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風の行方とハードボイルドワンダーランド

再雇用の機会を捨て自由な時と空間を・・・ 人は何のために生まれてきたのだろうか? これから本当の旅がはじまる・・・

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チェシャ―猫

昨日の句会でこんな句を投句した。兼題の一つが「気」の字の読み込みだったので「気配」として作ったもの、いわば言葉遊び。採ってくれたのは一人だけだった。
笑ふ猫の吾を見る気配春の夜

「笑う猫」がどこそこの化け猫を彷彿とさせて春の夜の感じが出ている、との講評だった。

しかし作者、すなわち私にとっては「笑う猫」といえば「不思議の国のアリス」に出てくるチェシャー猫(Cheshire Catなのでチェシャ―猫と書かれるべきだがなぜか日本語ではチェシャ猫)を誰もが思い浮かべると思っていたが、出席者全員がチェシャ猫を思わなかったとのこと。すなわちヘンな句、という評価だった。

一方作者にとっては「笑う猫」はこのジョン・テニエルの挿絵のイメージしかなかった。
20230317PB2.jpg

この猫が笑いを遺して消えてゆく場面の挿絵がこちら。第6章のPIG AND PEPPERに登場する。この部分の記述に「不思議の国のアリス」の物語の本質ともいえる言葉遊びが現れている。言葉遊びはルイスキャロルの、というかイギリス人の文化。引用すると;
"Well!,I've often seen a cat without a grin" thought Alice;"but a grin without a cat!・・・"
20230317Alice3.png

若い頃に、「不思議の国のアリス」をPenguin Booksのペーパーバックで読んだ。日本では子供向けの本の扱いだが、ルイスキャロルは文学作品として執筆したものと思われる。挿絵のジョンテニエルも当時の有名な挿絵画家であった。1865年のことである。先ほど取り出してみると価格は30ペンスだった。

「不思議の国のアリス」を知らない日本人はほとんどいないと思われるが、多くはディズニーのアニメ化されたバージョンか、子供向きに書下ろしされた童話版しか知らないのではないかと昨夜気が付いた。であれば、上に貼ったテニエルの挿絵のイメージがあるはずはない。
20230317PB1.jpg

2010年の実写版の映画もみた。ジョニー・デップの演じた気違い帽子屋が登場するのは第7章の「Mad Tea Party」。英語で読むとものすごく面白い。イギリス人のユーモアがよくわかった。そのテニエルの挿絵。
20230317Alice1.png

「不思議の国のアリス」は、実は小学校の図書館で読んだ。多分6年生の時だろう。記憶にあるのは絵が、そして話も怖かったから。下図の印象が未だに残っているということは、テニエルの挿絵をそのまま使っているので、文章も直訳だったのだろう。チェシャ猫に対する思い入れの根っこは60年前だったわけだから、大多数の人と「笑う猫」に対する感覚が違っても仕方がない。
20230317Alice2.png
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