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風の行方とハードボイルドワンダーランド

再雇用の機会を捨て自由な時と空間を・・・ 人は何のために生まれてきたのだろうか? これから本当の旅がはじまる・・・

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「山のパンセ」

1958年に創刊され、83年に300号で終刊するまでに多くの人々を魅了した文芸誌があった。哲学者、串田孫一が責任編集を務め、「山の文芸誌」をうたった「アルプ」である。
20230905アルプ

こんな書き出しで始まる一文が日経新聞の文化欄に掲載されていた。「アルプ」を見たことがあるのかどうか分からないが、記憶には全くない。それにもかかわらず目に止まったのは「串田孫一が責任編集を務め」という一節があったためだった。学生時代、串田孫一の「山のパンセ」なる本を買い求めた。本のタイトルもないあっさりした装丁の箱入りの本で、当時で1300円だったからかなり高価だった印象が残っている。

串田孫一(1915年11月12日 - 2005年7月8日、享年89歳)は記事では哲学者と紹介されているが、ウイキペディアでは日本の詩人、哲学者、随筆家とある。しかし当時の私の認識は静謐な文章を書く登山家だった。本は以前に出版した「山のパンセ I」、「同 II」、同III」を姿を変えて一冊にまとめたもの、昭和47年(1972)2月初版第一刷で、第一刷を買い求めていた。たぶん大学二年生の時であろう。内容は全て山に関する随筆である。山に行った時の記録ではないが、リアリティのある透明で精緻な文章がとても印象的で山の聖書のような印象を持っている。何年生の時か覚えていないが、大熊講堂か演劇博物館かで氏の講演会あり、授業をさぼって聴講に行ったこともあった。

この本、今いくらするのかな?と思って調べたが、この本はなかった。購入した人は多くないだろうし、また売る人もいないのだろう。そのかわり、後日文庫版が発行されたらしく文庫本は多数割引で売られていた。

本箱から引っ張り出した「山のパンセ」の箱。箱を開けると「寂しい山へ、黙って登って下さい。」とあるのがしびれる。
DSC_8803(2).jpg DSC_8804(2).jpg

さて、「アルプ」という雑誌、「コース案内や道具の紹介などは一切なく、広告も載せない。山岳雑誌の中でも、孤高の存在だった。責任編集者の串田は多彩な人脈を持ち、芸術全般に造詣が深かった。厳しい評価基準を設けて質を維持し、個性豊かな執筆陣をまとめ上げることができた。

串田孫一に反応して長くなってしまったが、記事の主旨は筆者の鈴木伸介氏が自宅の半分に設けた私設の「日野春アルプ美術館」を11月に閉館するとの話。美術館には「アルプ」のほか、数多くの山関連の書籍を閲覧でき、また並行して収集してきた畦地や表紙も手がけた大谷一良、などアルプゆかりの画家や版画家の作品に加え、山岳画家、坂本直行の作品など多数を収蔵しているそうだ。

そして最後の一節にまたしても目が止まった。「蔵書は近隣の図書館に収蔵してもらうことが決まっており、坂本の作品もまとめて六花亭に寄贈し、利用に供することにした。

「六花亭」といえば北海道の代表的なお菓子屋である「六花亭」しか思いつかない。半信半疑で六花亭のHPを開くと、「文化活動」なるボタンがありクリックすると「文化活動」のページに飛び冒頭にこうあった。

昭和35年、十勝の子どもたちの詩心を育みたい−と創刊した児童詩誌『サイロ』。
半世紀を超えて発行を続ける一方で店舗、専用ホールを舞台にコンサートや寄席の開催。
美術館、図書施設の企画・運営に取り組んでいます。


その美術館の一つが「六花の森」。中には多数の棟があるが、坂本直行記念館、直行山岳館、直行デッサン館など坂本直行の収集がウリのようだ。お菓子会社が、という言い方は失礼にもほどがあるのは承知だが、このような文化活動に多額の費用をかけていることには敬服の限りであり、上記の「六花亭に寄贈」の6文字の裏にはこんな背景があったとは知らずただただびっくり。

北海道の人なら知らない人はいない六花亭の包装紙と「六花の森」のロケーション。帯広の南30キロぐらいに位置し、わざわざ寄る気にならないと行くことはない場所にある。
20230905六花亭1 20230905六花の森1

「六花の森」のスナップ画像。
20230905六花の森2

と、脱線ばかりの記事でした。
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