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2023.03/30 [Thu]
生命の起源は宇宙???
先日、日経新聞朝刊の一面にこんな記事が掲載されていた。主旨は「はやぶさ2」が小惑星「りゅうぐう」で採取した試料を分析し、「ウラシル」をごく微量だが検出したというもの。ウラシルはRNAの構成要素の4種類ある塩基のひとつである。見出しだけは「生命の起源、宇宙にも 遺伝情報担うRNA原料、初確認」と正確に書いてあるが、しかし記事に添付された図や記事は、注意深く書かれてはいるが、まるで地球の生命体の起源は宇宙にあるかのような記述だった。この手の記事は必ずそのような論調になっていて、新聞記者が書くのだから仕方ないとは思うものの毎回苦々しい思いで斜め読みしている。
隕石(いんせき)などで地球に運ばれ、地球上の物質とともに生命誕生に役立った可能性があるという。

こちらは社会面の解説記事。
RNAが注目されるのは、生命誕生との関係が指摘されるからだ。原始の生命はRNAが膜に包まれた単純な作りで、DNAやRNA、たんぱく質からなる現在の生物とは異なっていたと考えられている。RNAには化学反応を促す性質があり、自ら複製する能力を獲得しやすい。東京大学の鈴木勉教授は「RNAが生命の起源になった可能性が高まった」と話す。
この一節、RNAの一般論であって今回検出されたウラシルとは無関係の話。しかし読者は話の流れから生命体の要素が宇宙から飛来したと思い込むだろう。無意味に東京大学の教授の名前をだし権威付けするなど、典型的な詐欺もしくは洗脳の手口を彷彿とさせる。
塩基は宇宙から飛来するだけでなく、地球上でも合成されていたと考えられている。深海にある熱水噴出孔は、地熱で高温になった水が噴き出しており、塩基を合成するエネルギーや原料の水、二酸化炭素(CO2)などが豊富にある。こうした場所で化学進化が起き、生命が誕生する環境が整っていた可能性がある。
上記記述に続くこの一節、こちらも隕石のウラシル発見とは無関係の地球上の話であり、しかも塩基の原料があるというだけで、後は憶測。以上が記事の内容であるが、記事の見出しは下記のようになっている。まさに印象操作の典型。記者が自分で何を書いているか分かっていないなら仕方ないが、承知して書いているなら犯罪といえるかもしれない。

生命体の起源は全く解明されていない。なぜか?
生命体の定義を自己増殖できる有機物とすると、最も原始的で最小の生命体はウイルス。ウイルスはRNA(DNAを持つウイルスもいる)とRNAを包む外殻でできている。新型コロナウイルスがたぶん最もわかりやすい例。RNAとDNA,、分子構造は素人だと違いが分からないくらい似ている。DNAのDはdeoxy、すなわち構造上RNAの一ヶ所の酸素原子がないだけ。
さて生命体の話をするときには、生命体って何?という基礎知識がなければ話にならない。8年前の10月に「地球外生命体は存在するか???」という4回物のシリーズで、生命体の本質について書いた。今見ると画像が小さく見にくいので今回、大きな画像で、生命体の基本であるDNAについて以下に書き直した。
なお、「地球外生命体は存在するか???」の4回目の結論部分は→こちら。
さて、まずRNAとDNAの違いから。下図が両者の分子の形態の違い。分子構造はわずかな違いだが形状はだいぶ印象が異なる。しかし昨日は同じ。高等生物の遺伝子はDNAからなるが、増殖する時はm-RNAを介することからもわかるだろう。

DNAは二重らせん構造だが、ヌクレオチドと呼ばれる単位構造が無数に重なって二重らせん構造を形作っている。ヌクレオチドとはリン酸と糖(デオキシリボース)と塩基の三つの物質が結合したもの。中央の五角形がデオキシリボース(RNAではリボース)である。なお左の構造がリン酸、右の青の四角部分が塩基で、ここにRNAではウラシルがここに連結する。

