Entries
2022.10/14 [Fri]
32年ぶりの円安の鑑賞
円相場は13日、一時1990年8月以来、約32年ぶりの円安・ドル高水準となる1ドル=147円台後半に下落し、バブル経済崩壊後の最安値圏に突入した。
ということで、他紙は知らないが日経新聞ではトップ記事。32年ぶりの円安というのは、通過点であるにしろ日本の現状を認識し、近い将来の日本もしくは自分の生活のあり様をちょっと考えるに最適なニュースではある。

この147円割れの事実、昨夜アメリカの為替レートをチェックした際に知った。たぶん明日の朝刊のトップ記事だろうな、と思っていたので自分にとってはニュースでも何でもないのだが、140円割れの時と同様、歴史的場面に遭遇したのでその模様を鑑賞したい。
下図は円/ドルの1分足、すなわち一分間ごとの取引価格の推移である。ある一分間の始まりと終わりが棒の下と上、その間の最低と最高がひげと呼ばれる細線で表される。一分間で値上がりすれば緑、下がれば、すなわち最初より最後が低ければ赤で示される。
事件は昨夜の日本時間21:30頃に起こった(左の赤の四角枠)。それまで146円台後半で膠着していたが、一分間であっさり147円を越えてしまった(円の下落)。値動きにおいて躊躇いが全く見られないのが潔い。その後は、さらなる円安の継続の思惑から円は続落、147円台後半まで下落したが、40分後の22:20頃に円のショートの利益確定(円の買戻し)によりやはり一分間で行ってこいの状態で元の146円台後半に後戻り。この40分間、FXをやっていた人たちはお祭り騒ぎだったことだろう。これが投機的動きの典型だが、悪いことではなくよくあること。その後は円安は経済原理により当然として147円台で小動きになった。

以上は1分足という虫眼鏡で見た値動き。60倍離れてみた1時間足だと、階段のように膠着状態のあと急騰(表現としては円の急落)を小刻みに繰り返しているだけで、セミマクロに見れば鈴木財務大臣がいうような「投機的な動き」ではなく金利差に基づく合理的な動きであることがわかる。円の買い入れ介入に効果がないのも当然。

日経新聞の記事には超長期の円ドル為替相場の推移が掲載されている。図は円の価値が劇的に上がった(ドルの価値を劇的に下げた)1985年の「プラザ合意」以降の値動きを示しており、ここから先の円安には歯止めがない状況にあることをうかがわせている。

円を持つことのリスクは会社を辞める前から気付いており、かつ実行してきた。今はなきCityBankに口座を開いたのは2007年のことである。ブログを書き始めたのが2013年の7月、2014年に入り独り円安リスクから離れてぬくぬくと過ごすのも居心地が悪いので、世に啓蒙すべく諸々の角度から金融経済の実態について記事を書いてきた。内容は一貫して円安に対する警鐘でたぶん100本近い記事を書いたことだろう。
下図は2022年に入ってからの円ドル相場の推移。赤の矢印は代表的な円安に関する記事の日付である。図のように2月までのドルに対する円は110円台であった。そんな円レートであったにもかかわらず、1月3日の記事の終わりにこう書いている。背景には前年までの大幅な円安の見通しに関する多くの記事があってのことである。
これに対し日経新聞の元日の特集で、日本の主要企業の経営者20人の今年の円ドルレートの予測結果が名前入りで掲載されていた。三井住友FGの太田氏だけが120円/ドルを予想し、他の19人は全員110-117円という見通し。一応超一流の企業の方々ではあるが、こんなトップを抱える会社、大丈夫かな、と他人事ながら心配した元日だった。
参考までにこれらの記事のURLを貼っておく。
2月22日→こちら
3月16日→こちら(昨年10月と1月3日の記事に言及引用)
3月25日→こちら
4月15日→こちら
4月20日→こちら(出だしは15日の記事と同じ)

以上一貫してドル買いを勧めてきたが、9月22日の政府の円買い介入に関する記事では初めて間接的に買いを勧める書き方をしなかった。
新聞記事にあるように効果は一時的であるどころか、最後の手の内を見せてしまったのでむしろ円安がこれで加速する懸念さえ生じた。何時間効果があるのかわからないがこれが最後のドル買いのチャンスかもしれない(私は買わないけれど)。
どこまでの将来を視野にしての話か曖昧な記述ではあったが、現在のところ「最後のドル買いのチャンス」ではあったようだ。「私は買わないけれど」というのは事実だが、正確に言うとドル買いのリスクがあるからではなく、もうドルは十分手当したから、というのがその理由。
いつまでどこまで円が下がり続けるのか?これはわからない。明日からプラザ合意のようにドル高が一晩で解消されないとも限らない。ではどちらの可能性が高いのか?不確実な明日に対して合理的なリスクを取ることも賢いキリギリスとして遊んで暮らすには不可欠である。
ということで、他紙は知らないが日経新聞ではトップ記事。32年ぶりの円安というのは、通過点であるにしろ日本の現状を認識し、近い将来の日本もしくは自分の生活のあり様をちょっと考えるに最適なニュースではある。

