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2023.04/25 [Tue]
「街と、その不確かな壁」
村上春樹が6年ぶりの長編小説を出版したというので先日買い求めた。読書には3種類あるそうで、曰く朗読、黙読、そして積置(つんどく)。もちろんまだ積ん読状態。土曜日の新聞には書評も出ていた。

6年ぶりの長編小説だが、それ以上に43年ぶりという前置きが必要だろう。デビューから間もない1980年に「文學界」に発表した「街と、その不確かな壁」を、著者は未熟な失敗作としてずっと封印してきた。85年に『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の「世界の終り」のパートに組み直していったん完成を見たはずだったが、心残りはその後もあったらしい。原点に戻って初刊行された本書は、面目を一新しつつ、作家生活の総決算というべき役割をも見事に果たしている。
実は村上春樹の大ファン。このブログのタイトルも1985年の『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』から借用したものである。
とはいえ、「海辺のカフカ」を読んでから後の本は買ってもいないし読んでもいない。1992年の「国境の南、太陽の西」、1994年の「ねじまき鳥クロニクル」、2002年に「海辺のカフカ」と長編が続いたが、世の中の人気とは逆にいずれも私の期待を裏切るものだったから。
氏の作品で最も評価しているは1988年発行の「ダンスダンスダンス」。オスロ滞在中に知り合いの読書家のノルウェー人のお宅にお邪魔した時、村上春樹の話になり、彼が持っているよと言って、ノルウェー語版の「ダンスダンスダンス」を見せてくれた。あまりに驚きと感動を示したせいか、彼はじゃああげるよと言ってその本をくれた。
ノルウェー語版「ダンスダンスダンス」の表紙
偶然、帰任する1999年の5月に村上春樹がオスロに来た。本屋でのサイン会にこの本を持ち込み、サインをもらった。もちろん一緒の記念撮影も快諾してくれた。村上春樹は写真が嫌い、この本も世界で唯一の村上春樹サイン入りのノルウェー語版「ダンスダンスダンス」だが、写真も貴重品である。

村上春樹は小説だけでなくこんな本も書いている。かるたの体裁で「あ」から「わ」までの回文にかるたの絵と1ページの短文が添えられたお遊び本。
我が蔵書から

6年ぶりの長編小説だが、それ以上に43年ぶりという前置きが必要だろう。デビューから間もない1980年に「文學界」に発表した「街と、その不確かな壁」を、著者は未熟な失敗作としてずっと封印してきた。85年に『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の「世界の終り」のパートに組み直していったん完成を見たはずだったが、心残りはその後もあったらしい。原点に戻って初刊行された本書は、面目を一新しつつ、作家生活の総決算というべき役割をも見事に果たしている。
実は村上春樹の大ファン。このブログのタイトルも1985年の『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』から借用したものである。
とはいえ、「海辺のカフカ」を読んでから後の本は買ってもいないし読んでもいない。1992年の「国境の南、太陽の西」、1994年の「ねじまき鳥クロニクル」、2002年に「海辺のカフカ」と長編が続いたが、世の中の人気とは逆にいずれも私の期待を裏切るものだったから。
氏の作品で最も評価しているは1988年発行の「ダンスダンスダンス」。オスロ滞在中に知り合いの読書家のノルウェー人のお宅にお邪魔した時、村上春樹の話になり、彼が持っているよと言って、ノルウェー語版の「ダンスダンスダンス」を見せてくれた。あまりに驚きと感動を示したせいか、彼はじゃああげるよと言ってその本をくれた。
ノルウェー語版「ダンスダンスダンス」の表紙

偶然、帰任する1999年の5月に村上春樹がオスロに来た。本屋でのサイン会にこの本を持ち込み、サインをもらった。もちろん一緒の記念撮影も快諾してくれた。村上春樹は写真が嫌い、この本も世界で唯一の村上春樹サイン入りのノルウェー語版「ダンスダンスダンス」だが、写真も貴重品である。

村上春樹は小説だけでなくこんな本も書いている。かるたの体裁で「あ」から「わ」までの回文にかるたの絵と1ページの短文が添えられたお遊び本。
我が蔵書から

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