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2022.11/11 [Fri]
知的生命体?(大幅加筆(青字))
期せずして皆既月食の翌日、佐藤勝彦氏が地球外生命体の話を新聞のコラムに記していた。

佐藤 勝彦(1945年生 )は世界的に著名な宇宙物理学者。宇宙論において今や宇宙は宇宙初期のインフレーションによって誕生したというのが標準理論。1981年に最初にこのインフレーション宇宙論を提唱したのがアラン・グースというのが世界の定説であるが、実際に世界で最初に発表したのが佐藤勝彦であった。彼の論文「 “First-order phase transition of a vacuum and the expansion of the Universe”. Monthly Notices of Royal Astronomical Society 195 (3): 467.」の中で『指数関数的膨張モデル』を提唱していて、内容はまさにインフレーション宇宙論なのだが、名前が地味なので目立たなかった。口惜しいのも当然で、何回か著書にも記している。
「私は当初、このモデルを『指数関数的膨張モデル』と呼びました。しかし、私の半年後に同様のモデルを発表したアメリカの宇宙物理学者グースが『インフレーション宇宙モデル』という巧みな名前をつけました。そのために現在ではインフレーション理論という名前で呼ばれています」

ということで、佐藤勝彦は本物の「宇宙物理学者」、専門家の中の専門家である、ただし「宇宙物理学」において。
彼はコラムの中にこう記していた。
現在、太陽系外に多くの惑星が発見されている。液体の水が存在する惑星は、統計的に1つの恒星あたり1個くらいある。銀河系にはおよそ1000億個は恒星が存在するので、同じ数の地球型惑星がある。天文学的数値はこの値で良い。細菌程度の生命が発生する確率も1として良いだろう。
大問題は、赤でマークした「細菌程度の生命が発生する確率も1として良い」という感想文。そんな「専門家」が書くのだからと多くの人は疑いを持たないだろう。しかし彼は生物学の生命発生に関する「専門家」ではない。また、コラムを「ドレイクの式」から話を持ち出しているだけで、生物学に関する基本的見識に欠けていることがわかる。生物学における最大の謎は、単純な有機物と水からいかにして生命が誕生したのかに対する過程。あらゆる生命誕生モノの本において、ここの過程については感想文しか書かれていない。生命の誕生が宇宙において普遍的なものなら、実験により肝要な部分の再現が可能なはずだが、いかなる実験結果もないから「科学的」な話を書けない。単純な有機物と水から単細胞生物誕生までのプロセスを100とした時、99が説明できないもしくは実験で確認されていないというのが現状なのである。
これから述べるのは、「生命が発生する確率も1」どころか、ゼロに近いというという話である。佐藤先生、多分人生最大の汚点として追ってこのコラムはなかったことにするのだろう。
生命体について何か語る時は、まず地球の生命体についての正確な知識がなければならない。知識レベルが異なっていては議論にならないからだ。では、生命体とは何か?
ということで、7年前に地球外生命体は存在するか???という4回の連載になる記事をまとめた。その4回目が→こちら。
惑星探査でも小惑星探査でも、水や水の痕跡、単純な有機物が確認されると、新聞の担当記者が「生命の可能性」と騒ぎ立てる度に見苦しく思っていたためである。連載の内容はまさに「地球の生命体についての正確な知識」を広範にまとめたもので、レベルとしては高校の生物と化学、そして科学に関する一般常識程度、リベラルアーツとはこういうものという典型的な内容なのでご一読のほど。
連載は、宇宙における知的生命体の存在は地球だけの可能性が高い、ということの証明でもある。連載の結論としては、控えめに、「多分宇宙の生命体は多くない。少なくとも目で見える範囲の宇宙の生命体は地球の上の生き物だけかもしれない。究極の孤独。」と記していた。バンダル星人は存在しないのである。
そんなことを真面目に主張するのは筆者ぐらいと昔から諦めていたが、佐藤氏のコラムの中にこんな一節があった。「非常識な」ことを主張している「究極の孤独」だったわけではなく、本物の「専門家」が人間は宇宙で唯一の知的生命体とおっしゃっていたそうだ。
遺伝学者の木村資生は、人間は宇宙における奇跡で、確率は10のマイナス100乗でも不思議ではないという。私たちは唯一の存在という主張だ。
ウィキペディアによれば、木村 資生(きむら もとお、1924年〈大正13年生、 1994年〈平成6年〉没)は遺伝学者で日本人で唯一ダーウィン・メダルを受賞。国立遺伝学研究所名誉教授。日本学士院会員。文化功労者。文化勲章受章。
やはり本物の専門家はわかっていたんだと知り、嬉しく思った。

