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風の行方とハードボイルドワンダーランド

再雇用の機会を捨て自由な時と空間を・・・ 人は何のために生まれてきたのだろうか? これから本当の旅がはじまる・・・

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日本人のふところ

火曜日の日経新聞に「都道府県ランキング(家計調査編 投資) 積極的、東京都区部が1位 消極的な都市と差 8倍超」と題する大きな記事があった。総務省の2021年の家計調査(貯蓄・負債編)から、世帯主が勤めに出ている二人以上の世帯における貯蓄に占める株式や投資信託などの有価証券の割合を、県庁所在地別に集計したもの。投資に積極的な都市と消極的な都市で約9倍の差があるという主旨。1位が東京都区部で、有価証券の金融資産に占める比率は27%、最低は佐賀で3%、全国平均は約14%だった。

20221025家計調査

ふーん、ということで総務省の原典資料を閲覧。記事は勤労者所帯に関するものだが、非勤労者(すなわち退職した老人所帯)を含む日本の全体像も記されていた。それが下図、老人は金があるため新聞記事の全国平均の投資額は100万円ほどふえて約300万円、金融資産の総額は1900万円というのが平均値だった。

預貯金額は普通預金、定期預金合わせて1200万円と金融資産の6割強というのが平均値の示すところ。円と外貨の区別はなかった。
20221025家計調査2

総務省資料の資料は立派というか当たり前のこととはいえ、平均値の記述で終わらずに保有金融資産額の階級分布を示していた。

「統計の嘘」という無知を晒しているような言葉があるが、統計に嘘があるわけではない。統計値の正しい意味を理解していない人が作った言葉だろう。経済も含めて多くの値の分布形態がいわゆるベルシェイプ型の正規分布型を示すことはむしろ稀で、多くは対数正規分布もしくは級数分布になる。格差というのは実は自然に生じるものなのである。それを平均値だけで代表させるから話が見えなくなる。

あらゆる分布形態に対して、それを代表する統計量は3つある。平均値、中央値(メディアン)、最頻値(モード)で、中央値とは文字通りあらゆる分布の真ん中の値、最頻値とはクラス別に分けた時の最も下図の多いクラスの代表値である。平均値は級数分布型の統計においては、極大値側に引っ張られるので分布形態の代表値としての意味は無い。

さて、総務省のデータが下図。きちんと平均値と中央値、そして最頻値(一番頻度が高い階級=最貧層)が示されていた。平均値は1880万円であるが、中央値は1104万円、有効数字4桁に意味があるかどうかはさておき、両者の値がこれだけ違うとどちらが「正しい」か、確かにわからない。筆者がこの種の統計処理で見るのは中央値、日本の世帯の半分は1100万円未満の金融資産で、半分は1100万円以上の金融資産を保有しているという単純にして意味が分かりやすい統計値である。一方平均値の1880万円は、金融資産は上位約三分の一の世帯が1900万円以上所有しているという結果で、決して「平均的」な日本人世帯の姿を現しているものではない。

言い換えると日本人世帯の平均的な保有金融資産は1100万円だった。しかも平均してその6割ほどは預貯金で死蔵されている、というのが総務省資料の語るところである。
20221025家計調査3

日本人のふところ、アメリカと較べてみる。出典は一般社団法人投資信託協会の2022年9月付資料「投資信託の主要統計」。個人金融資産構成の比率というページにまとめられた図である。日本の個人金融資産の総額は約2000兆円とあり、総務省の平均値1880万円との差は大きいが(1880万円x6000万世帯=1100兆円)、日米の比較を見ることが目的なのでそのまま採用する。
20221025投資信託協会

米国の個人金融資産の総額は146円/ドルで換算すると約17000兆円。人口比を考慮に入れ一人当たりにノーマライズしても3倍以上になる。もしくは日本人の平均的な金融資産はアメリカ人の1/3。

問題はその中身もしくは構成比率。日本人は55%を現金・預貯金で保有しているが、アメリカ人の現金・預金比率は14%。一方、株式や投資信託等はアメリカ人が55%であるのに対し、日本人は15%と全く逆。日本の預貯金の金利がほぼゼロなので、日米の個人の金融資産運用効率は3.7倍の違いがある。

ゆえに政府も預金から投資へと国民を啓蒙しているわけだが、具体策はNISAの拡充。NISAというのは以前に記した通り、運用利益に対して20%の源泉徴収の税率をゼロにするという減税政策。言葉上はすばらしい。しかし、初心者にとってNISAによる資産運用で1000万円の利益を得ることは非現実的だがそう仮定しても、NISAによる「金融所得倍増計画」における成果は200万円に過ぎないのが現実である。NISAでは国民は救われない。この話は9月初めに記した→こちら

日米の現在の保有資産額の3倍の差や更なる円安の進行を思えば、日米の生活や社会の差は今後さらに広がり、世界的にみても日本人の生活が三流四流国になってい姿がみえてくるのは悲観的過ぎる?
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