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2023.01/13 [Fri]
さんまの漁獲量
今日の日本の金融市場、円ドルが128円/ドルまで上がるは、先日国債戦線を0.5%まで切り上げたにもかかわらず新発10年物国債利回りが一時0.545%と国債は暴落するはと、日本が投機筋の絨毯爆撃に晒されているような風情。何かそれについて書く気もしないので先日の日経新聞の「春秋」というコラムからお題拝借。
(中略)昨年は千葉県の銚子漁港へのサンマの水揚げはゼロになった。記録の残る1950年以降では初めての事態だという。
北海道や東北の漁港でもすさまじい減り方である。全国さんま棒受網漁業協同組合の統計によれば、昨年の全国の水揚げ量は1万7910トンと4年連続で過去最低を記録した。かつては20万トンを超すのが普通だったから、落ち込みの激しさがわかる。明治の昔、海の色を変えるほどとれたのに消えていったニシンのようだ。
ふーん、ということで記事にある漁協のHPを訪れた。略して「全さんま」というらしいが、日本のさんま水揚げ量の推移という統計を掲載していたので拝借。言葉で読んだ印象と異なり、この十余年の間にサンマの水揚げ量は10分の1に激減していた。数年前に、台湾や中国、韓国でもサンマを食べるようになったのでサンマが取れなくなったという記事が社会を賑わせていたが、新聞テレビの情報だから仕方ないとはいえ如何にいい加減な記事であったがわかる。

昔、イワシが不漁で高値の花になったことがあったので検索するとこんなデータがあった。サンマの比ではないほどのすさまじい不漁で、不漁の原因はどうみても中国人が食べるからではなさそう。一方不漁になる前はイワシの漁獲量の激増が15年間にわたって続いており、期間は長期にわたるがまるでオミクロン株による日本の感染者推移の図を見ているよう。

では、他の魚は?ということで調べると、農林水産省が魚種別の漁獲量の年次推移データを公開していた。あまりに多種にわたるので大衆魚の11種だけ抜き出してグラフ化した。漁獲量に大差があるので、たくさんとれる魚とそれほどでもない魚の二つの図に分けて示す。
まずたくさんとれる魚6種。なるほどイワシだけが極めて異常なパターンを示している。人為的な行為による影響でないのは当然として、他の魚種でもシンクロしているわけではないので地球温暖化も無関係、何かわからぬが人知の及ばぬ摂理が働いたのであろう。
加えて小ぶりではあるがサバ類の急増急減も目立つ。後の4種はサンマも含め分散は大きいものの穏やかな現象傾向といった印象。

イワシを除き、少し詳しくしたのが下図。縮尺としては2.5倍に拡大されている。なお、この統計、2015年で打ち切られているので、最初に示したサンマ漁獲量の激減をみてとることはできないが、それでもサバを除く4種の漁獲量は減少傾向にあるようだ。

続いて、それほど捕れるわけではない魚たち。上図に較べ縦軸の目盛りは10分の一。この20年間、ブリの漁獲量が増加傾向にあるのは驚き、ブリを捕る漁師が増えたのかそれとも何か他の原因があるのかわからない。他の4種は大きく見て横ばい状態。クロマグロが2015年までのデータだが減少気味なのがさみしい。また地味だがニシンの凋落が著しい。ニシンはもはや大衆魚ではないのかもしれない。

今回気になったのは魚の漁獲量もさることながら、この統計が2015年で打ち切られていること。原因が統計不要という政府の方針なのか、予算が付かなかったためなのか、人手不足なのか、担当者の怠慢なのか、打ち切りの原因は不明だが、こんな価値ある統計を打ち切ってしまう日本の知性が哀れ。
(中略)昨年は千葉県の銚子漁港へのサンマの水揚げはゼロになった。記録の残る1950年以降では初めての事態だという。
北海道や東北の漁港でもすさまじい減り方である。全国さんま棒受網漁業協同組合の統計によれば、昨年の全国の水揚げ量は1万7910トンと4年連続で過去最低を記録した。かつては20万トンを超すのが普通だったから、落ち込みの激しさがわかる。明治の昔、海の色を変えるほどとれたのに消えていったニシンのようだ。
ふーん、ということで記事にある漁協のHPを訪れた。略して「全さんま」というらしいが、日本のさんま水揚げ量の推移という統計を掲載していたので拝借。言葉で読んだ印象と異なり、この十余年の間にサンマの水揚げ量は10分の1に激減していた。数年前に、台湾や中国、韓国でもサンマを食べるようになったのでサンマが取れなくなったという記事が社会を賑わせていたが、新聞テレビの情報だから仕方ないとはいえ如何にいい加減な記事であったがわかる。

昔、イワシが不漁で高値の花になったことがあったので検索するとこんなデータがあった。サンマの比ではないほどのすさまじい不漁で、不漁の原因はどうみても中国人が食べるからではなさそう。一方不漁になる前はイワシの漁獲量の激増が15年間にわたって続いており、期間は長期にわたるがまるでオミクロン株による日本の感染者推移の図を見ているよう。

では、他の魚は?ということで調べると、農林水産省が魚種別の漁獲量の年次推移データを公開していた。あまりに多種にわたるので大衆魚の11種だけ抜き出してグラフ化した。漁獲量に大差があるので、たくさんとれる魚とそれほどでもない魚の二つの図に分けて示す。
まずたくさんとれる魚6種。なるほどイワシだけが極めて異常なパターンを示している。人為的な行為による影響でないのは当然として、他の魚種でもシンクロしているわけではないので地球温暖化も無関係、何かわからぬが人知の及ばぬ摂理が働いたのであろう。
加えて小ぶりではあるがサバ類の急増急減も目立つ。後の4種はサンマも含め分散は大きいものの穏やかな現象傾向といった印象。

イワシを除き、少し詳しくしたのが下図。縮尺としては2.5倍に拡大されている。なお、この統計、2015年で打ち切られているので、最初に示したサンマ漁獲量の激減をみてとることはできないが、それでもサバを除く4種の漁獲量は減少傾向にあるようだ。

続いて、それほど捕れるわけではない魚たち。上図に較べ縦軸の目盛りは10分の一。この20年間、ブリの漁獲量が増加傾向にあるのは驚き、ブリを捕る漁師が増えたのかそれとも何か他の原因があるのかわからない。他の4種は大きく見て横ばい状態。クロマグロが2015年までのデータだが減少気味なのがさみしい。また地味だがニシンの凋落が著しい。ニシンはもはや大衆魚ではないのかもしれない。

今回気になったのは魚の漁獲量もさることながら、この統計が2015年で打ち切られていること。原因が統計不要という政府の方針なのか、予算が付かなかったためなのか、人手不足なのか、担当者の怠慢なのか、打ち切りの原因は不明だが、こんな価値ある統計を打ち切ってしまう日本の知性が哀れ。
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