佐藤 勝彦(1945年生 )は世界的に著名な宇宙物理学者。宇宙論において今や宇宙は宇宙初期のインフレーションによって誕生したというのが標準理論。1981年に最初にこのインフレーション宇宙論を提唱したのがアラン・グースというのが世界の定説であるが、実際に世界で最初に発表したのが佐藤勝彦であった。彼の論文「 “First-order phase transition of a vacuum and the expansion of the Universe”. Monthly Notices of Royal Astronomical Society 195 (3): 467.」の中で『指数関数的膨張モデル』を提唱していて、内容はまさにインフレーション宇宙論なのだが、名前が地味なので目立たなかった。口惜しいのも当然で、何回か著書にも記している。
「私は当初、このモデルを『指数関数的膨張モデル』と呼びました。しかし、私の半年後に同様のモデルを発表したアメリカの宇宙物理学者グースが『インフレーション宇宙モデル』という巧みな名前をつけました。そのために現在ではインフレーション理論という名前で呼ばれています」

ということで、佐藤勝彦は本物の「宇宙物理学者」、専門家の中の専門家である、ただし「宇宙物理学」において。
彼はコラムの中にこう記していた。
現在、太陽系外に多くの惑星が発見されている。液体の水が存在する惑星は、統計的に1つの恒星あたり1個くらいある。銀河系にはおよそ1000億個は恒星が存在するので、同じ数の地球型惑星がある。天文学的数値はこの値で良い。細菌程度の生命が発生する確率も1として良いだろう。
大問題は、赤でマークした「細菌程度の生命が発生する確率も1として良い」という感想文。そんな「専門家」が書くのだからと多くの人は疑いを持たないだろう。しかし彼は生物学の生命発生に関する「専門家」ではない。また、コラムを「ドレイクの式」から話を持ち出しているだけで、生物学に関する基本的見識に欠けていることがわかる。生物学における最大の謎は、単純な有機物と水からいかにして生命が誕生したのかに対する過程。あらゆる生命誕生モノの本において、ここの過程については感想文しか書かれていない。生命の誕生が宇宙において普遍的なものなら、実験により肝要な部分の再現が可能なはずだが、いかなる実験結果もないから「科学的」な話を書けない。単純な有機物と水から単細胞生物誕生までのプロセスを100とした時、99が説明できないもしくは実験で確認されていないというのが現状なのである。
これから述べるのは、「生命が発生する確率も1」どころか、ゼロに近いというという話である。佐藤先生、多分人生最大の汚点として追ってこのコラムはなかったことにするのだろう。
生命体について何か語る時は、まず地球の生命体についての正確な知識がなければならない。知識レベルが異なっていては議論にならないからだ。では、生命体とは何か?
ということで、7年前に地球外生命体は存在するか???という4回の連載になる記事をまとめた。その4回目が→こちら。
惑星探査でも小惑星探査でも、水や水の痕跡、単純な有機物が確認されると、新聞の担当記者が「生命の可能性」と騒ぎ立てる度に見苦しく思っていたためである。連載の内容はまさに「地球の生命体についての正確な知識」を広範にまとめたもので、レベルとしては高校の生物と化学、そして科学に関する一般常識程度、リベラルアーツとはこういうものという典型的な内容なのでご一読のほど。
連載は、宇宙における知的生命体の存在は地球だけの可能性が高い、ということの証明でもある。連載の結論としては、控えめに、「多分宇宙の生命体は多くない。少なくとも目で見える範囲の宇宙の生命体は地球の上の生き物だけかもしれない。究極の孤独。」と記していた。バンダル星人は存在しないのである。
そんなことを真面目に主張するのは筆者ぐらいと昔から諦めていたが、佐藤氏のコラムの中にこんな一節があった。「非常識な」ことを主張している「究極の孤独」だったわけではなく、本物の「専門家」が人間は宇宙で唯一の知的生命体とおっしゃっていたそうだ。
遺伝学者の木村資生は、人間は宇宙における奇跡で、確率は10のマイナス100乗でも不思議ではないという。私たちは唯一の存在という主張だ。
ウィキペディアによれば、木村 資生(きむら もとお、1924年〈大正13年生、 1994年〈平成6年〉没)は遺伝学者で日本人で唯一ダーウィン・メダルを受賞。国立遺伝学研究所名誉教授。日本学士院会員。文化功労者。文化勲章受章。
やはり本物の専門家はわかっていたんだと知り、嬉しく思った。
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