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2023.05/26 [Fri]
円ドル140円
久しぶりに派手な見出しの円安の記事。解説を書くとなるとこんな記述になるのだろう。
投機と実需がともに円売りに傾いている形で、記録的な円安を生んだ22年の構図が再燃しつつある。市場では円安基調が定着するという予想が勢いを増している。
一方、保険としてこんな見解も載せバランスを取るのも当然と言えば当然。
野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは「7月までの米追加利上げが市場のメインシナリオになったことで、短期的なドルの上昇圧力が強まっている」と指摘。一方で「米債務上限問題の交渉がさらに難航するような事態になれば、円高方向への揺り戻しも十分あり得る」ともみている。
5月26日 日経新聞夕刊トップ記事
昨年10月の1ドル150円以降の為替レートの推移はこんな感じ。1月に120円台まで円高が進み、3月上旬には137円台まで下落したものの下旬には130円割れまで円高となった。その後じわじわと円が売られ、今日140円まで売られたの図。

今年の1月初めに、「どうなる?2023年ドル円相場~4人の為替のプロが予想~【Bizスクエア】」なる記事があり、内容はタイトルの通りで、悪趣味ではあるが「専門家」の予想を保存しておいた。
もちろんコメントもたっぷりあるがそれらは割愛して結果だけ。6月までの予想では、バンク・オブ・アメリカの山田修輔氏が最も近く及第点。主席日本FX金利ストラテジストなる肩書の方である。諸々の金融情勢に対して正確な認識を示していたのも山田氏だった。特に以下のコメントから控えめな表現ながら、日本の現状と将来を的確に捉えていることがわかる。
これまでの日本の経済政策を考えると、財政赤字を金融緩和によってまかなって経済を運営してきたと。世界的にインフレが低い時代は(金融緩和が)持続的だったのですが、世界的にインフレが上がってくると各国が金融引き締めを行うので、自国だけ金融緩和を続けると通貨安という形で弊害が出てくるのです。逆に財政が悪化し切った国が利上げしようとすると、今度は政府の借り換えコストが上がってくるので、これも通貨の信認の低下につながってしまうと思います。

「専門家」と言ってもピンからキリまでいろいろであるわかりやすい例。おまけとして、3月の再び円高に振れた時期の記事から「専門家」のコメントのコピペ。3月2日のブルームバーグの「2023年は一転円高との予想に誤算が生じている。」から始まる記事の保険部分で引用された部分である。
・三菱UFJ銀行グローバルマーケットリサーチの井野鉄兵チーフアナリストは、思ったよりハト派的な日銀総裁人事だったが中長期的に金融政策を正常化する大方針は変わらないとした。このため「YCC修正がそれほど遠くない将来にあり得ると考えると、日銀に絡んだ円高リスクが大きく後退したとは言えない」と述べた。
・野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストも、米利上げ停止は当初の想定の3月から後ずれするが、ドル安・円高方向の大枠は変わらないと読んでいる。136円に戻る過程で米連邦準備制度理事会(FRB)の再タカ派化はかなり織り込んだとして「4ー6月に向けてもう一度130円を割り込む可能性は十分ある」と予想する。
普通の人々にとって「専門家」の見解がバラバラでは、何を信じていいのかわからない、という感想を持つのは当然だろう。
投機と実需がともに円売りに傾いている形で、記録的な円安を生んだ22年の構図が再燃しつつある。市場では円安基調が定着するという予想が勢いを増している。
一方、保険としてこんな見解も載せバランスを取るのも当然と言えば当然。
野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは「7月までの米追加利上げが市場のメインシナリオになったことで、短期的なドルの上昇圧力が強まっている」と指摘。一方で「米債務上限問題の交渉がさらに難航するような事態になれば、円高方向への揺り戻しも十分あり得る」ともみている。
5月26日 日経新聞夕刊トップ記事

昨年10月の1ドル150円以降の為替レートの推移はこんな感じ。1月に120円台まで円高が進み、3月上旬には137円台まで下落したものの下旬には130円割れまで円高となった。その後じわじわと円が売られ、今日140円まで売られたの図。

今年の1月初めに、「どうなる?2023年ドル円相場~4人の為替のプロが予想~【Bizスクエア】」なる記事があり、内容はタイトルの通りで、悪趣味ではあるが「専門家」の予想を保存しておいた。
もちろんコメントもたっぷりあるがそれらは割愛して結果だけ。6月までの予想では、バンク・オブ・アメリカの山田修輔氏が最も近く及第点。主席日本FX金利ストラテジストなる肩書の方である。諸々の金融情勢に対して正確な認識を示していたのも山田氏だった。特に以下のコメントから控えめな表現ながら、日本の現状と将来を的確に捉えていることがわかる。
これまでの日本の経済政策を考えると、財政赤字を金融緩和によってまかなって経済を運営してきたと。世界的にインフレが低い時代は(金融緩和が)持続的だったのですが、世界的にインフレが上がってくると各国が金融引き締めを行うので、自国だけ金融緩和を続けると通貨安という形で弊害が出てくるのです。逆に財政が悪化し切った国が利上げしようとすると、今度は政府の借り換えコストが上がってくるので、これも通貨の信認の低下につながってしまうと思います。

「専門家」と言ってもピンからキリまでいろいろであるわかりやすい例。おまけとして、3月の再び円高に振れた時期の記事から「専門家」のコメントのコピペ。3月2日のブルームバーグの「2023年は一転円高との予想に誤算が生じている。」から始まる記事の保険部分で引用された部分である。
・三菱UFJ銀行グローバルマーケットリサーチの井野鉄兵チーフアナリストは、思ったよりハト派的な日銀総裁人事だったが中長期的に金融政策を正常化する大方針は変わらないとした。このため「YCC修正がそれほど遠くない将来にあり得ると考えると、日銀に絡んだ円高リスクが大きく後退したとは言えない」と述べた。
・野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストも、米利上げ停止は当初の想定の3月から後ずれするが、ドル安・円高方向の大枠は変わらないと読んでいる。136円に戻る過程で米連邦準備制度理事会(FRB)の再タカ派化はかなり織り込んだとして「4ー6月に向けてもう一度130円を割り込む可能性は十分ある」と予想する。
普通の人々にとって「専門家」の見解がバラバラでは、何を信じていいのかわからない、という感想を持つのは当然だろう。
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