります。
 ですから、文部科学省としては、この四条件に照らして、今治市から出てきた提案はこの条件を満たすものではないということを主張はしておるわけでありますけれども、そこから先の議論になっていないわけであります。そこから後は、もうとにかく決めると、四条件は満たしたと誰かが決めてしまったと、そういうことでありまして、文部科学省としてワーキンググループで満たしていないという主張はしていることは、お読みになれば分かります。
 これをもって挙証責任云々と言われるのはおかしい話でございますが、まず政府内での議論の中でどちらが先にその必要性を述べるかと、これは確かに議論の順番として挙証責任をまずどちらに負わせるかというようなことはあるかもしれませんが、その結果として、内閣府が勝った、文科省が負けた、だから国民に対してはこれをやるんだと説明する、これでは国民に対する説明にはなりません。
 この挙証責任の在りかということと国民に対する説明責任とは全く別物でありまして、国民に対する説明責任はやはり政府一体として負わなければならないわけでありまして、挙証責任があって、その議論に負けたから文部科学省が説明するんだと、こういう議論にはならないはずであります。

○青山繁晴君 僕は本音のところで前川さんという人をなるべく信用したいんですけど、今のお話は非常に不可思議な話で、まず、全体としておっしゃっているのは、今僕が申し上げた経緯について全部御存じないというのは伝わってきました、そうはおっしゃっていませんけれども。御存じであれば御存じだとおっしゃるはずです。
 それから、例えば挙証責任を持つということと国民に説明するということは別だとおっしゃいましたが、これ別だったら民主主義は終わりです。何のためにこの審議やっているのかも分かりません。
 それから、挙証責任ということを、むしろ話を、こういう言葉使いたくないけど、すり替えておっしゃったのは、今、前川さんの方であって、だから、そういうことは、何かの志を持って今お話しされているんであれば、なるべく避けていただきたいと思います。
 その上で、時間も迫ってきますから、この件もやっぱり加戸参考人にお考えをお聞きします。どうぞ。

○参考人(加戸守行君) 私の古巣でありますけれども、やはり文科省も、時代の進展、国際的な潮流を考え、これでいいのかということは常に自問自答をしなければならないと思っております。
 私自身が、今回の問題にタッチしてそれがはね返され、年月が経過するたびに、当時、同時並行で、例えば薬学部、これは医薬分業がありまして、一遍に入学定員が五千数百、六千人近く増えました。大学の数も二倍近く増えました。でも、そのことに関して、需要がどうだ、供給がどうだ、挙証責任がどうだと、誰も問題にされていなかったと思います。今何が起きているかというと、今後、何万人という薬剤師の過剰供与、それをどうするかというのが深刻な問題だということになっている。片や、獣医学部はびた一文駄目です、そして挙証責任がありますとか言う。
 私は関係しておりませんでしたけど、論議を聞きながら思いますのは、少なくとも私の知る限り、提案した時点から、東京の私学の獣医学部は四十五人とか五十人とか五十数人の教授陣容のままで、時代の進展に対応しないまま今日に来ております。その中で、今治で計画している獣医学部は七十二人の教授陣容で、ライフサイエンスもやります、感染症対策もやりますと、様々な形での、もちろんそれは既得の、例えば医学部の一分野で何かやられているかもしれませんけれども、そういう意欲を持って取り組もうとしているのに、何というんですか、いびりばあさんじゃありませんが、薬学部ならどんどんつくってもいいけれども、獣医学部はびた一文駄目だって、こんなことが一体この国際化の時代に、欧米に遅れてはいけない時代にあり得るんだろうかというのが私の思いでもありました。へ理屈はいいんです。
 ただ、それからもう一つ感想を言わせていただくと、私は霞が関で三十数年生活いたしました。省庁間折衝等あります。自分の思いを、省を代表して、激しい言葉も使い、場合によっては虎の威を借るキツネのような発言もあり、でも事柄が決着した後は、酒を酌み交わして、そしてお互いの、ああ、あなたもきつい言葉使ったねと言いながら、決まったことに向かっての次の施策へ向かっていく、これが霞が関の文化でした。
 今回は霞が関の文化が感じられません。時代が変わったんでしょうか。少なくとも、日本国民にとって、時代の潮流の中で、どこが何を求めているのか、それに対応するにはどうすればいいのかを考えることであって、私は本質の議論がされないままにこんな形で獣医学部がおもちゃになっていることに甚だ残念に思います。