DNAとRNAにおける糖の違いとは、図の赤の分子構造の違いだけなのである。ただしこの点は本論において重要ではないので蛇足。

次に塩基。塩基は5種類あり、DNAではアデニン、グアニン、シトシン、チミン、RNAではチミンに代えてウラシルである。このウラシルがりゅうぐうの資料から検出された。たぶん多くの人にとっては見たこともないような複雑な化合物であろう。この塩基がいわゆる遺伝子暗号の要素であり、暗号はDNAの場合はそれらの頭文字をとってAGCTと記される。

さて、DNAとはヌクレオチドの重なった二重らせん構造と書いた。その模式図。一段が二つの対のヌクレオチドかなり、一つの遺伝子は数百から数千段続く。図では12段。

実例がこれ。ヒトのある遺伝子の塩基配列の一例。図は長くなるので途中で切っている。

以上長々と書いたのは、ウイルスも人間も同じだが、このような複雑な物質が生命体であるからである。言い換えると生命体が誕生するためには、このような複雑な物質が大量にかつ高密度に一ヶ所に存在しなくてはならない。しかし、糖と塩基が同一環境下で生成されることは想像しがたい。さらに存在していたとしても都合よく結合されねばならない。
たぶん、多くの研究者が地球のありそうな環境下でのリン酸、リボース、塩基の自然合成プロセスを再現する実験を試みたと思われるが、単純な物質の合成が見られたとしてもDNAの構成分子の生成には成功していない(憶測です)。これが生命の起源が解明されない理由。
ウラシルが検出されたという事実と生命の誕生との間には新宿と天王星との距離感があり、それにもかかわらず生命の起源などと新聞の一面に書かれると一言書きたくなる。
以前からこの宇宙の生命体は地球の人間だけと思っていた。8年前の記事はその論証だった。
根拠もなくそんな馬鹿なと思われておしまいと覚悟はしていたが、2022年11月に、「遺伝学者の木村資生が人間は宇宙における奇跡で、確率は10のマイナス100乗でも不思議ではないという。私たちは唯一の存在という主張だ」という話を読み、記事にした。
そのブログから→こちら。
ウィキペディアによれば、木村 資生(きむら もとお、1924年〈大正13年生、 1994年〈平成6年〉没)は遺伝学者で日本人で唯一ダーウィン・メダルを受賞。国立遺伝学研究所名誉教授。日本学士院会員。文化功労者。文化勲章受章。
やはり本物の専門家はわかっていたんだと知り、嬉しく思った。
隕石(いんせき)などで地球に運ばれ、地球上の物質とともに生命誕生に役立った可能性があるという。

こちらは社会面の解説記事。
RNAが注目されるのは、生命誕生との関係が指摘されるからだ。原始の生命はRNAが膜に包まれた単純な作りで、DNAやRNA、たんぱく質からなる現在の生物とは異なっていたと考えられている。RNAには化学反応を促す性質があり、自ら複製する能力を獲得しやすい。東京大学の鈴木勉教授は「RNAが生命の起源になった可能性が高まった」と話す。
この一節、RNAの一般論であって今回検出されたウラシルとは無関係の話。しかし読者は話の流れから生命体の要素が宇宙から飛来したと思い込むだろう。無意味に東京大学の教授の名前をだし権威付けするなど、典型的な詐欺もしくは洗脳の手口を彷彿とさせる。
塩基は宇宙から飛来するだけでなく、地球上でも合成されていたと考えられている。深海にある熱水噴出孔は、地熱で高温になった水が噴き出しており、塩基を合成するエネルギーや原料の水、二酸化炭素(CO2)などが豊富にある。こうした場所で化学進化が起き、生命が誕生する環境が整っていた可能性がある。
上記記述に続くこの一節、こちらも隕石のウラシル発見とは無関係の地球上の話であり、しかも塩基の原料があるというだけで、後は憶測。以上が記事の内容であるが、記事の見出しは下記のようになっている。まさに印象操作の典型。記者が自分で何を書いているか分かっていないなら仕方ないが、承知して書いているなら犯罪といえるかもしれない。

