fc2ブログ

風の行方とハードボイルドワンダーランド

再雇用の機会を捨て自由な時と空間を・・・ 人は何のために生まれてきたのだろうか? これから本当の旅がはじまる・・・

Entries

異常だった今冬の暖かさ

朝刊に「今冬の暖かさ 『異常だった』」なる豆記事があって目に止まった。先日にこんな記事を書いたばかりだったから。

今シーズンの冬に関して、「(中略)最高気温は平年を上回る日が圧倒的に多く、かつその差が異常に大きい日が多い。また最低気温を見ると平年値を下回る日が、逆に圧倒的に少なくかつ下回り方もシミ程度。すなわちこの冬は稀にみる暖冬だった。」
20240229東京の冬

当該記事がこちら。 20240304気象庁検討会
専門家でつくる気象庁の異常気象分析検討会は4日、過去2番目に暖かかった今冬(昨年12月~今年2月)について、地球温暖化に加え、南米ペルー沖の海面水温が上がるエルニーニョ現象の影響で偏西風が北寄りを流れたことが要因とする分析結果をまとめた。会長の中村尚東大教授(気候力学)は「かなり異常な状態だったと言って差し支えない」と述べた。

要因をまとめているところはさすが本物の専門家であられるが、会長の感想は筆者と同じなのがおかしい。

会議の概要と資料が気象庁のHPにきちんと公開されていたので拝見する。資料は12ページと長いものではないが、中身がぎっしり詰まっている上、それらが専門的な図ばかりなので割愛、概要に掲載されていた3枚の図だけ紹介する、わかりやすいから。
資料編の表紙 20240304異常気象検討会0

では、わかりやすい資料から。これは過去約130年間の冬(12月‐2月)の平均気温と5年移動平均、それに長期変化傾向を赤で示したもの。今シーズンの平均気温は1898 年以降で冬として第2 位の高温となった根拠がこの図(右端の黒丸が今シーズン)。冬の平均気温が上昇していることは確かだが、各年の変異も大きい。特に1903年ごろと1950年ごろににも暖かい冬があった。しかもこの2年の偏差は今年よりも大きかったことに気付く。1903年ごろも1950年ごろも、そして2020年も「かなり異常な状態だったと言って差し支えない」と言われたのだろう。ちなみに1903年というのは日露戦争の前年、この頃の戦艦の燃料はだぶん石炭だった。
20240304異常気象検討会1

これは今シーズンの地域別の日々の平均気温の平年値からの偏差の推移を示したもの。冒頭のこのブログで示した図との違いは、日々の平均気温ではなく最高気温と最低気温であること。その方が偏差がはっきりするから。いずれにせよ、2月後半の高温は全国的に高かったことを示している。
20240304異常気象検討会2


プロっぽい資料が、この高温の要因の説明図。見れば分かると言われても困ると思うので、資料にあった説明文を貼っておくが余計分からないかと思う。
20240304異常気象検討会3

今冬の天候をもたらした大気の流れの特徴とその要因(図3)
・上述した今冬の天候をもたらした大気の流れの特徴とその要因は以下のとおりである(図3)。なお、文中の〇数字は、図3中の〇数字に対応している。

・顕著な高温の要因は、全球的に気温が高かったこと(①)に加えて、亜熱帯上空を流れる偏西風(亜熱帯ジェット気流)が日本付近で北へ蛇行しやすかったこと(②)や、亜寒帯上空を流れる偏西風(寒帯前線ジェット気流)が日本の北で強かったこと
(③)が挙げられる。偏西風のこれらの特徴には、この冬の間続いていたエルニーニョ現象(④)や2023 年秋まで発生していたインド洋ダイポールモード現象(⑤)(※1)が影響したと考えられる。

・ 亜熱帯ジェット気流は、アラビア海北方で北へ、中国付近で南へ、日本付近では北へそれぞれ蛇行する傾向にあった。このため、日本付近は平年と比べて暖かい空気に覆われやすかった。また、対流圏下層では南から暖かい空気が流れ込んだ
時期もあった。

・ 亜熱帯ジェット気流の蛇行には、熱帯域の積雲対流活動が平年と比べてインド洋西部で強く、インドネシア付近で弱かったことが影響したと考えられる。これらの積雲対流活動の分布には、冬の間持続していたエルニーニョ現象の影響や2023年秋まで発生していた正のインド洋ダイポールモード現象に伴ってインド洋表層を暖水が西進した影響でインド洋西部を中心に海面水温が高い状況が続いたためと考えられる。

・寒帯前線ジェット気流は、冬平均としてユーラシア大陸上空から日本の北東海上にかけて強まって、寒気が日本付近に南下しにくかった。なお、日本の北からその北東海上での寒帯前線ジェット気流の強まりには、日本の東海上で東西に広が
る暖水偏差が影響した可能性がある。

・ 世界の平均気温は、2023 年5 月から2024 年1 月にかけて記録的な高温が続いている。世界と日本の冬平均気温は、様々な変動を繰り返しながら上昇しており、長期的にはそれぞれ100 年あたり0.79℃、1.24℃の割合で上昇している。

・ 地球温暖化の影響を評価するイベント・アトリビューション(※2)の手法を用いて、文部科学省気候変動予測先端研究プログラムの合同研究チームが極値統計モデルによる推定を速報的に行った。その結果、地球温暖化に伴う気温上昇がなかったと仮定した場合、今冬のような顕著な高温の発生確率は非常に低かったと見積もられる。

・一方、寒帯前線ジェット気流や亜熱帯ジェット気流が冬の間南北に蛇行を繰り返したため、日本では気温の変動が大きくなった。これらのジェット気流の一時的な蛇行には、熱帯域の積雲対流活動の変動からの影響や、成層圏突然昇温(⑥)(※3)に伴う大規模な大気の変動が対流圏に伝播したことも寄与した可能性がある。

・さらに、日本付近の南北の気温差が平均的に大きかったことも、高気圧・低気圧に伴った気温の変動が大きかった背景として考えられる。

(※1)インド洋の海面水温や大気の対流活動が、インド洋熱帯域南東部で低温・不活発、西
部で高温・活発というように、東と西で逆符号の偏差パターンとなる変動現象。
(※2)気候モデルを用いて、これまでの気候状態を模した数多くの実験を行うとともに、人
間活動による温暖化が無いとする仮想的な設定でも数多くの実験を行い、両者の比較から
個々の現象の発生が温暖化によりどれだけ変わったかを確率的に推定する手法。
(※3)極域成層圏の気温が平年より大きく上昇する現象で、地球規模の波動が対流圏で増幅して
成層圏に伝播することで引き起こされる。
関連記事
スポンサーサイト



*Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

左サイドMenu

プロフィール

時の旅人

Author:時の旅人
辰年の獅子座のO型

最新記事

カレンダー

03 | 2024/04 | 05
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 - - - -

月別アーカイブ

右サイドメニュー

検索フォーム

最新トラックバック