○青山繁晴君 時間はあと六分になったんですけれども、前川参考人が文科省の不正な天下り事件に関わられてお辞めになったことは公然たる事実であります。この天下りの実態について日本記者クラブで前川参考人が六月二十三日に記者会見なさったときに、自分はその詳しい実態を知らなかったということをお話しになっています。これは、正直僕は大変驚きを持ってその記者会見を拝見しました。動画でも記録でも拝見したんですけれども、これが事実だったら事務次官の責任放棄か怠慢と言わざるを得ませんし、事実でないんだったら、天下りあっせんのそもそも違法性について認識が足りないんではないかという根本問題につながりかねないと思います。
 時間何とかつくって前川さんにちゃんとお答えいただきますけれども、例えば日本獣医師会の蔵内会長は、この医師会内の「春夏秋冬」という御自身のエッセーで何を書かれていらっしゃるかというと、既存の獣医師の待遇改善に意を砕かれている、そのためにも獣医師が増えることには反対すると、直接的には獣医師増につながる学校の増設に反対される意思、これ、エッセーで明確にお書きになっています。
 この獣医師養成の機関を含めて、学校の許認可権は全て文科省にあるわけです。だから、学校は天下りの文科官僚を受け入れ、文科省は次官以下が学校への天下りを法を犯してでも進めたから、前川参考人におかれてもこの問題で辞任なさったわけです。
 この獣医師会に見られるような、これも獣医師の方が全部そうだとは僕はとても思いません。しかし、会としては、既存の学校だけを守ろうとする姿勢と天下り問題は密接につながっているんではありませんか。すなわち、これは既得権益を政官財民、もうとにかくありとあらゆるところが一体で守ろうとする日本の闇につながっているんではないでしょうか。学校の設置許可も、良い学校が残っていくという良き競争に任せないで、既存の学校をとにかく守る、妥当な規制緩和であってもやらないという姿勢が現在の文部科学省ではないんでしょうか。その懸念を今日の審議でも大変感じました。
 あと四分あります。済みません、前川参考人、できれば加戸参考人と二分ずつ割っていただいて、済みません、簡潔にですが、前川参考人の御見解をどうぞ。

○参考人(前川喜平君) この国家戦略特区における今治市における獣医学部設置の問題、この問題をめぐる議論といわゆる天下り、再就職規制違反に係る問題と、これは結び付けて議論するのはやはりおかしいと思います。
 仮に結び付けるのであれば、具体的な事例は木曽理事の問題です。木曽理事は確かに私の先輩で、内閣官房参与をした上で、内閣官房参与の身分を持ったまま加計学園の理事になっておられまして、その二つの肩書を持った状態のときに私のところにおいでになりまして、加計学園の獣医学部の新設に向けて働きかけをされたと。
 こういうOBによる現役に対する働きかけこそがやはりいわゆる天下り問題の弊害の一つの端的な例だと思っておりますが、私は、この木曽理事の働きかけにつきましては、それをもって何らかの政策判断に影響させるということはいたしませんでした。その事実だけは担当課へ伝えましたけれども、それをもって何かそんたくをするとか便宜を図るとか審査を甘くするとか態度を軟化させるとか、そういったことはすべきでないと思っておりましたし、実際にそういうことにはなっておりません。
 この天下り問題とこの獣医学部をめぐる問題とを結び付けて議論することは誤りだと思います。

○青山繁晴君 いや、僕は結び付けなければいけないと思っています。そこが一番違うところですが。
 前川さん、最後に、加戸さんにお話しいただく前に一言だけ申せば、文科省はこのほど文部科学白書を発表しました。その冒頭の三ページに異例な言葉が入っていて、組織的な天下りの問題について省を挙げて猛省するとして国民に謝罪して、三人の事務次官経験者は、すなわち、前川さん、あなたを含めてです、あっせんの構造づくりや運用に関わっていた責任を極めて重く受け止め、停職相当の評価としたと、そういうふうにお書きになっているわけです。後輩の方々が苦しんで書かれたこの文章を今の御答弁はこれちょっと裏切っているんじゃないかと思いました。
 済みません、あと一分になりましたが、加戸参考人、どうぞよろしくお願いします。

○参考人(加戸守行君) ありがとうございます。
 若干感情が高ぶって、思いのたけを申し上げさせていただきました。
 ただ、一つだけ触れていなかったことがございます。様々なことがございましたけれども、眺めながら、六月十三日の国家戦略諮問会議の民間有識者の委員の方々が記者会見をされて、私は人に知らされてインターネットの、中継ではなくて、何というんですか、ユーチューブで一時間半拝見させていただいて、感激しました。特に、今回の規制緩和に関して心の一点の曇りもなくやったということで、これが今回の大きな事件の結論だったんだろうなと、これが国民に知ってもらうべき重要なことなんだなと私は思いました。
 たくさん今まで私のところに取材がありましたけれども、都合のいいことはカットされて、私の申し上げたいことを取り上げていただいたメディアは極めて少なかったことを残念に思いますけど、あのユーチューブが全てを語り尽くしているんではないかなと思います。


○青山繁晴君 ありがとうございました。終わります。


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