生命体の起源は全く解明されていない。なぜか?
生命体の定義を自己増殖できる有機物とすると、最も原始的で最小の生命体はウイルス。ウイルスはRNA(DNAを持つウイルスもいる)とRNAを包む外殻でできている。新型コロナウイルスがたぶん最もわかりやすい例。RNAとDNA,、分子構造は素人だと違いが分からないくらい似ている。DNAのDはdeoxy、すなわち構造上RNAの一ヶ所の酸素原子がないだけ。
さて生命体の話をするときには、生命体って何?という基礎知識がなければ話にならない。8年前の10月に「地球外生命体は存在するか???」という4回物のシリーズで、生命体の本質について書いた。今見ると画像が小さく見にくいので今回、大きな画像で、生命体の基本であるDNAについて以下に書き直した。
なお、「地球外生命体は存在するか???」の4回目の結論部分は→こちら。
さて、まずRNAとDNAの違いから。下図が両者の分子の形態の違い。分子構造はわずかな違いだが形状はだいぶ印象が異なる。しかし昨日は同じ。高等生物の遺伝子はDNAからなるが、増殖する時はm-RNAを介することからもわかるだろう。

DNAは二重らせん構造だが、ヌクレオチドと呼ばれる単位構造が無数に重なって二重らせん構造を形作っている。ヌクレオチドとはリン酸と糖(デオキシリボース)と塩基の三つの物質が結合したもの。中央の五角形がデオキシリボース(RNAではリボース)である。なお左の構造がリン酸、右の青の四角部分が塩基で、ここにRNAではウラシルがここに連結する。

DNAとRNAにおける糖の違いとは、図の赤の分子構造の違いだけなのである。ただしこの点は本論において重要ではないので蛇足。

次に塩基。塩基は5種類あり、DNAではアデニン、グアニン、シトシン、チミン、RNAではチミンに代えてウラシルである。このウラシルがりゅうぐうの資料から検出された。たぶん多くの人にとっては見たこともないような複雑な化合物であろう。この塩基がいわゆる遺伝子暗号の要素であり、暗号はDNAの場合はそれらの頭文字をとってAGCTと記される。

さて、DNAとはヌクレオチドの重なった二重らせん構造と書いた。その模式図。一段が二つの対のヌクレオチドかなり、一つの遺伝子は数百から数千段続く。図では12段。

実例がこれ。ヒトのある遺伝子の塩基配列の一例。図は長くなるので途中で切っている。

以上長々と書いたのは、ウイルスも人間も同じだが、このような複雑な物質が生命体であるからである。言い換えると生命体が誕生するためには、このような複雑な物質が大量にかつ高密度に一ヶ所に存在しなくてはならない。しかし、糖と塩基が同一環境下で生成されることは想像しがたい。さらに存在していたとしても都合よく結合されねばならない。
たぶん、多くの研究者が地球のありそうな環境下でのリン酸、リボース、塩基の自然合成プロセスを再現する実験を試みたと思われるが、単純な物質の合成が見られたとしてもDNAの構成分子の生成には成功していない(憶測です)。これが生命の起源が解明されない理由。
ウラシルが検出されたという事実と生命の誕生との間には新宿と天王星との距離感があり、それにもかかわらず生命の起源などと新聞の一面に書かれると一言書きたくなる。
以前からこの宇宙の生命体は地球の人間だけと思っていた。8年前の記事はその論証だった。
根拠もなくそんな馬鹿なと思われておしまいと覚悟はしていたが、2022年11月に、「遺伝学者の木村資生が人間は宇宙における奇跡で、確率は10のマイナス100乗でも不思議ではないという。私たちは唯一の存在という主張だ」という話を読み、記事にした。
そのブログから→こちら。
ウィキペディアによれば、木村 資生(きむら もとお、1924年〈大正13年生、 1994年〈平成6年〉没)は遺伝学者で日本人で唯一ダーウィン・メダルを受賞。国立遺伝学研究所名誉教授。日本学士院会員。文化功労者。文化勲章受章。
やはり本物の専門家はわかっていたんだと知り、嬉しく思った。
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