この147円割れの事実、昨夜アメリカの為替レートをチェックした際に知った。たぶん明日の朝刊のトップ記事だろうな、と思っていたので自分にとってはニュースでも何でもないのだが、140円割れの時と同様、歴史的場面に遭遇したのでその模様を鑑賞したい。
下図は円/ドルの1分足、すなわち一分間ごとの取引価格の推移である。ある一分間の始まりと終わりが棒の下と上、その間の最低と最高がひげと呼ばれる細線で表される。一分間で値上がりすれば緑、下がれば、すなわち最初より最後が低ければ赤で示される。
事件は昨夜の日本時間21:30頃に起こった(左の赤の四角枠)。それまで146円台後半で膠着していたが、一分間であっさり147円を越えてしまった(円の下落)。値動きにおいて躊躇いが全く見られないのが潔い。その後は、さらなる円安の継続の思惑から円は続落、147円台後半まで下落したが、40分後の22:20頃に円のショートの利益確定(円の買戻し)によりやはり一分間で行ってこいの状態で元の146円台後半に後戻り。この40分間、FXをやっていた人たちはお祭り騒ぎだったことだろう。これが投機的動きの典型だが、悪いことではなくよくあること。その後は円安は経済原理により当然として147円台で小動きになった。

以上は1分足という虫眼鏡で見た値動き。60倍離れてみた1時間足だと、階段のように膠着状態のあと急騰(表現としては円の急落)を小刻みに繰り返しているだけで、セミマクロに見れば鈴木財務大臣がいうような「投機的な動き」ではなく金利差に基づく合理的な動きであることがわかる。円の買い入れ介入に効果がないのも当然。

日経新聞の記事には超長期の円ドル為替相場の推移が掲載されている。図は円の価値が劇的に上がった(ドルの価値を劇的に下げた)1985年の「プラザ合意」以降の値動きを示しており、ここから先の円安には歯止めがない状況にあることをうかがわせている。

円を持つことのリスクは会社を辞める前から気付いており、かつ実行してきた。今はなきCityBankに口座を開いたのは2007年のことである。ブログを書き始めたのが2013年の7月、2014年に入り独り円安リスクから離れてぬくぬくと過ごすのも居心地が悪いので、世に啓蒙すべく諸々の角度から金融経済の実態について記事を書いてきた。内容は一貫して円安に対する警鐘でたぶん100本近い記事を書いたことだろう。
下図は2022年に入ってからの円ドル相場の推移。赤の矢印は代表的な円安に関する記事の日付である。図のように2月までのドルに対する円は110円台であった。そんな円レートであったにもかかわらず、1月3日の記事の終わりにこう書いている。背景には前年までの大幅な円安の見通しに関する多くの記事があってのことである。
これに対し日経新聞の元日の特集で、日本の主要企業の経営者20人の今年の円ドルレートの予測結果が名前入りで掲載されていた。三井住友FGの太田氏だけが120円/ドルを予想し、他の19人は全員110-117円という見通し。一応超一流の企業の方々ではあるが、こんなトップを抱える会社、大丈夫かな、と他人事ながら心配した元日だった。
参考までにこれらの記事のURLを貼っておく。
2月22日→こちら
3月16日→こちら(昨年10月と1月3日の記事に言及引用)
3月25日→こちら
4月15日→こちら
4月20日→こちら(出だしは15日の記事と同じ)

以上一貫してドル買いを勧めてきたが、9月22日の政府の円買い介入に関する記事では初めて間接的に買いを勧める書き方をしなかった。
新聞記事にあるように効果は一時的であるどころか、最後の手の内を見せてしまったのでむしろ円安がこれで加速する懸念さえ生じた。何時間効果があるのかわからないがこれが最後のドル買いのチャンスかもしれない(私は買わないけれど)。
どこまでの将来を視野にしての話か曖昧な記述ではあったが、現在のところ「最後のドル買いのチャンス」ではあったようだ。「私は買わないけれど」というのは事実だが、正確に言うとドル買いのリスクがあるからではなく、もうドルは十分手当したから、というのがその理由。
いつまでどこまで円が下がり続けるのか?これはわからない。明日からプラザ合意のようにドル高が一晩で解消されないとも限らない。ではどちらの可能性が高いのか?不確実な明日に対して合理的なリスクを取ることも賢いキリギリスとして遊んで暮らすには不可欠である。
- 関連記事
-
- ゆでガエルと帰る雁:その後
- 世界大学ランキング
- 32年ぶりの円安の鑑賞
- 東京都シルバーパス
- ミサイルの恐怖
スポンサーサイト
*Comment
Comment_form