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風の行方とハードボイルドワンダーランド

再雇用の機会を捨て自由な時と空間を・・・ 人は何のために生まれてきたのだろうか? これから本当の旅がはじまる・・・

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ゆでガエルと帰る雁:その後

朝刊に「個人のFX取引高、最高 9月円ドル売買、初の1000兆円超」なる見出しの記事があり、インパクトのある図か貼られていた。勘違いのないように蛇足ながら付け加えるとFXというのは為替の先物取引であって、現物の円売りドル買いとは別の話で、1000兆円の円が売られてドルが買われたわけではなく、単に目先の為替の変動に対する丁半博打の参加者が増えた、というのが正しい認識。ただその背景に円の先安感を持つ参加者の激増がある。

個人の円売りが膨らんだのは、急速な円安・ドル高が進み出した3月以降だ。利上げを始めた米連邦準備理事会(FRB)と、大規模な金融緩和を続ける日銀という構図から、円安・ドル高の方向感が強まった。「中長期目線で円売り・ドル買いを手掛ける個人には非常にやりやすい相場だった」(岡三証券の武部力也氏)

いくら実需ではないとはいえ、この規模は刮目に値する。
9月の個人の売買高は1日当たりに換算すると約60兆円に達する。国際決済銀行(BIS)によると、銀行間取引による日本の外国為替市場の1営業日あたりの平均取引高は19年4月時点で約3700億ドル(約55兆円)。銀行間取引と、個人のFX取引額がほぼ同額になった格好だ。

20221018FX実績推移

取引なので円を売る人と買う人は同数(正確には人ではなく金額)なのだが、結果として円安につながるのだという。そのダイナミクスの解説も記してあった。へー、そうなんだ。
FX取引は銀行間取引に基づく為替市場に影響する。店頭FX取引は個人とFX会社の相対取引になる。例えば個人が円売り・ドル買いのポジションを構築すると、FX会社はその個人に対して反対の円買い・ドル売りのポジションを抱える。このままではFX会社は自らの為替リスクが膨らむため、銀行などに対して顧客と同じ円売り・ドル買いのポジションを作る「カバー取引」を実施し、為替リスクを解消する。この取引が銀行間の為替市場に出てくるため、個人の円売りは円安圧力となる。

一方日曜日の朝刊に「日経ヴェリタス」」誌の広告が掲載されていて、こんな見出しが。こちらは実需の方で、富裕層は円を売ってドル買いをしているという話(だろう、記事を読んでいないから)。まあ、ありそうな話。ただし、海外旅行をしたことがある人はわかるだろうが誰でもドルは買えるので、必ずしも富裕層に限った話ではない。富裕層か庶民かという属性ではなく、単に金融リテラシーの質の問題なのだが、そう書くと読者の不興を買うので編集者としては富裕層としただけ、ひがむ必要はない。
20221016日経ヴェリタス

そこで思い出したのが、6月8日に書いた「ゆでガエルと帰る雁」という記事。もう秋の最中とあって帰る雁から雁が渡ってくる季節となってしまったが、読み返すとなかなかいいことが書いてあったのでお薦め。


この日の為替レートは134円/ドルほどだった。この時ドルを買っておけば、預貯金の利息がシミに過ぎない中、わずか4か月で1割の「儲け」。ただし「儲け」ではなく円の一割の価値の減少をヘッジすることができたというのが正しい認識、ドルを売るわけではないから。ゆでガエルの釜から逃げるとはこういうことを言う。

なお政府や日銀に何か期待しても非難しても無駄、無能だからではなくキャンキャン弱弱しく吠える以外になす術はすでにないから。
20221018円ドル
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